今季限りでの退団が決定している名古屋グランパスのDF増川隆洋(34)が、ラストゲームでの勝利に向け集中する。来季J1に昇格する地元の神戸への移籍が水面下で進んでいるが、「しっかりと最終戦を勝ってから考えたい」とキッパリ。コンビを組んできたDF闘莉王を出場停止で欠く逆境のなか、有終の美を飾るべく体にむちを打つ。
05年に福岡から移籍加入してから9年間で公式戦312試合出場を数えるグランパスの巨人が、有終の美へと気力を振り絞る。11月30日の甲府戦で古傷の右膝を痛め、オフが明けた3日の練習は室内で別メニュー調整。それでも「明日から様子を見ながらやります。最後の試合なんで、しっかりとやるつもり」と、最終節の新潟戦への意欲をほとばしらせた。
シーズン終了後の退団発表をクラブにお願いするなど、プロとして規定通りの手続きにこだわる増川に、吉報が届いた。来季J1に昇格する神戸からの獲得オファーだ。兵庫県姫路市出身の増川にとっては、地元と言えるクラブ。ただ、「いろいろ動いてくれているけど、しっかりと最終戦を勝ってから考えたい」とスッキリした表情で移籍話を封印した。
ラストゲームでは、10年から鉄壁のコンビを組んできた闘莉王が甲府戦で不用意なファウルを犯し出場停止。「何してんだ」とこぼした。相手の新潟は前節で首位の横浜Mを倒すなど好調。エースFW川又が22得点とノリに乗っている。しかもグランパスは昨年0−5の大敗を喫するなど、アウェーの東北電力スタジアムでは1勝1分け7敗という鬼門だ。
それでも、「どんな試合でも勝てればいい。内容よりも勝利」と増川は強調した。ストイコビッチ監督だけでなく、10年の優勝メンバーとともに臨む最後の試合。勝って、笑って、締めくくる。 (宮崎厚志)
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