藤川球児が阪神時代に記録した46セーブ超えを目標に掲げている【拡大】
韓国・金浦国際空港に降り立ち、ソウル市内に入ると、活気にあふれた街の喧騒が飛び込んでくる。それはまるで、地元のスター、呉昇桓の門出を祝っているかのよう。韓国国民と虎党の期待を一身に背負うセーブ王は、自ら高いハードルを掲げていた。
4日の午後に行われる契約調印式のため、この日、中村GMが韓国入り。出発を待つ関西国際空港で「改めて獲得できてよかった」と安堵を口にすると、先月22日に初対面した際の会談内容を振り返った。
「数字はまだ想像しにくいが、(呉は)『47セーブを目指したい』と言っていた。レベルの高い話をしていた。一つの目標としてあるんでしょう」
『47』という数字は、2006と11年に呉自身がマークしたアジアセーブ記録。日本球界では、05年の岩瀬仁紀(中日)と07年の藤川球児(現カブス)が記録した46セーブが最多で、目標達成イコール日本記録の樹立という華々しい図式となる。
できるはず-。いや、必ずやってくれる。韓国最多の277セーブをマークしてきた守護神だからこその説得力が、そこにはある。マウンド上で表情を一切変えないことから「石仏」の愛称で呼ばれるが、その裏に宿るのは粉骨砕身の精神。10月25日の韓国シリーズ第2戦(対斗山ベアーズ)では九-十三回までマウンドを守るなど、“九回限定”の枠では収まらないのも呉の魅力だ。