【ロンドン=上杉素直】キャメロン英首相は4日まで3日間の中国訪問で、欧中の自由貿易協定(FTA)に意欲を示すなど中国に秋波を送った。中国の銀行に対する規制緩和も進めており、対中関係強化で英経済の活性化をめざす姿勢が鮮明だ。一方で経済を優先させ、両国関係を悪化させたチベット問題を棚上げしたことなどには欧州で批判も出ている。
3年ぶり2度目の訪中で、習近平国家主席や李克強首相と相次いで会談したキャメロン首相。100人を超える英ビジネス関係者を引き連れ、「先頭に立って欧州連合(EU)と中国のFTA交渉を進める」と表明した。EUは「FTAは時期尚早」と不快感を示しており、英首相が先走った格好だ。
背景には英経済の外資頼みがある。緊縮財政の英政府は、インフラ事業で外国資金を当て込んでいる。原子力発電のほかロンドンとイングランド北部を結ぶ高速鉄道計画への中国勢参加を首脳会談で持ち出した。キャメロン氏は「欧州の中で英国は最も中国の投資を歓迎している」と述べた。
金融分野でも英国は中国に接近中だ。ロイター通信は2日、中国建設銀行がロンドンで支店免許を申請すると報じた。地元の英当局の縛りが現地法人より緩い支店の申請を外国銀行に一定の条件で認める、という10月の英政府方針を受けた動きだ。この規制緩和は中国の銀行を優遇する目的と受け取られている。
来秋の銀行監督一元化でユーロ圏の金融制度が結びつきを強めるなか、中国銀を呼び込んで人民元取引を活発にしていくのが英国の金融戦略。中国勢を厚遇するのはその一環だが、厳しい規制を受け入れてきた米欧の銀行から不満も漏れる。
今回の訪中で、12年5月にキャメロン氏がチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世と会談したのをきっかけに悪化した英中関係は正常化に向かう。ただ英首相が中国首脳に対し「チベットは中国の一部。独立を支持しない」と述べたと中国メディアが伝えたことなどもあり、英国では訪中全体について「物ごいか何かのようだ」(ガーディアン紙)などの批判も出ている。
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