2013.12.4 05:06

負けて防衛!大毅“救済ルール”で前代未聞の大逆転/BOX(2/3ページ)

体重超過で王座剥奪のソリス(左)に攻められるシーンが続き、大毅は判定負け (撮影・山田喜貴)

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 勝者を告げるアナウンスに、館内はため息に包まれた。呼び上げられたのは体重超過で王座を剥奪されたソリス。飛び上がって喜ぶ前王者と対照的に、大毅をはじめ亀田陣営は青ざめ、凍りついた表情。「何でや」と声を荒らげた長男・興毅(27)がリングサイドのオフィシャル席でジャッジペーパーを何度も確認したが、採点ミスもなくまさかの“王座陥落”。大毅は肩を落として控室へ引き揚げた。

 そもそも公平性を欠く試合だった。前日の計量で失格したソリスはIBFの当日計量も“免除”となり飲み放題、食べ放題で、体重は前日よりも6キロ増の59・5キロ。一方の大毅は当日計量でも増加分のリミット4・5キロを下回る3・9キロ増の56キロ。体重差は3・5キロ、2階級分もあった。捨て身のソリスは序盤から積極的に出て、大毅は後手に回った。そして31歳のベテラン前王者は中盤以降、クリンチで大毅のスタミナを消耗させる老獪(ろうかい)なテクニックも発揮。鉄拳制裁を誓っていた大毅は最後までペースを握れないまま、1-2の判定で敗れた。

 事態が急転したのは終了後30分が経過してからだ。IBFのスーパーバイザー、リンゼイ・タッカー氏(米国)が急きょ会見し、「挑戦者が体重超過していた場合、王者は勝っても負けてもタイトルを保持する」とするルールの存在を説明。その上で、この試合をタイトルマッチとして扱い、大毅の防衛成功も認定するとした。タイトルマッチで負けた王者が防衛を果たすという前代未聞の珍現象。観客の大半は大毅が陥落したと思ったまま家路についていた。

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