【ウィーン=黄田和宏】石油輸出国機構(OPEC)は4日、ウィーン本部で総会を開き、生産目標を従来の日量3000万バレルに据え置いた。OPECは原油価格が安定して推移しており、現状の供給量で十分だと判断した。今後は米欧などの経済制裁が一部緩和されたイランの動向が焦点。制裁の一段の緩和が決まればイランが増産に動くことが想定され、加盟国は対応を迫られそうだ。
OPEC各国は現状の生産枠で原油供給は十分との見方で一致している。最大の産油国であるサウジアラビアのヌアイミ石油鉱物資源相は「原油市場は適正な状態にある」と述べた。10月の生産量は2カ月連続で3000万バレルをやや下回る水準。北海ブレント原油は足元で1バレル110ドル近辺で安定して推移しており、産油国が採算の目安とする100ドルを上回っている。
今後の生産量に関してはイランの動向に注目が高まっている。米欧など6カ国との核問題を巡る合意を受けて、原油禁輸の解除に向けて一歩前進したと受け止められているからだ。そのため、制裁を見直す半年後に向けた応酬が早くも始まっており、イランは将来的な増産に向けた布石を打ち始めた。
経済制裁が強化される2011年以前はイランの原油生産は日量400万バレル程度で、OPEC2位の産油国だった。ただ、制裁後の生産量は落ち込み、最近の統計では300万バレル程度で推移する。イランのザンギャネ石油相は「早期に市場に復帰することを期待している。制裁前の水準まで生産を回復したい」と増産に意欲を見せており、欧米の石油会社と今後の生産について「議論している」ことも明らかにしている。
8月のロウハニ政権の発足で石油相に復帰したザンギャネ氏は、05年まで石油メジャーのイランへの誘致を進めていた。産油国としてのイランの地位改善に意欲を示しており、仮に制裁が一段と緩和されれば、供給量を増やす可能性が高い。総枠が決まっている中では加盟国間で生産枠のやり繰りが必要になる。例えばイランに代わってイラクが生産を増やしており、調整は難航が予想される。
原油価格への影響も避けられない。11月下旬にイランの核問題が合意に達した直後にはブレント原油が一時大きく下げた。実際に市場復帰にこぎ着けることができれば、「100ドルを割り込む可能性もある」(原油アナリスト)との見方が出ている。こうした懸念に対して、再任されたリビアのバドリ事務局長は記者会見で「制裁が解除された時点で今後の方針を決める」と話した。
すでに米国での非在来型のシェールオイルの拡大や、ブラジルの深海油田の開発などが進んでいる。非加盟国における供給増と、加盟国の増産という2重苦に直面し、これまで安定した原油輸出価格を享受してきたOPECは再び転換点を迎えつつある。
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