物価変動の影響を除いた実質賃金の低迷が続いている。厚生労働省が3日発表した10月の毎月勤労統計によると、名目の賃金指数を消費者物価指数で割って算出する実質賃金指数は83.5となり、前年同月比1.3%低下した。低下は4カ月連続。景気回復による生産増などを背景に名目の賃金は4カ月ぶりに微増となったものの、物価の上げ幅に追いついておらず、家計が圧迫されている。
調査は従業員5人以上の事業所が対象。名目の現金給与総額は0.1%増の26万7167円。残業代に当たる所定外給与が5.4%増と7カ月連続で増えた半面、基本給に当たる所定内給与は0.4%減と17カ月連続で減った。
来年4月の消費増税によって物価への上昇圧力が強まる見通しで、所得の増え方が鈍いままでは消費が冷え込む可能性もある。第一生命経済研究所の大塚崇広エコノミストは「消費者心理の冷え込みを緩和し、増税による景気の腰折れを避けるには、所定内賃金が今後どれだけ上がるかがカギ」と指摘する。
厚生労働省、第一生命経済研究所
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