2011年03月13日

福島第一原子力発電所の事故分析(初投稿。爆発直後)

被害地域の方がご無事であられることをお祈りいたしております。

 私は福島第二原子力発電所および本店の原子力安全部門に勤めておりました。

今回の事態は、最も恐れていた津波による被害で、多重に保護されている安全装
置が一挙に駄目になった状態です。
原子力発電所にかなり近い相馬市で7.5mを超える津波が起きていたという一報を
聞いたときに、非常用ディーゼル発電機その他の炉心冷却 装置がすべて破損し
たに違いないと想像いたしました。

 東京電力の現場総指揮者(副社長)、常務、原子力管理部長ともに、直属の上
司で、いずれも私に色々と教えてくれた方々です。知識はもち ろん、人格的に
も最高の人たちで、こんな人もいるんだと舌を巻きました。とくに現、原子力管
理部長は、ある人に言わせると
「われわれ(それなりにみんな優秀です)が座標計算で必死に問題を解いている
のに、彼はベクトルであっさり解いてしまう。」
です。

また、副社長は、私の課長だった方で、シビアアクシデントの本当の専門家です。
「日航、御巣鷹山のような訳のわからない不具合が起き、計器も信用できない状
態で、いかに操縦して事故を起こさないようにするか。そのよ うな状態になっ
ても、原子力は万が一のことは起こしてはいけない。」
といつも言っていました。

 私には彼らのような能力はとてもなく、またとてもつ とまらないと思いまし
たので、脱サラしました。

医療の言葉で置き換えますと、「日本一、いや世界一の 名医が担当しています
ので、あとは我々にお任せください。」です。この方たちが担当しているのにダ
メならば、誰が担当しても無理です。

 私が見ます限り、TVの解説はかなりいい加減です。

 爆発後の報告が遅いことが指摘されていますが、おそ らく現場は必死で状況
を把握しようとしていたと思います。が、なにせ、規模が大きすぎます。一体何
が起きて、どうなっているのか、放射線 がめちゃくちゃ高い中で、把握するに
はすぐに数時間立ちます。しかも、こんな事象は初めてのことだです。隠そうと
したわけではないことを ご理解ください。

枝野官房長官の説明は、的確であまり無駄がありません し、ご本人も理解され
ている様子が伺えます。原子力保安院の説明よりもはるかに分かりやすいことか
ら考えても、現在は、東京電力から直接 説明をうけている状態でしょう。代わ
りがいないだけに、体力を心配しています。(まだ、40代でしょうから、しば
らくは大丈夫でしょうけ ど)

 福島第一原子力発電所1号機、3号機では海水を冷却 材を利用しています。
これは、廃炉を意味します。

 喩え話にします。

20年くらいは使っている業務に使っているトラックの ラジエーターが壊れて
しまった。周りには、水が用意できないので、海水を入れてしまうようなもので
す。金属が腐食してしまい、2度とは動 かせなくなります。そんな決断を、数
秒するようなものです。
 最後の手段を躊躇なく行っております。

・東芝(東京湾)、日立(茨城)の工場がすぐ近くにあ り、補給がしっかりし
ていること。
・世界で一番経営体力のある電力会社であり、人材も豊 富。今の時期は適材適所

から、まだまだ予断は許しませんが、最悪の事態はかな らず避けられると信じ
ております。
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posted by いんちょう at 23:40 | Comment(1) | TrackBack(0) | 原子力
この記事へのコメント
院長どの

この投稿を忘れないで欲しい!!

Posted by - at 2012年08月21日 12:07
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