炒飯づくりにおける数多の都市伝説的手法をひたすら試して、ひたすら食べて、その味わいと効果を探る! 第2回目は、卵対決。
協力してくれたのは、「御田町 桃の木」の小林武志シェフ。今回は家庭用ガスコンロに向かっていただいた。ひたすら食べて審査するのは、大衆料理研究家の肩書を持つ文筆家の小野員裕さんと、日々暴飲暴食、で知られる紀行作家の山内史子さん。
さらに、宮城大学食産業学部の石川伸一准教授に依頼をして、史上初の炒飯電子顕微鏡写真を撮影。炒飯の核心に迫る。
ご飯(品種はササニシキ)……200g、溶き卵……40g、ねぎ(みじん切り)……20g、サラダ油……大さじ1と1/2、塩……3つまみ
卵を入れる手順はプロの中でも意見が分かれる。卵が先か、はたまたご飯を先に入れるべきなのか?
卵は先に入れるか? 後から入れるか?
【卵が先】卵が「具」にもなっている
卵を先に流し入れるこの方法は、卵がご飯にからまりながら一部が凝固。「卵の甘味が具としても楽しめるね」(小野)。ただし、もたもたしていると炒り卵のパーツが多くなってしまうので手早さがものを言う。難易度はやや高めだ。
【卵が後】ご飯と油と卵が一つに
ご飯を入れ上から卵を流すため、一気に火が入る心配はなし。ご飯全体に卵がからまり、その乳化作用で油とご飯が結びつく。「卵の甘味とご飯の香ばしさが感じられる」(小野)、「ご飯、卵、油。まさに三位一体のキャンディーズ」(山内)
【卵かけご飯式】味に一体感がない!?
黄金炒飯の裏技として流布しただけに、見た目の美しさは高得点。誰が炒めてもパラパラになるのも魅力だが、「ご飯に卵が張りついている感じで舌ざわりがいま一つ」(山内)、「パサつきが気になる」(小野)との声もあった。
食べ比べてみると、ご飯を入れてから卵を流し込む“卵後入れ炒飯”はご飯一粒一粒を卵がしっかりコーティングしている。
「見るからにおいしそう。味わいは“これぞ炒飯”という感じ!」と山内さんはニッコリご機嫌。