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内部被曝通信

《91》 心のどこかに放射線に対する負い目

坪倉正治 (つぼくら・まさはる)

第80回第84回で、相馬高校の3年生に放射線の話をさせていただいたことを紹介しました。外部被曝と内部被曝の違い、今まで受けてきた検査が何を調べていて、その結果からどんなことが言えるのかがテーマでした。まだまだ伝わっていないけれども、じっくり話をすることによって前向きに考えようとする生徒が増えてくれる。そんなことを感じました。

先日、相馬高校で2年生対象に、相馬市立桜丘小学校で5年生に、放射線について話をする時間をいただきました。高校生には1時間半ほどでしたが、外部被曝については、第85回第88回のこと、内部被曝については第82回で紹介した内容などを伝えしました。

いつも気になることは、みんな淡々と日常を過ごしている中で、心のどこかで放射線に対する負い目のようなものを持っている生徒がいるということです。こうした表現は悪いかもしれませんが、いい言葉を思いつかないのです。「被曝のことをわざわざほじくり返して、触れないで欲しい」と言われることもあります。

それでも、妊娠や出産などに対して、不安を感じている高校生は現実にいます。現在の相馬市の線量が高いと思うか低いと思うか聞くと、「高い」が20%、「低い」が20%、「わからない」が60%です。同様に、「福島県で作られる食品は安全だと思うか?」とか、「水道水はどうか?」といった類いの質問に、全ての答えのトップは「わからない」でした。もちろん、どの食材が高くなり得るか?今も内部被曝があるとすれば、主たる原因が何か?などといった話題には、時間が足りなくて到達できません。

小学校でも、福島県産の米を食べたら体内のセシウムがどんどん増えるか?という質問に半数が、増えると最初答えました。地元の小学校だけにちょっとショックでした。もちろんそうではありません。皆さんは、米の全袋検査がされていることはご存じだと思います。

個人的には、風評被害って言葉が何を指すのか明確にはよくわかりません。実害との境が曖昧なことも多いし、実際に風評被害とも関係なく、多くの農作物が以前と変わらずやりとりされていることも少なくありません。よく言われることですが、その風評被害を小さくし、前に進むためには、まずは地元がしっかり今までの検査の結果を知っていくことしかありません。その一つとして、学校教育は大きな意味を持つと思います。

そんな意味でも、学校での放射線教育はもっともっと洗練されて行って欲しいです。授業前後のアンケートを見ると、短い時間でも効果はあります。

化学、物理、医学を含め、リスクやトレードオフなど、いくつかのことをバランス良く考えることができるのは、中学高学年から高校生でなければ厳しいというのが個人的な実感です。小中学校では放射線教育が指導要綱に含められていますが、高校には実は入っていないのです。

現状に対する評価は人それぞれでも構わない。けれども今の自分にもっと自信を持って欲しい。そう思っています。

授業を終えた相馬市立桜丘小学校の教室。聴診器を使っていいよと言ったら、放射線のことはそっちのけで、みんな興味津々でした。

坪倉正治 (つぼくら・まさはる)

東京大医科研医師(血液内科)、南相馬市立総合病院非常勤医。週の半分は福島で医療支援に従事。原発事故による内部被曝を心配する被災者の相談にも応じている。
坪倉正治さんインタビュー
健康・医療フォーラム2012

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