今年2回にわたり画期的な対策を打ち出したにもかかわらず、不動産景気が回復の兆しを見せないことから、韓国政府は3日に経済関係閣僚会議を開き、不動産市場のてこ入れに向けた追加対策を発表した。与野党の対立で国会が空転し不動産関連の法案が成立しないため、窮余の策として出したものだ。だが、取得税の永久的な引き下げ、複数住宅保有者に対する譲渡税の重課税廃止、垂直増築のリフォーム許可などを盛り込んだ法案がいずれも足止めされていることから、今回の措置は一時的、部分的な効果にとどまるとの見方が多い。
政府はまず、住宅基金2兆ウォン(約1900億円)を用いて9日から「共有型住宅ローン」の本事業を開始する。共有型住宅ローンは庶民が専用面積85平方メートル、市価6億ウォン(約5800万円)以下の住宅を購入する際に年1%台の低利で融資し、住宅を売却する際に生じる収益や損害を政府と分配・分担するというローン方式。10月に行った試験事業では2276人が融資を受けた。今回の対策により、全国で1万5000世帯が自宅を手に入れる見通しだ。
庶民が住宅の購入時に借りられる政府資金も今年の水準(およそ11兆ウォン=約1兆600億円)で据え置く。この資金は韓国住宅金融公社の「ポグムジャリローン優待型」と国民住宅基金の「庶民住宅購入資金」などに分けられるが、来年からは統合して運営される。これにより、ポグムジャリローン優待型で年3.30-4.05%の利子を支払っていた庶民は2.8-3.6%という低利で融資を受けられるようになる。
住宅ローンを返済できずに困窮する「ハウスプア」対策としては、自宅をREITs (REITs=リーツ。REIT=リートとは不動産投資信託のこと)に売却し、5年間家賃を払いながらその家で暮らす「希望賃貸住宅REITs」という制度があるが、来年も約1000世帯を対象に実施する。面積制限をなくし、専用面積85平方メートル以上の中・大型住宅も対象に含める。
一方、政府は朴槿恵(パク・クンヘ)大統領が公約に掲げた「幸福住宅」の供給数を当初の20万戸から14万戸に30%減らし、代わりに賃貸住宅の供給数を6万戸増やすことを決めた。