“米国一辺倒”といわれた李明博(イ・ミョンバク)政権との外交政策の違いを明確にする目的からも、朴政権は米中を「G2」と呼んで米中間でのバランスを維持、中国との安保・経済関係の結びつきを強め、対日強硬姿勢に活用してきた。TPPに消極的だった理由には「中国を刺激しかねない」との事情もある。
だが、韓国にとって中国の覇権主義の強化は、想定外に早く強硬だった。韓国が将来の資源開発を念頭に海洋基地を設置している離於島上空も中国の防空識別圏に取り込まれたのだ。
国内経済で成果が出ていない朴政権は、「外交安保」が唯一の売り。海洋権益を侵害され、ナショナリズムに火がつけば国内の支持基盤もおぼつかない。もっとも、自国単独で中国と対決する構図となって中国を刺激することもしたくない。
「そう遠くない時期に安保で米国、経済で中国依存といいとこ取り外交をしたツケを払わされるときがくる」(元政府高官)との懸念も出ている。(ソウル 加藤達也)
●=日へんに午