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韓国の手術は世界レベル、論文はデータ操作まん延

命を扱う学問なのに
「論文実績のプレッシャー」など理由に不正容認が慣習化

 韓国の有名大学病院など4病院が関与した今回の論文捏造(ねつぞう)事件は、他分野ではもはや見られない医学界の「あしき慣習」から始まったと指摘されている。論文に無関係な人物の氏名を書き加える「論文ただ乗り」、無謀な論文実績争い、原データ・原資料の操作などが医学界では慣習化し、まん延しているというわけだ。

 ソウル大学研究真実性委員会の調査によると、問題となった論文の共著者のほとんどは研究に参加していないだけでなく、論文が発表されてから論文の内容を把握したという。共著者として名を連ねているB教授は本紙の電話取材で「共著者として名前を入れるという同意もしていない上、まったく予期せぬ結果が出ており当惑した。医学界では論文に全く貢献していなくても共著者として氏名を載せる慣行が依然として残っている」と語った。

 こうした行為の背景には、タイトな手術・診療日程を抱える医師たちに「論文の実績を挙げろ」というプレッシャーがかかっているからだとの声もある。ソウル大学医学部のある教授は「研究課題は多いのに研究費は少ない。学界から注目されるにはSCI(科学技術論文引用索引)級の論文を発表しなければならないため、質的にも量的にも実績を挙げろというプレッシャーを受けている。だから実験室でのデータを入念に確認できない場合もある」と話した。

 医療界では、科学論文の基礎となる原データ・原資料を取捨選択する傾向があり、論文の結果が歪曲(わいきょく)されるとも指摘されている。ソウル市内の大規模総合病院の教授は「一般的な常識とは異なり、医学論文に出てくるデータは原資料通りでなく、研究目的に応じて選別されている傾向がある。論文に参加した人々でなければ分かりにくい閉鎖的な構造になっているため、捏造があったとしても(捏造があったかどうかを)知るのは容易でない」と語った。

 ソウル大学医学部の教授は「生命を扱う医学は最も正確かつ透明でなければならないのに、慣行という名の下に不正が容認されている。韓国の手術レベルは世界的にも優れているが、研究倫理はその半分にも達していない」と嘆いた。

イ・ミンソク記者
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