秘密保護法案:公聴会、入場たった30人…「茶番やめろ」

毎日新聞 2013年12月04日 22時00分(最終更新 12月05日 06時13分)

地方公聴会で陳述人の意見を聞く委員(右)。手前は欠席し空席になった野党席=さいたま市大宮区で2013年12月4日、丸山博撮影
地方公聴会で陳述人の意見を聞く委員(右)。手前は欠席し空席になった野党席=さいたま市大宮区で2013年12月4日、丸山博撮影

 さいたま市大宮区で4日開かれた特定秘密保護法案に関する地方公聴会。意見陳述人3人が意見を述べたが、前日に突然開催が決まるなど、与党主導の性急な国会運営が際立った。傍聴席は政党に割り当てられた傍聴券がないと入れず、用意された50席に対し埋まったのは約30席と空席が目立った。一方で会場周辺には大勢の市民らが集まり「茶番はやめろ」などと法案に反対する声が響いた。

 ◇集まった市民「すべて秘密か」

 「私が意見陳述人となることが決まったのも昨日の午後10時。何の前触れもなく、突然、地方公聴会を実施して、果たして国民の声を聴いたと言えるのか」。埼玉弁護士会元副会長の山崎徹弁護士が、疑問を投げかけた。

 山崎氏は、自民党の石破茂幹事長が自らのブログで法案に反対する市民団体らのデモを「テロと本質的に変わらない」と批判したことに触れ「(法案の)テロの対象がデモやパレード、市民集会、宣伝をしながらのビラ配りなどに及んでくる可能性があると思うようになった」と懸念。「市民運動が『テロ』とみなされ、国家に監視される社会が生み出されてはならない」と訴えた。

 会場に入れなかった、さいたま市の主婦、吉田雪子さん(73)は午前の国会中継で公聴会開催を知り、県庁や参院などに電話をして議員の事務所の連絡先を調べ、ようやく開催場所が分かった。だが会場に入ろうとすると「何党ですか」「党の紹介がない人は入れません」と言われたという。

 「公聴会の存在も国民に知らせず、入れるのは政党の関係者だけ。すべて秘密」と不満をあらわにした。

 東京都内に住む東京大学大学院医学系研究科教授の橋本英樹さん(50)は「予想していた以上の(市民に対する)シャットアウトだった。秘密の範囲があいまいで研究、発表ができなくなることを危惧していた。今日は審議過程を見る最後のチャンスだと思って駆けつけたのだが……」と落胆した様子だった。【木村健二、斎川瞳、奥山はるな、西田真季子】

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