TPPで「地産地消」危うし 参入妨害の主張も
神戸新聞NEXT 12月4日(水)17時30分配信
環太平洋連携協定(TPP)をめぐり、学校給食に地元食材を使う地産地消への影響が懸念されている。多国籍企業から「自由競争の妨げ」と訴えられる恐れがあるからだ。TPP反対派は「関税撤廃より、日本の法律や制度の改廃を迫られることが本質的な問題」と警鐘を鳴らす。(段 貴則)
農林水産ビジョン2020で「地産地消・県産県消」の推進を掲げる兵庫県。農林水産業の活性化などの点から積極的に取り組む市町は少なくない。
宍粟市は、学校給食用の米や野菜に占める市内産の割合(重量ベース)が7割を超える。全国地産地消推進協議会が主催する本年度の地産地消優良活動表彰(地域振興部門)では、農林水産大臣賞を受賞した。
政府は2015年度までに、給食に使う地場農産物の利用割合(食材ベース)を都道府県平均で30%以上とする方針を示している。
ところが、こうした取り組みが「TPPで、ことごとく覆されかねない」(宇都宮健児・前日本弁護士連合会長)というのだ。
TPP問題に詳しい岡田知弘・京都大教授(地域経済論)は、TPPを「多国籍企業の自由を最優先する条約」と指摘。海外企業が相手国の規制で損失を被った場合、政府を訴えられる「投資家と国家の紛争解決条項」などを問題視する。
自治体が同条項に萎縮し、地産地消の自粛や縮小につながる恐れがあるという。
米国と自由貿易協定(FTA)を結んだ韓国は、米国企業の参入を規制するような法律など60本以上を改廃。韓国政府は、自治体に地産地消を盛り込んだ条例を撤廃するよう指示したという。
岡田教授は「国の主権や地方自治権がないがしろにされるのではないか。こうした視点でTPPの是非を考えてほしい」と訴えている。
最終更新:12月4日(水)21時5分
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