「早読み 深読み 朝鮮半島」

似て非なる中国の“識別圏”

「防空識別圏」を専門家に聞く(1)

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2013年12月4日(水)

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ペテンで「領空拡張」狙う中国

 中国が11月23日、突然に宣言した東シナ海の“防空識別圏”。この問題に詳しい、安全保障専門家のB氏に聞いた。

鈴置:Bさんが予想されていたように11月28日、中国が「日本だって44年も前から防空識別圏(ADIZ)を設定している。我が国に対し文句を言う権利はない」と言い出しました。

B:いかにも中国らしい、へ理屈です。中国の“防空識別圏”とは日本や西側のそれとは「似て非なるもの」なのです。なのに敢えて同じ名称を使うことにより、日本や関係国を誤魔化そう、揺さぶろうとしているのです。

 専門家ならすぐに分かることですが、中国の主張は「識別圏の設定」ではなく「領空の拡張」です。中国の“防空識別圏”と、日本などのそれとは全く別物であることをまず理解しておく必要があります。

 日本や西側の防空識別圏とは、主権の及ぶ領空に接近してくる国籍不明機を、敵か味方か判別するために、領空の外側に設けた空域です。

鈴置:飛行機は速度が速いので、領空に入る前からチェックしておく、というわけですね。

「圏内の飛行機は中国に従え」

B:その通りです。少し硬い言い方になりますが、我が国周辺を飛行する航空機を識別するという内部手順の中で、識別すべき領域を規定したものが防空識別圏です。

 でも、そこはあくまで領空の外側ですから、他国の航空機に何らかの義務を課すものではありません。防空識別圏内であっても公海上である限り、外国の航空機が飛行を制限されることはないのです。

 一方、中国国防省はその“防空識別圏”に関し「この空域に入る航空機は中国政府の指示に従わなければならない」と言っています。具体的には、以下の通りです。

・防空識別圏は中国国防相が管理する。
・圏内を飛行する航空機は飛行計画を中国外務省または航空当局に提出する義務がある。
・圏内の飛行機は国防省の指令に従わなければならない。
・指令を拒み、従わない航空機に対し、中国は防御的な緊急措置を講じる。

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