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TPP、日米交渉の舞台裏
TBS系(JNN) 12月5日(木)0時22分配信
アメリカが中心となって年内妥結を求めているTPP交渉。これもバイデン副大統領が来日した大きな目的の一つです。全品目の関税撤廃を要求しているアメリカと、コメなどの重要5項目を守りたい日本、その溝は埋まっていません。今、日米交渉の舞台裏で何が起きているのでしょうか。静岡県浜松市にあるビスケットメーカー。TPPの行方次第では大きな影響が出てきます。
「重要5項目の中でも、どこが守られてどこが撤廃されるのか、大変心配している」(全国ビスケット協会・松島邦保会長)
実は、ビスケットの主原料は「小麦粉」と「砂糖」と「乳製品」。この3つ全てが農業重要5項目に含まれているのです。
「ビスケットは13%とか15%の関税がかかっているが、これを撤廃して原材料の縛り(関税)だけはそのままというのは、フェアな競争ができない」(全国ビスケット協会・松島邦保会長)
つまり、原材料の小麦粉などの関税が守られた場合、原材料の値段は下がらず、商品となったビスケットの関税が撤廃されれば、外国製品が大量に流入してくるというのです。
「重要5項目、これを撤廃するような交渉は致しません」(自民党・石破茂幹事長)
目標とする年内妥結まで残された時間はあとわずか。5項目死守を掲げる日本と、100%関税撤廃を迫るアメリカとの溝は、いまだ埋まらないまま。そんな中、先月中旬、農水省幹部が極秘でアメリカを訪れ、こう持ちかけたといいます。
「アメリカからの米の特別輸入枠(ミニマムアクセス)を5万トン増やすので、関税撤廃は勘弁してもらえないか・・・」(農水省幹部)
コメの関税を撤廃しないかわりにアメリカのコメの特別輸入枠を増やすと持ちかけたのです。ところが・・・
「ダメだ」(アメリカ交渉担当者)
「それでは10万トンでは・・・」(農水省幹部)
「それもダメだ。関税を撤廃しなければ」(アメリカ交渉担当者)
結局、農水省が示した妥協案にアメリカ側は納得せず、むしろ100%の関税撤廃の念押しをされたというのです。
「もう農水省はお手上げ状態。案らしい案なんてないよ・・・」(政府関係者)
そして、1日に急きょ行われた甘利大臣とフロマン通商代表の会談。
「極めて厳しい交渉を行いました。結論は出ておりません。これ以上は1センチも譲れない」(甘利明TPP担当相)
会談では激しいやり取りがあったといいます。
「年数をかけてもいいから、とにかく全品目の関税を撤廃しろ!」(アメリカ フロマン通商代表)
「関税を撤廃しなくてもいい品目をいいかげん認めろ!でなければ、俺はシンガポール会合に出席しないぞ!」(甘利明TPP担当相)
さらに、啖呵を切った甘利大臣は2日、突然、検査のため入院。
「(甘利大臣は)入院先からいろいろ指示をされているということで、現時点でTPP交渉に与える影響はない」(茂木敏充経産相)
バイデン副大統領は安倍総理との会談で、アメリカ側の厳しい姿勢を伝えたうえで、各論に踏み込むことは避け、日米が主導してアジア圏で貿易ルールを確立していくという範囲で歩調を合わせる見通しです。シンガポールでのTPP閣僚会合まであと4日、交渉は最終局面を迎えています。(03日16:35)
最終更新:12月5日(木)0時22分