救急救命士さんに気管挿管をしてもらうのは良くないのか?その5 [医学関連]
色々盛り上がってきているので、こちらに移しましょうか、、、、、
気管挿管が何でそんなもめるのか???と言う点を簡単に書きます。
気管挿管は、チューブを気管に入れる、たったそれだけの処置です。が、それをすることで、確実な気道確保が出来ます。人工呼吸器につないで、色々なことが出来るので、肺が悪い人、意識状態が悪い人、色々な人に役立ちます。これに反論する人はいないでしょう。
しかし、言葉では簡単ですが、実際は色々です。簡単に入る時もありますが、なかなか入らない場合もあります。また、入れる時には体が揺れると難しいので(そんな小さくはないが針穴に糸を通す操作だと思ってください)胸骨圧迫をしていたら止めないといけません(止めずに出来れば、それはいいですが、難しいです)。よって、挿管を行う作業(さあ挿管するぞ!となって、管が気管に入るまで)が良くないのです。血圧が上がったりする場合もあります。救急現場であれば、その時間だけ病院に着くのが遅くなります。
だからもめるのです。数秒で誰でも簡単にすぐ入るのであれば、ダメという人はいないと思います。
以上をふまえて、、、論点はいくつかあります。
・日本の統計を利用した研究で、救急救命士さんが気管挿管をした方が死亡率が高かったと言うデータがある。
こちらの文献です(英語ですが)。2005年1月から2010年12月までの統計を利用し、心肺停止になった患者さんに対して救急救命士が病院の外で気管挿管を行った群では神経学的に後遺症のない生存(つまり普通に社会復帰できた)は1.1%だったのに対して、気管挿管を行っていない群は2.9%だったという文献です。
問題点はいくつかあります。一つは心肺蘇生のやり方がこの時代と今では違うという点です(2010年に新しいガイドラインが出ています)。1.1%の生存率が2.9%にもなる!!とも言えますし、たった1.8%しか上昇しない(絶対リスク減少と言います。挿管をしないと1.8%低下しますから)とも言えます。これは感覚の問題です。この差が意味のあるものかどうか、、、、皆さんはどう思いますか?
ちなみに、この絶対リスク減少を逆数にしたものをNNT(number needed to treat)と呼び、NNT人にこの介入(この場合には気管挿管をしないという介入)をすると一人に意味があるということです。100÷1.8=55ぐらいです。55人に気管挿管をしないと一人がそのために助かると言う事です。他の54人は、何をしても亡くなる(ほとんどこっち)か、気管挿管をしたために助かります。
医学的にはこのNNTが二桁以内であれば意味があるとされています。悪い言い方をすれば、NNT-1人の人には無駄な介入だと言うことです。薬なんかもこんな感じで、ある割合の人は飲んでも意味がありません。が、誰がその一人になるか分からないので、、、、、、
・救急救命士が気管挿管を学ぶのは難しい。
医師でも気管挿管できない人がいます。救急救命士さんがトレーニングするにも、費用や仕事を休む余裕がない、指導する大切の問題など、色々大変です。また、現場で気管挿管をすることはめったにないので、、、、、、と言う私も最近は人形でしかしたことありません。
・だから気管挿管を辞めるべきでは?
皆さんどう思いますか?
・気管挿管が必要な患者さんはいないのか?
数は少ないでしょうが、間違いなくいます。その人たちのために、救急救命士さんが気管挿管をすると言う制度を残すべきか?気管挿管を行うために、逆に亡くなる人もいるかも知れないので、辞めるべきか?
純粋な医学的な議論では終わらない話なのです、、、、、
気管挿管が何でそんなもめるのか???と言う点を簡単に書きます。
気管挿管は、チューブを気管に入れる、たったそれだけの処置です。が、それをすることで、確実な気道確保が出来ます。人工呼吸器につないで、色々なことが出来るので、肺が悪い人、意識状態が悪い人、色々な人に役立ちます。これに反論する人はいないでしょう。
しかし、言葉では簡単ですが、実際は色々です。簡単に入る時もありますが、なかなか入らない場合もあります。また、入れる時には体が揺れると難しいので(そんな小さくはないが針穴に糸を通す操作だと思ってください)胸骨圧迫をしていたら止めないといけません(止めずに出来れば、それはいいですが、難しいです)。よって、挿管を行う作業(さあ挿管するぞ!となって、管が気管に入るまで)が良くないのです。血圧が上がったりする場合もあります。救急現場であれば、その時間だけ病院に着くのが遅くなります。
だからもめるのです。数秒で誰でも簡単にすぐ入るのであれば、ダメという人はいないと思います。
以上をふまえて、、、論点はいくつかあります。
・日本の統計を利用した研究で、救急救命士さんが気管挿管をした方が死亡率が高かったと言うデータがある。
こちらの文献です(英語ですが)。2005年1月から2010年12月までの統計を利用し、心肺停止になった患者さんに対して救急救命士が病院の外で気管挿管を行った群では神経学的に後遺症のない生存(つまり普通に社会復帰できた)は1.1%だったのに対して、気管挿管を行っていない群は2.9%だったという文献です。
問題点はいくつかあります。一つは心肺蘇生のやり方がこの時代と今では違うという点です(2010年に新しいガイドラインが出ています)。1.1%の生存率が2.9%にもなる!!とも言えますし、たった1.8%しか上昇しない(絶対リスク減少と言います。挿管をしないと1.8%低下しますから)とも言えます。これは感覚の問題です。この差が意味のあるものかどうか、、、、皆さんはどう思いますか?
ちなみに、この絶対リスク減少を逆数にしたものをNNT(number needed to treat)と呼び、NNT人にこの介入(この場合には気管挿管をしないという介入)をすると一人に意味があるということです。100÷1.8=55ぐらいです。55人に気管挿管をしないと一人がそのために助かると言う事です。他の54人は、何をしても亡くなる(ほとんどこっち)か、気管挿管をしたために助かります。
医学的にはこのNNTが二桁以内であれば意味があるとされています。悪い言い方をすれば、NNT-1人の人には無駄な介入だと言うことです。薬なんかもこんな感じで、ある割合の人は飲んでも意味がありません。が、誰がその一人になるか分からないので、、、、、、
・救急救命士が気管挿管を学ぶのは難しい。
医師でも気管挿管できない人がいます。救急救命士さんがトレーニングするにも、費用や仕事を休む余裕がない、指導する大切の問題など、色々大変です。また、現場で気管挿管をすることはめったにないので、、、、、、と言う私も最近は人形でしかしたことありません。
・だから気管挿管を辞めるべきでは?
皆さんどう思いますか?
・気管挿管が必要な患者さんはいないのか?
数は少ないでしょうが、間違いなくいます。その人たちのために、救急救命士さんが気管挿管をすると言う制度を残すべきか?気管挿管を行うために、逆に亡くなる人もいるかも知れないので、辞めるべきか?
純粋な医学的な議論では終わらない話なのです、、、、、
2013-11-26 12:52
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コメント(38)
何度も書いてごめんなさい。
救命士に認められている「喉頭展開ができ、声帯を確認できる」状態であるなら正しい手技で挿管すればよいと思います。
自販機から缶コーヒーを取り出す程度の手技です。その辺の小学校高学年くらいなら「喉頭展開されて声帯が確認された状態」なら正しく挿管できると思います。
「喉頭展開、もしくは声帯の確認が出来ない」状態なら挿管すべきでないと思います。
仮に救命士が食道挿管をしたり挿管を難しい手技だと認識してるのなら、恐らく、確認もできていないのに挿管しているか、そもそもどの状態なのか判断できていないのかどちらかだと思います。
by がちぽて (2013-11-26 13:46)
がちぽてさん、コメントありがとうございます。
口頭展開が出来、声帯の確認が出来ると言うのが難しい処置なんだと思います。適当に挿管している救急救命士さんはいないと信じたいです。
定期的に訓練が出来るような大切が出来るといいなと思います。
by Kim (2013-11-26 14:13)
その段階が困難な症例は、認められている適応症例でないはずです。
絶え間ないCPRを下手くそな挿管手技で中断してるのが神経予後を悪くする理由じゃないこと思います。
私が現場の人に聞きたいのはまさにここで、適応の判断は適切に出来ていて、適切に挿管の手技が行われてるのですか?ということです。それができているなら挿管に手こずるという場面はないと思うのですが。(だって喉頭展開や声帯の確認が出来なければ適応外でしょ?)
by がちぽて (2013-11-26 17:47)
救命士は喉頭展開し、コーマックグレード1であるか、BURP法を用いてコーマックグレード1であれば、気管挿管を実施しています。Kimさんのおっしゃる通り、難しいと感じるのは、生体による喉頭展開自体をすることが年に数回あるかないかであり、ただ単に圧倒的に症例数が少ないからです。いくら人形で練習していたとしてもやはり生体とは違いますので。
確認できていたのに食道挿管してしまうのは、おそらくチューブを手にする際に一瞬目を離してしまっているか、もしくはチューブの挿入の角度が視線を遮るような角度になってしまってい声帯通過を完全に目視していないのでしょう。
前者の原因はただの不注意(車両の揺れによるものも含めての)であり、後者の原因は基本的な手技の練習不足だと思います。その点は、言い逃れはできない部分であると思いますのでそういった救命士はしっかりとその点を意識した訓練をすべきでしょうし、定期的に病院での研修を実施する期間を設ける必要はあるでしょう。
ただ、リスクアセスメント的な考えも同時に考えておく必要があると思います。現在、多くの救急隊は気管挿管後の確認として、胸部挙上の視認、5点聴診→エアウェイチェッカー、イージーキャップでの確認を実施しています。しかし、これでは食道挿管の可能性を100%否定できないとされています。そのため、徐々にCO2カプノメーターの使用が広まりつつあります。これを使用できるようになることで、食道挿管に気付かないという危険性は随分と減るはずです。さらに、エアウェイスコープの使用も救急現場で認められる方向で話が進んでいるようですので、この点でも食道挿管という事態は起こりにくくなると考えています。
あと、最後に一つだけ。がちぽてさんの「自販機から・・・や小学校高学年くらい・・・」といった例えは特に必要のない表現です。そんなに簡単な手技もできないなんて・・・といったようなことを相手に思わせようとする見下した表現は慎んでいただきたいです。
by セコライフ (2013-11-26 19:32)
がちぽてさん、コメントありがとうございます。
おっしゃりたいことは本当によく分かりました。確かにおっしゃる通りです。声帯が見えなければ撤退する、、、、医師もそうしなければなりませんね。
by Kim (2013-11-26 21:10)
セコライフさん、ありがとうございます。
お互い将来のもっとよりよい姿を夢見て頑張りましょう!
by Kim (2013-11-26 21:15)
余計な表現を入れたのは「挿管とは難しい手技である」という誤解を解くためです。救命士には「難しい挿管(例えばグレード3や4)」は、認められていないからです。
救命士に認められているのはグレード1の「声帯の全体が確認出来る」状態のみで、「少し目を離したから見失う(そもそも、挿管時点で見えないのはグレード1ではないと思いますが)」とか「角度で見えない(だって声帯の中に留置されたかどうかは目視出来るんだよ?それをしていないならどうやって深さを決めるの?)」とかは普通はあり得ないと思います。
入念なチェックは本来「グレード3や4(もともと声帯見えてないから)」に、すべき処置(別に1にしてもいいけれど、声帯の中にチューブが留置された状態を目視出来ていれば、本来、絶え間ないCPRを中断してまで確認しまくることではないと思います。)と思います。
何度も言いますが、私の想像では「この人は挿管すべきである」と判断し、「んー、声帯がよく見えない!(これば私の手技が悪いのかも、よって本来適応症例だ!)ちょっと手を止めて!」とか言いながら時間をかけて、挿管してるんやないかと思っています。
グレード2とかでも実際はしてるんやないですか?だから最後の声帯の中にチューブが留置されてるのを十分に確認できないのやないですか??
過去に多くの救命士を卒業させた身としては、あの、論文は十分に衝撃的であり、当時の努力を全否定された気持ちで悲しく思います。
現場にいるのは挿管に関しては素人の人ばかりでしょ?どうやってお互いの手技だの判断だのの正しさや誤りをフィードバックし合うのか疑問ですし
、再教育だの、トレーニングだのって、何度も言いますが「救急専門医」ですら「最近挿管してない」という状況の中どうやってやる方法があるのかな?と思います。
そういった意味で、日本では救命士に更なる精度での挿管を求めるのは酷であると思います。救命士が、撤退の判断が出来ないならやめさせる方がよいと思います。
また、医師は撤退してる場合やないとおもいます。
院内発症と院外発症は別だと思います。
by ガチポテ (2013-11-27 02:03)
・いくら人形で練習していたとしてもやはり生体と人形とでは違う。
・生体による喉頭展開自体をすることが年に数回あるかないかであり、喉頭展開し、コーマックグレード1であるか、BURP法を用いてコーマックグレード1の状態に持って行くことが「難しい」と感じている。
・基本的な手技の練習不足は言い逃れできないし、定期的に病院での研修は現状で来ていない。
しかし、
・ 救命士個人の考えは知らないけれど、消防の組織として「30症例の経験を積ませるだけでも人で不足で困る」「もっと症例数を下げられないか?」などと言っている段階です。
そして、
・ 実際統計を取ると、「救命率向上には貢献せず、神経学的予後を悪化させた」んです。
どう考えても救命士の熱意が国民にとって不利益になっていると思いませんか?
あとKimさんのNNTの説明は何を述べたいのか少し意味が分かりません。
一応number needed to treatなんだから、患者に取って利益が出る方を「介入(treat)」としましょうか。
>NNTが二桁以内であれば意味がある
から、NNT二桁以内の介入はすべきである、ということですよね?
>(絶対リスク減少と言います。挿管をしないと1.8%低下しますから)
というのは「挿管(実際はadvanced airway management)をすると1.8%低下する」ですよね?つまり、「BVM換気のみを行う」がNNTのtreatにあたりますよね?
今回の神経学的予後の良い生存(BVM:AAM=2.9:1.1)で、「Advanced airway managementを行わないという介入」についてのNNTが55というのは、
「55人の人に、advanced airway managementを行わない、と言う介入を行うと、1人の人は神経学的予後良く生存する」ですよね?
「55人の人にadvanced airway managementを行うと、そのために1人が神経学的予後の良い生存を得られない」んですよね?
二桁以内であれば意味が有るなら、「advanced airway managementを行わない」という方法にはとても意味が有るのではないでしょうか?
「54人の人に取っては無駄であり、1人の人に取っては有害な処置」を行う意味合いって何でしょう?
この統計が正しければ「救命士の挿管を認めない(その他advanced airway managementも)」だけで、「6年間で5000人の人が神経学的予後良く助かる可能背が有る」ということなんですが、その点現場の救命士さんはどう思ってる訳?なのかと思います。
見下すつもりは有りませんが、「出来ないことを頑張って患者の予後を悪くしている」なら、「出来ないことにこだわる必要」は無いと思います。
また、都合の良く結果を解釈して
>研究対象者数が多すぎる場合、仮説検定の結果で「有意差あり」(例:P<0.05)となっても、「臨床的な有意差はなし」となることが多くなる。」
との意見も有りましたが、
今回は例えば一ヶ月後の生存率の向上にでも貢献はしていないし、いい結果は「(生データでの)自己心拍の再開」だけな訳ですよ?仮に、仮に「Nが多すぎで統計したからタイプ1エラーでちゃっただけじゃない?(本当は挿管などは予後を悪くしないんじゃない?)」と詭弁を述べ上で「advanced airway managementにいいとこなしって結果はタイプ2エラー(臨床的には本当はやったほうがいいんじゃない?)だよね」ってのは少し無理が有りすぎると思います。
現場の救命士さんも普段の努力を否定されているようで心情的に難しいかもしれませんが、もう少し冷静にこの論文のtable2やらを見た方がいいと思います。
私の見下した発言は、多くの人(救命士さん)に不愉快な気持ちを与えている攻撃的なものに見えるかもしれませんが、あなた方の医療行為で6年間で5000人の人に不利益が有った可能性を、医療の専門家として、少し冷静に考えられるべきだと思います。
その点について、現場の救命士は本当にどう思ってるのでしょう?
いろんな制度を変えて治療成績を1.1%→2.9%にあげるより、まずは何もしないことで成績をあげる方がとても建設的であると思うのですが。
by がちぽて (2013-11-27 03:41)
がちぽてさん、コメントありがとうございます。
>二桁以内であれば意味が有るなら、「advanced airway managementを行わない」という方法にはとても意味が有るのではないでしょうか?
医学の中の人間はそうですが、一般の方はどう思いますか?と言う問いかけです。P<0.05でも、何故0.05なのかという科学的な根拠はないと聞いています。間違っている可能性が10%だとなかなか納得いかないが、5%なら、、、、、と。
NNTが99の場合、99人の人がある薬を使ってみて、本当に使ってみて意味があるのは1人というのが有用と思いますか?と言う意味です。
>「54人の人に取っては無駄であり、1人の人に取っては有害な処置」を行う意味合いって何でしょう?
上手く言えませんか、そこも一般の方に伺いたいことです。
あと統計のことはよく分かりませんが、とにかく論文の著者が、直ちに救急救命士が挿管を辞めるべきか?と言っているところは大事だと思います。色々条件を変えたら意味があるかも知れません。
by Kim (2013-11-27 07:38)
いやいや、あなたのいってることは、やはりおかしいですよ。私には理解できません。
55人に投与して一人に効果がある薬をどうとらえるかは難しいですし、一般の人と医療者で意見が異なるのもわこります。ですが、55人に投与して一人に有害事象を起こす薬剤になんの価値もないでしょ?どういう考えでそうなるのか私には理解できませんが、、、。
「この薬は現状なんの効果もない可能性がありますが、薬飲まなくても利益あるのは飲んだことで有害事象が起きる55人中の1人だけですから、やっぱ飲むのも大事かもしれません。」
ってむちゃくちゃでしょ。
この論文どう読んでもいろんなところに配慮して、一応可能性としてはまだ挿管したほうがよかった人もいるかもしれないって書いてるだけで、完全に救命士による挿管も正門上器具の使用さえも否定しているようにしか見えません。
その点救命士の方は本当にどう思ってるのやら?
by がちぽて (2013-11-27 08:27)
がちぽてさん、コメントありがとうございます。
そのように表現すればおかしいですね。私はそうは言っていません。
55人に挿管をしないという介入をしたら、一人に意味があるという風に言っています。その解釈が間違っていれば、おっしゃる通りです。
あと筆者のコメントには、救急救命士の挿管をやめるべきだろうか?挿管が必要である場合もあるので、さらなる検討が必要であると書かれていますよ。
それから、非常に質の高い研究でこうだから、それに反することは一切してはならないというのは、正しい医療ではないと思います。
それこそ、挿管以外に、日本ではたくさんされていますよ。風邪に抗生剤、熱が出たら解熱剤、軽症外傷にレントゲンやCT、心肺停止にメイロン、、、、全てやめるべきなんでしょうか?
それから、小児の発熱にアスピリンは使わない、、、と言うのは、ライ症候群との関連が指摘されたためですが、それは否定されています。が、危険なことは避ける、他に良い方法があるから、、、、と言う事で現在は禁忌みたいに書かれています。が、どうしてもアスピリンでなければならない場合には、それでいいでしょう。
だから、どうしても気管挿管でなければならない場合には気管挿管でいいと思います。そのような事例があると信じるので、気管挿管の廃止には反対です。気管挿管は悪いことが示されている事は知っているがやる、、、と言うのは全く問題ないです。それでもやる理由があるのですから。
これ以上議論しても仕方ないので、これはこれで良いのではないでしょうか。がちぽてさんは、救急救命士さんが現状での気管挿管には反対で、その理由はよく分かりました。本当に色々勉強になりました。ありがとうございます。
by Kim (2013-11-27 11:00)
再確認ですが、私は気管挿管が生存率を低めていると言うデータを出した論文を無視するつもりはありません。その結果はきちんと認識しました。
それでも、、、と言う事です。そして、全例に挿管すべきとも言っていません。必要な人がまれでしょうがいると考えますし、その時のためだけに気管挿管の技術を持っていて良いと思います。
http://spell.umin.jp/EBM.htm
このサイトには、こうあります。
「決してエビデンス通りの判断をすることがEBMではないのです.」
by Kim (2013-11-27 14:52)
「55人に挿管しないと言う介入をすると一人にメリットがある。」って本気で言うてるの??申し訳ないけどアホやないですか??
「55人ある医療行為をしないと言う選択をすると一人の人にメリットがある。」からといって、「その医療行為をしないという選択は本当に正しいでしょうか??その医療行為してもいいんやないですか?」
ってことでしょ?
「医療行為」を「薬の内服」に変えてくださいよ。
あと、あなたの例の多くはすぐにやめるべきだと思いますけど???
風邪に抗生剤ってあなた、まさかまだイソジンで傷口洗ってる系ですか?
かなり失望しました。ここまで程度が低いとは思っても見ませんでした。
見下すようで申し訳ないけれど、本当に残念です。
by ガチポテ (2013-11-27 15:01)
ガチポテさん、失望したのにコメントいただき感謝申し上げます。
論文の解釈が間違っていたようで、ご指摘いただきありがとうございます。それでも、それを直ちに医療にそのまま適応することは正しくないと思います。
それから、風邪に抗生剤は私はやっていません。他の例は私が全てやっていないことです。過去にこれらについては書いています。お忙しいでしょうからご覧にならない方が良いと思います(またご指導頂かないといけなくなるでしょうから)。
程度の低い医者にここまでおつきあい頂けるガチポテさんは本当に素晴らしい方ですね。是非この情熱を、こんなくだらないブログにあてないで、救急救命士さんや若い先生たちに向けて頂けると嬉しいです。
by Kim (2013-11-27 15:59)
この論文は、病院実習に来られた救命士さんに読んでもらいお互いの意見を述べ合ってもらう良い題材にさせていただいています。
問題提起、という意味でとても良い論文と思います。
通読して、読者がもつ解釈は様々でよいでしょう。
毎日、軽症から重症まで、患者はもちろん患者家族対応をしていく中で、その症例に対する「正解の医療」なんてものはないのだなあ、と日々勉強させていただいています。
世知辛い世の中になり、少しでも医療ミス、ミスといわないでも患者の意に沿わない、結果が悪い、というだけで訴えられる時代になりました。
同じような想いをしている医師は多いはずです。
酸いも甘いもかき分けて・・・です。
そんな同士を相手に「アホやないですか?」はいただけません。
ガチポテさん、ここは訂正したほうがいいですよ。
議論を見る限り、どちらも良く勉強されてますし、きっと患者さん想いのnice doctorなんだと思われますので。
最後に、この論文で平出先生が言いたかったことは
「胸骨圧迫を絶え間なく行うということの重要性」
だと解釈し、救命士さんにも伝えている、というのが私のスタンスです。
つまらないコメント、すみませんでした。
by 長嶺貴一(北九州総合病院) (2013-11-28 10:37)
長嶺さん、コメント誠にありがとうございます。
実名、そして勤務先まで。良い教材として使われているんですね。確かに色々なことが学べそうですし、夜の教材としたら、一晩でも足りませんね。
http://www.youtube.com/watch?v=7h7F7sQ_FNc
これからもよろしくお願いいたします!
by Kim (2013-11-28 11:22)
長嶺先生
初めまして。
>通読して、読者がもつ解釈は様々でよい
と私も思いますが、明らかに誤った解釈を行うことは、患者に対して不利益を与えると考えます。
特にKimさんは「救急科専門医」としてブログを作成し、幾つかのコメントに寄れば、「専門外のものにとって分かりやすく勉強になる有用なブログ」として認識されているようです。そのようなブログで、誤った解釈を「こういう考えもある」と提示するのはとても有害であると考えます。
私が「アホやないですか?」と言った経緯については、コメントを見てもらえばよいと思いますが、
NNTについてのブログ本文の記載
kimさん
>55人に気管挿管をしないと一人がそのために助かると言う事です。
>これは感覚の問題です。この差が意味のあるものかどうか、、、、皆さんはどう思いますか?
について、
私
>「54人の人に取っては無駄であり、1人の人に取っては有害な処置」を行う意味合いって何でしょう?
と問いかけると、
kimさんは、
>医学の中の人間はそうですが、一般の方はどう思いますか?と言う問いかけ
>NNTが99の場合、99人の人がある薬を使ってみて、本当に使ってみて意味があるのは1人というのが有用と思いますか?と言う意味です。
と、あたかも一般人と専門家の意見はずれる場合があるでしょ?というコメントがあったので、
私
>55人に投与して一人に効果がある薬をどうとらえるかは難しいですし、一般の人と医療者で意見が異なるのもわこります。ですが、55人に投与して一人に有害事象を起こす薬剤になんの価値もないでしょ?
>「この薬は現状なんの効果もない可能性がありますが、薬飲まなくても利益あるのは飲んだことで有害事象が起きる55人中の1人だけですから、やっぱ飲むのも大事かもしれません。」
>ってむちゃくちゃでしょ。
と、平易にお伝えしましたが、
kimさん
>そのように表現すればおかしいですね。私はそうは言っていません。
55人に挿管をしないという介入をしたら、一人に意味があるという風に言っています。
と、私にはあまりにも理解できない、かつ、患者さんに対して有害なことをおっしゃられましたので、「申し訳ありませんが」と前置きしてそのような表現を用いました。
私も医者ですから、頭ごなしに相手を非難することについて、色々と問題があるであろうことは承知していますが、これだけ伝えても「そのように表現すればおかしいですね。私はそうは言っていません。55人に挿管をしないという介入をしたら、一人に意味があるという風に言っています。」と返されると、私の中では「?????」だったのですが、長嶺先生にはこのkimさんのおっしゃる意味がお分かりでしょうか?もちろん現状kimさんは「論文の解釈が間違っていたようで、ご指摘いただきありがとうございます。」と述べられているので、もうどうでもいいことですが
kimさんのこの論文でのNNTの捉え方(55人に挿管をしないという介入をしたら、一人にメリットがある、けれども本当にそれって意味があるのでしょうか?)について、どうお考えになられるかの一点について、救命救急センター長としての、御意見を伺えると幸いです。
by がちぽて (2013-11-28 13:25)
Kim先生、がちぽて先生 熱い議論を拝見しました
この論文には、日本ウツタインデータのデータの質の問題、特に病院前のPredictorの種類が不足していることと、転帰の調査に限界があるという問題があります。また、Propensity score matchingはこのRCTが困難なテーマに答えを出すために正しい手法ですが、多くの他の研究でもそうであるように、effectをおそらく大きく見積もるでしょう。その限界はあるにせよ、私の感覚や経験は、胸骨圧迫の中断と搬送時間の延長を招く病院前の気管挿管を支持していませんでしたし、この論文の結論は科学的にも感覚的にも納得できます。
がちぽて先生は科学的には正しいことを言っているのだと思います。しかし、行動変容を促すやりかたとすれば、その攻撃的な表現は損をしています。ネットではよくありますけどね。残念だなと思いました。
by 救急医シロ (2013-11-28 16:35)
救急医シロ先生
>胸骨圧迫の中断と搬送時間の延長を招く病院前の気管挿管を支持していませんでしたし、この論文の結論は科学的にも感覚的にも納得できます。
私も同感です。
長嶺先生も
>「胸骨圧迫を絶え間なく行うということの重要性」
を言われています。
私は、このブログに対するコメントとして、当初から
>「技術を習得できないであろう症例数(30症例)で、修了させ、技術を維持できないような現場での経験によって運用されていること」
が問題
>絶え間ないCPRを下手くそな挿管手技で中断してるのが神経予後を悪くする理由じゃないこと思います。
と述べていました。
攻撃的な表現は損をしていると思いますが、長嶺先生のような「相手のことは否定せず尊重しつつも、自分の見解は述べる」だけだと、Kimさんの非科学的なのに科学的っぽくしているブログを読んで、「あー、そうかこういう考え方もあるんだ」と納得されるコメディカルや、学生、研修医云々に対して、大きなmiss leadを与えると思います。
別に学会やなんかで、若手医師がアホな発表をしていても、その場に居る人は「あーあ」ですみますが、「専門医」を名乗って、非科学的なことを掲載するのはそれなりに非難されるに値すると思いますが、どうでしょう?
まぁ、攻撃的な表現で損するのは重々承知の上です。
ただ、こうでもなってなければ「長嶺先生」や「シロ先生」の降臨も無かった訳で、よかったと思っています。(救命士や看護師には「kimさんのブログはとてもためになっている。それに文句をつけるとはどういうことか!?」的なコメントをいただいていたので)
by がちぽて (2013-11-28 17:22)
この論文でPropensity score match後の神経学的転機良好生存は、
Advanced airway management 3.2% versus それ以外 1.0%
で、この差は決して小さくないです(NNH 45)。論文ひとつで救急救命士の挿管を全てまかりならんというのはやり過ぎかもしれませんが、この研究を救急医が知り、自分が指導医の立場で救急隊にどう指導するのかはこのデータを十分に吟味して考えるべきです。僕は、蘇生可能性の高い症例には、原則として、BVMで搬送しろ胸骨圧迫を止めるなと指導することに変えました。
by 救急医シロ (2013-11-28 18:15)
以前からこのブログは存じておりまして、先に非礼をお詫びしますが、Kim先生が時に科学的な至らなさを見せることも存じています。この論文において、科学的に正しく理解していると思うのはたしかにがちぽて先生です。それを指摘することも正しいです。支持します。僕が支持しないのは、攻撃的な文章の一点であり、そこはむしろ、この文章を承認して載せ続けることのできるKim先生を尊敬します。
長嶺先生や小生が出てきたのは確かに荒れたからかもしれません。鋭いなあと思いました。でも、成人教育でも再三言われますように、行動変容を期待するには効果の薄いやり方だと思います。
Kim先生もできれば科学的な議論の盛り上がりのために承認し続けて頂くことを、僕は期待しています。
by 救急医シロ (2013-11-28 18:33)
シロ先生、長嶺先生
ようやく救急に携わる先生方が来てくださったので、私はなぜこのブログに攻撃的なコメントをしてしまうことになったきっかけのエントリーについてご紹介します。
http://kekimura.blog.so-net.ne.jp/2013-11-19
http://kekimura.blog.so-net.ne.jp/2013-11-22
「貧血とSpO2低下のどちらが怖いのか?」というタイトルで始まるこのエントリーでは
「酸素含有量という点では、Hb7台と、SpO2=78%は同程度である。」
ということが述べられていたので、
「いやいや抹消の酸素消費を考えたら、明らかにSpO2低下の方が患者にとって不利益ですよ」
と、なるべくKimさんの御意見を尊重しながら丁寧にお伝えしたつもりです。・・・が、あまりにご理解が得られなかったので、強い口調に変わってしまいました。その続きがこの挿管に関するエントリーでしたので、相変わらず強い口調が続いてしまいました。
22日のブログで
kimさん
>血液中に含まれる酸素の量が同じだったら、末梢で利用される量も同じとは書いていません。そこまで書く意義はないと考えたので書いていません。ブログはそういう物ではないと思います。教科書を読んだら良いんです。
>SpO2が78%で何もしないとは言っていません。焦らないようにと言う気の持ち方だと書きましたよ。酸素含有量はSpO2が78%とHbが7と同じぐらいなんだ、、、、、と言うことにちょっと感動したので記事にしただけです。そこまで突っ込まれるとは思いませんでした。SpO2が78%でも平気なんだ、、、、と感じる読者の方はいないと信じていますが、それは私だけなんでしょうか。
に対して私は
>普通の感覚をもっていれば
「どちらが怖いか」=「どちらが患者にとって危険か」だと思うと思いますが、どうなんでしょう?
「どちらが患者にとって危険か?」を述べるのに「末梢での酸素利用」を述べる意義が無いなんてとても私には理解出来ません。
それについては二人が話していても埒が明かないので第三者が出てくることを待ちましょう。
というところで議論が終わっているので、よければ第三者として、面倒くさいとは思いますが、コメントいただけると幸いです。
by がちぽて (2013-11-28 19:21)
一度やると決めたこと(救命救急士の気管挿管)をあっさりと引っ込めるのは、日本社会では難しいことですよね。悩ましいです。
by 救急医シロ (2013-11-28 22:17)
このkim先生のブログは以前から読まさせていただいています。
がてぼち先生との議論も大変、興味深く又参考になります。
どちらが医学的に正しいかは別にして…
ただ、がちぼてさんの間違えている点は、私もシロ先生と同じで、攻撃的な文章や相手を見下すような文章だと思います。
医療はチームでするものです。
もちろん、がちぼてさんが実際の現場で、周りのスタッフに対して、ここでのような態度だとは思いませんが、でも少なくても私のような一般人は、がちぼてさんよりkimさんのような医師に診て欲しいと思いますよ。
周りのスタッフを見下したり、アホ呼ばわりする人とはいいチームは組めません。
がちぼてさんは「挿管なんて小学生でもできる」というようなことを言ってますが、それはあなたの尺度で測ったことです。
みんなが同じレベルの手技を持っているわけじゃない。
その中で重要なのはお互いを補完しながら、患者さんのためにより良い方法で医療を施すことだと思います。
がちぼてさんにはその点が欠けていると思います。
BLSの指針も以前とは変わっています。
でも、これで完璧というわけじゃないと思います。
私は素人なので、ここで学術的な議論をしても正直、理解でいないことがありますので、一般人の立場で意見を述べさせて頂きました。
by もえちゃん (2013-11-28 23:20)
>シロ先生
あちらへもコメントありがとうございます。
>もえさん
一つだけ言わせてください。
>私は素人なので、ここで学術的な議論をしても正直、理解でいないことがありますので
私はこれが重要だと思います。同じ医師同士であればシロ先生のように
>この論文において、科学的に正しく理解していると思うのはたしかにがちぽて先生です。
と評価してくれます。なので、kim先生をアホ呼ばわりしなくても、どちらが正しいことを述べているか理解出来ます。
ただこのブログは、「学術的なことを理解出来ない素人」も読まれて、しかも「私は透析を専門に看護師をしています。 そんな私にとって、このブログの内容は専門外の内容が多いですが、日常業務に役立つものだからです。」とおっしゃる方もおられるようです。
それなのに、
>以前からこのブログは存じておりまして、先に非礼をお詫びしますが、Kim先生が時に科学的な至らなさを見せることも存じています。
と、「あー、間違えているな」と医師が感じることが掲載されているのが実際です。
なので、kimさんの誤りを強く指摘する為にそのような表現になってしましました。最初の頃は遠回しに誤りを指摘してたんですよ。
ちなみに医者の世界では、間違ったことを指摘してもらえるのは卒後5年程度です。専門医を取得した医師が何か誤ったことをしていても通常大きな指摘をしないのが医者の世界です。
そんななかで、私にはメリットが無いのに、こうして時間を割いて丁寧に誤りを指摘している私って結構いいやつです(一般の方には理解出来ないかもしれませんが)。
まぁそういうことです。
あと、基本的にはkimさんは、勉強熱心ながんばり屋さんだと思いますし、「いい先生」なんだと思います。でも、現状私の大事な人を診てもらいたい医師ではありません。頑張って実力の伴ういい医師になってもらえればと思います。
Kimさんのコメントをお待ちしております。
by がちぽて (2013-11-29 00:53)
救命医シロさん、コメントありがとうございます。
色々なご指摘しっかりと受け止め勉強させて頂きます。これからもよろしくお願いいたします。
by Kim (2013-11-29 00:58)
もえちゃんさん、コメントありがとうございます。
色々不勉強なところがありますが、これからも分かりやすい記事を頑張って書きますのでよろしくお願いいたします!
by Kim (2013-11-29 01:00)
がちぽてさん、メリットがないのに時間を割いて頂き本当に感謝申し上げます。
誤解があるようなので、、、、長文になるかも知れません。
間違いがあれば、根拠を示してください。私は根拠を示すようにしています。その根拠が正しい資料かどうかは、読んでいただいて判断していただけると思います。
自分が完璧で間違いがないとも思いませんし、きちんと説明して頂けば理解するつもりです。
問題となっている論文については理解しました。私は統計についても英語についても不勉強でした。大変申し訳ありません。
挿管すると44人に一人に不利益(死亡)があると言うきちんとしたデータです。
ちなみに、何故「挿管をしないという介入を55人にすると一人助かる」と言ってはいけないのか、お返事いただいていませんが、他の所で解決しましたのでスルーしてください。
私は某ITCでAHAのインストラクターをさせていただいています。胸骨圧迫の中断がいけないと言うことは知っています。
全例に挿管をすべきだとは言っていません。必要な人が10万人に一人であっても、救急救命士さんが挿管できる資格を持っていることが必要ではないかと言っています。個人的にはもっと多くの人で挿管が必要だと思います。これには医学的な根拠はありません。そして、エアウェイスコープなどが認められる方向に検討されているようですが、そのような方法で気管挿管の成績が向上する方法を考えたい(未来の理想とする救急救命士を見たい)です。これには専門でない方でも意見を言えることだし、言ってもらうべきだと思っています。データで悪いという結果が出ていますが、どう思いますか?と言う事です。
救急救命士さんが挿管を辞めるべきだという意見は、それで良いと思います。私はそうは思いませんと言っているだけで、否定している訳ではありません。がちぽてさん、救急医シロ先生は挿管を辞めるべきだという意見で、そう言う意見もあると理解しました。
CaO2についての理屈は、おっしゃる通りです。色々教えていただき感謝しています。私は低酸素が危なくないとは言っていません。酸素がどのぐらい放されるかとかあるでしょうが、低酸素になっても酸素含有量は結構あるんだな、焦らず、でも遅くならないように、周りのスタッフを焦らせないように、落ち着いて行動するために、そう思うべき、、、と言っただけです。この点については、突っ込まれても困ります。落ち着いて行動するように、、、、って思っちゃいけないんですか???ちなみに、あの記事はただICU Bookの最新版が出たと言う事を紹介したかっただけです。あと「A 50% reduction in [Hb] (from 15 to 7.5 g/dL) results in an equivalent 50% reduction in CaO2 (from 20 to 10 mL/dL), while a 50% reduction in the PaO2 (from 90 to 45 mm Hg, which corresponds to a decrease in SaO2 from 98% to 78%) results in only a 20% decrease in CaO2 (from 20 to 16 mL/dL). 」のonlyはどんな意味か教えてください。
これからも、おごらず、謙虚に、地道に、良い医療が出来る様に頑張りたいと思います。よろしくご指導のほどお願い申し上げます。
by Kim (2013-11-29 01:19)
まず、根拠根拠とおっしゃられますが、シロ先生がおっしゃるように、第三者の医師からみて、「科学的に正しく理解している」のは私であり、医師が納得出来る程度のコメントをしているつもりです。
>何故「挿管をしないという介入を55人にすると一人助かる」と言ってはいけないのか
その表現を問題にしたのではなく、その後ろの「でもそれって本当に意味があるのでしょうか?」というのがおかしいと述べました。
何度も言いますが、
>55人に投与して一人に効果がある薬をどうとらえるかは難しいですし、一般の人と医療者で意見が異なるのもわこります。ですが、55人に投与して一人に有害事象を起こす薬剤になんの価値もないでしょ?
ってことです。ここでの「薬剤」=「救命士による気管挿管」です。
気管挿管に関しては、熟練者が適切に行うのであればCPRの結果を悪くすることは無いと思います。挿管にかかる時間や食道挿管にならないことはもちろん、挿管後の気道内圧、分時換気量など、様々なことを十分に適切に出来るのであれば、少なくともBVM換気よりも結果を悪くする理由はほとんどないと思います。
救命士がそれを適切に行えておらず、それを適切に行わせるだけの経験を積ませることが不可能であるならば、現実問題として「挿管を中止する」という決断は必要だと思います。
10万人に1人の挿管によって助かる命の為に、助かるはずだった1000人を見捨てるのはあまりにも現実的でないと思います。
CaO2の問題に関しては、あらためてご理解がされていないようです。
御自身がそのように「低酸素になっても酸素含有量は結構あるんだな、焦らず、でも遅くならないように、周りのスタッフを焦らせないように、落ち着いて行動するために、そう思うべき」ととらえられることには別に問題は無いと思いますが、貴方の記載は「この体重60kgの患者さんは4L程度出血している。体内の血液は1L程度しかないかもしれない。でもまぁ乳児からしてみれば十分な血液量だな。余焦らず対処しよう」と言っているのと同じレベルですよ。それは理解していますか?なんというか、「焦らず落ち着いて行動しよう」の根拠が、「とても非科学的」なんです。「今日の星占いの運勢で1位だったから焦らず落ち着いて行動しよう」と同程度に意味の無い根拠だということを本当に理解されていますか?
onlyは「たった」という意味です。
「PaO2が半分になってSpO2が78%になってもCaO2はたった20%しか低下しないのに、Hbが半分になると、CaO2は50%も低下するんだよ」
と言う文章です。
その文章の前には
There is a tendency to use the arterial PO2 (PaO2) as an indication of how much O2 is in the blood.
「血中にどれだけの酸素があるかという指標にPaO2が使われがちだよね」とあります。
その文章の後ろには
This demonstrates that anemia has a much greater influence on arterial oxygenation than hypoxemia. The PaO2 measurement is useful for evaluating gas exchange in the lungs not for evaluating the oxygenation of blood.
「これって、貧血の方が低酸素よりも動脈血の酸素化に影響を与えるってことだよね。PaO2はガス交換の指標には有用だけど、酸素化の指標には向いていないよね。」とあります。
つまり、
「酸素化ってことを考えるときに、PaO2って指標を参考にしがちだけど、みんなが怖いと思っているSpO2 78%での動脈血酸素含有量より、SpO2が正常でもHb半分の時の方が酸素含有量は低いんだよ。PaO2ってガス交換の指標には適してるけど、動脈血酸素化ってのを評価するには適さないよ」
と言う文章です。
決して、決して、「SpO2が低い状態でも、Hb7台くらいの酸素が血液に溶けてるから、その程度の焦りかたでいいんだよ」と言う文章では有りえません。
何度も言っていますが、「酸素含有量は結構ある」ことはになんの安心材料にもならないし(kimさんは安心するんだろうけど)、「今日の星占い」とか「今日は500円しか持っていないけど、戦前のことを思えば大金持ちだ」と言っているようなものです。本当にそれは理解された方が良いと思います。
SpO2=99% Hb7.5は時間単位、もしくは日単位で治療を行えば良いと思います
SpO2=78% Hb15は、秒、分単位で治療を行わなければ行けないと思います。
もう一度言いますが、「酸素含有量が同じ」とか、まーーったく意味が有りません。
by がちぽて (2013-11-29 01:57)
あと、私は現在の仕事には関係のない分野ですのでICU bookを購入しようとも思っていないので確かめることが出来ないのですが、
この [Anemia vs. Hypoxemia]というコラム?的な記載はどういった文脈(どういった章のどのような位置)で紹介されているのでしょうか?
O2 deliveryについての式の近くにあったりするのだと思いますが、anemiaの重要性を強く言いたい場面ではないのですかね?
この文章についての説明を、もう一度日本語っぽい順番に整理すると
There is a tendency to use the arterial PO2 (PaO2) as an indication of how much O2 is in the blood.
「医者って酸素化とかいうとPaO2(SpO2)みちゃうでしょ?」
However, the O2 content of blood is determined primarily by [Hb], as shown in equation 10.6. The influence of proportional decreases in [Hb] and PaO2 on the arterial O2 content is shown in Figure 10.2.
「でも酸素含有量ってHbが大事だよね。Fig10.2をみてごらん」
while a 50% reduction in the PaO2 (from 90 to 45 mm Hg, which corresponds to a decrease in SaO2 from 98% to 78%) results in only a 20% decrease in CaO2 (from 20 to 16 mL/dL).「PaO2が半分になってもCaO2はたった20%しか低下しないのに、」
A 50% reduction in [Hb] (from 15 to 7.5 g/dL) results in an equivalent 50% reduction in CaO2 (from 20 to 10 mL/dL),
「Hbが半分になっちゃうとCaO2が半分になっちゃうんだよ。」
This demonstrates that anemia has a much greater influence on arterial oxygenation than hypoxemia.
「だから、貧血ってのは低酸素より動脈酸素化に影響を与えるんだよ」
The PaO2 measurement is useful for evaluating gas exchange in the lungs not for evaluating the oxygenation of blood.
「PsO2ってガス交換の指標にはいいけど、動脈酸素化の指標には有用ではないよね」
です。
あくまで、
・酸素化の指標として一般的に思っているPaO2(SpO2)は酸素化の指標としては不適切。Hbがより重要なんだよ。だってみんなが怖いと思っているSpO2 78%より、Hb7.5の方が酸素含有量って少ないんだよ!
という文章です。んー理解してもらえると幸いです。
長峰先生、シロ先生、何かコメントもらえるといいと思います。
by がちぽて (2013-11-29 02:21)
がちぽてさん、私もかなり夜中にコメントを書いたのですが、さらに夜遅くありがとうございます。
論文の解釈は私は間違っていたと思いますが、訂正?しています。私はそれでもと言っています。正しい、正しくないの問題ではなく、感覚でしょう。だから一般の人はどう思いますか?を問うているのです。
44人に一人危険って別に良いんじゃないかなと思う人が多ければ、それで良いのではないでしょうか?いや、そもそも2%ぐらいしか助からないのなら、どっちもしなくていいんじゃないの?と言う人もいるかも知れません。そこは一般の人の感覚をお聞きしたいです。
それから熟練者がやれば問題はないと言われていますよね。がちぽてさんはだから救急救命士に挿管は辞めさせるべきだと言われています。そうだと思います。私は、そうじゃなくて、じゃあ熟練者ばかりの救急隊を目指したいと言っているのです。どちらも正しいのではないでしょうか。
by Kim (2013-11-29 08:12)
CaO2の問題ですが、まず、星占いが1位だったからと言う程度ですよ。
自分の心を落ち着かせるのに科学的な根拠は必要ないと思います。そう言っています。だから、そこに攻撃されても困りますと言っているんです。そこはご勘弁ください。私が心の中で思うのは勝手ですよね。
それから英語については誤訳していたようです。申し訳ありません。私が見た辞書ではwhileについて、A while Bは、「AであるがB」とか「Aである一方B」とありました。貧血で酸素含有量は半分になるが、低酸素では20%しか減少しないと読みました(し、そうブログに私の誤訳を載せています)。そう言っていただけたら嬉しかったです。そして誤訳のために余計なお手数をおかけして本当に申し訳ないです。
by Kim (2013-11-29 08:18)
ICU Bookの記載は、Systemic Oxygenationと言う章に書かれています。
それから英語の文章を分かりやすく訳していただきありがとうございます。
間違いを長時間かけて丁寧にご指導いただき、誠に感謝申し上げます。
by Kim (2013-11-29 08:23)
>kimさん
んー(苦笑)
多分色々と固定観念が強いのだと思います。
まず、「一般の人の感覚と医者の感覚は違うかもしれない」という、一見一般人側に立ったフレーズですが、それって
「この抗がん剤は月に500万円かかるが、根治は見込めないし、余命を6ヶ月から7ヶ月に延ばす効果しかない。これを医者は効果のある治療法と判定するが、はたして一般の人の捉え方はどうだろう?」
「このワクチンによってある病気は根絶されかかっているが、毎年副作用が少数ながら出ている。この少数のリスクをどうとらえるべきだろう?」
と言うように、benefit/cost や benefit/risk に関して、一般の方と医師との感覚のずれがあることがあるでしょう。
でも、今回のケースは
「今までの方法と比べて、統計上生存率も改善していないけど、神経学的予後のよい生存者の数は半減以下になってしまう方法があります。でも、この半減って一般の人からしたらそんなに大したこと無いかもしれないよね?」
ってことでしょ?そういう主張をされる根底には「挿管とはいいものだ」という固定観念がありすぎるのだと思います。
「リスクは高いけど、挿管はいい方法に決まってるんだから、多少のリスクは許容されるんじゃないか」ということですよね?
それを「こういう考え方もある」と本気で考えられているのなら、やはりだいぶと一般の感覚からも医師の感覚からもずれているのだと思います。
http://kekimura.blog.so-net.ne.jp/2013-11-27
このエントリーのコメントの返信でいただいたように
「気管挿管による危険がある。 他に良い方法(バッグマスク換気)がある。 だから気管挿管を避けましょうと言う事です。」
もう少し「気管挿管はいいはずだ」から頭をはなされてはどうでしょう?
熟練者云々に関しては、おっしゃる通り、熟練者ばかりの救急隊を目指したらいいんです。でもそれは、「小児科不足だし、幼稚園と保育園の職員皆が、小児の入院加療の適応を判断でき、投薬治療の可能な熟練者集団になればよい」という主張と同程度に非現実的だと思います。
もしくは、「すべての医師は小児科外来と分娩の管理、緊急帝王切開、開頭血腫除去、虫垂炎、胆嚢炎の手術、内視鏡による消化管出血止血術の熟練者をめざすべきだ!」と言っているのと同程度に非現実的だと思います。
もしくは、「すべての医者は、救急専門医と同等の診断/治療/コンサルト能力をもった熟練者集団であるべきだ」などです。
Systemic oxygenationについての章にあるなら、Hbの重要性と、SpO2に頼ることの危険性を述べているにすぎないと思います。
本気で星占い程度と思っているとは思いもしませんでしたが、そうであるなら、やはりタイトル「〜どちらが怖いか」で始まり「含有量では同じだから、(星占い程度のなんの根拠も無いことだけど)、私は焦らないように自分に言い聞かせています」っていうエントリーは、一般のかたからしたらとても誤解される文章だと思います。
by がちぽて (2013-11-29 09:38)
がちぽてさん、色々とご指導ありがとうございます。
全くおっしゃる通りで大変申し訳ありませんでした。
以後気をつけて記事を書きたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。
by Kim (2013-11-29 10:02)
私は救命士ですが、このエントリーやコメントを拝見して、病院前の気道確保について改めて考え直さなければと感じ、大変勉強になります。
気管挿管が上手いのが「麻酔科医>救急医>救命士」ですが、
挿管が難しい状況は「救急現場>初療室>オペ室」になると思います。
なので、現状では最も挿管が難しい状況で、最も挿管に不慣れな救命士が行っていることになります。
もし、麻酔科医クラスの挿管ができる者が救急現場に臨場できるシステムであったなら、この論文の結果がどうなるのか?興味深いです。
また、この論文で一番ショッキングなのが、気管挿管はもちろん、声門上気道デバイスも予後を悪くするという点です。
おそらく、これらの器具は現場滞在時間や胸骨圧迫中断時間に悪影響を及ぼさないと考えていたのですが、これも予後を悪くするというのであれば、病院前に行う気道確保自体の問題なのか・・・?
救命士が気道確保を行うのが問題なのか?それとも、病院前に高度な気道確保を行うのが問題なのか? 悩みます・・・。
by 病院前救護担当 (2013-11-29 22:45)
おっしゃるとおりだと思います。
論文にもあるように、高度に気道確保されたがゆえの、胸腔内圧の過度な上昇や、過換気が生じている可能性があります。
一分間に8回程度の換気ってのは実際に時計を見ながら行うと、とても遅いですよね。気道確保された患者での換気は手を抜いているように見えるくらいがちょうどいいと思います。なんとなく気が焦って過換気になりがちだと思います。
>最も挿管が難しい状況で、最も挿管に不慣れな救命士が行っていること
が一番の問題は問題ですが、だからといって、「個々人の技量をあげる」というのは一見正論のように見えて、無理なことだと思います。
例えば常に「麻酔科医クラス」が搭乗し、一回一回の挿管についてフィードバックを与えていけば、やがては上手な救命士が生まれる可能性がありますが、現状、「救命士クラス」がお互いに切磋琢磨してもどうしようもないと思います。
その技術を習得できるようにするためには何らかの画期的な方法が必要かとは思いますが、とても思いつきません。
あと、私は別に救命士の挿管技術が未熟であることを責めるつもりは毛頭ありません。
どこかのコメントでkim先生が「医師が気道確保を行って・・・のエビデンスもない」とありましたが、これもその通りで、実際に病院で緊急時の挿管を適切に行える医師はほんとうに限られています。(例えば私が以前いた、その地域の基幹病院では様々な医師が10人弱は当直していましたが、私が当直をした日だけでも10回に1回程度は「挿管してください」と助けを求められたことがあります。私には容易な挿管でした。)
なので、実際に詳細なデータを院内で取られたときに、院内発症のCPAでの生存率/神経学的予後良好生存例が、院外発症のそれと同等(もしくはそれ以下)の可能性もあり、そのデータにおいても「気管内挿管の有無は予後を悪くする」と言う結果になるかもしれません。
何をいいたいかと言うと、日本の医療は世界最高水準であると思いますが、それでもそういうレベルであって、そういうレベルにおいて、現状○○な結果が出ているのであれば、夢のような理想を語るのではなくて、現実的にどうすることがより多くの患者に利益をもたらすかを考えることだと思います。
by がちぽて (2013-11-30 16:17)
病院前救護担当さん、コメントありがとうございます。
みんなで考えていかなければならない問題ですし、高度な気道確保をすることが、逆に患者さんに不利益を与えているかも知れない、論文ではその可能性の方が高い、と言う事を認識して活動されることは大切ですよね。
これからもよろしくお願いいたします。
by Kim (2013-12-01 07:19)