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書き出す前に~基本と心構え
 小説を書き出す前に、日本語には基本的なルールがあることを知っておきましょう。
 段落の前ではスペースを入れて字下げするとか、「」(鍵かっこ)の最後に。や、を打たないとかのアレですね。
 文章の基本的なルールが守られていないと、小説が読みにくかったり、あるいは小説を読みなれた人なんかは、ルールの守られていない文章は読まないなんてことも往々にしてあります。
 ルール自体はそれほど難しいものではありません。初心者の人は、小説を書き出す前と推敲する前に文章作法を軽く見直してみてください。この機会ですのでもう小説を何本も書いたよ、という上級者の人も一度勉強しなおしてみるものアリですよ。意外なことを見落としていたなんてこともあるかもしれません。
 このテキストの中ではその基本的なルールは紹介しません。今まで幾度と無く小説講座サイトや教則本で繰り返されてきた内容ですしね。かわりに小説の基本作法を学べるサイトを紹介しましょう。ライトノベル作法研究所と言うサイトでURLは http://www.raitonoveru.jp/ です。このサイトの基本的な文章作法の項目を熟読しておけば、とりあえずは大丈夫でしょう。
 行ってきましたか? ここには必ず行ってくださいね。


 なんでここでこのライトノベル作法研究所を紹介したかと言いますと、ぜひ一度は訊ねてもらいたいサイトだったからです。
 ここはネットで無料で見れる小説講座系サイトの中で、そのコンテンツの質、量共にトップクラスのサイトであるからです。間違えなく小説書きにとって一見の価値はあります。
 しかし注意すべきことがあります。それはライトノベル系の小説の書き方を実践しすぎると、小説がコテコテのマンガやアニメの様になるという弊害があるのです。これは創作物として現在のライトノベルがアンリアルなゲームや漫画的な要素を当たり前のものとして許容して、作品を制作しているためです。
 創作物の流行廃はやりすたりの世界では、作品はリアルとアンリアルの間を行き来します。現在のアンリアルな風潮もいずれ飽きられた時に、物語のアンリアルさが忌避される時代が来るかもしれません。こんな子供っぽい作品は今の人は見ませんよ。と言うように。有川浩や綾辻行人のアナザーかなんかを喜んで読んでいる層にはその傾向がもうあるのかも知れませんね。
 私の中学生の時はスラムダンクが全盛期でリアルかシリアスな作品を好んで読みました。ファンタジーでもロードス島戦記とかがメジャーでしたね。ラノベの代表格としてスレイヤーズがありましたが、ワンピースのような作品は主流から外れた子供向けと言うイメージがありました。まあ私の近辺という狭い世界での話しですが。
 話を創作の話に戻しましょう。
 ストーリーが面白くなればそれで何でも良いと、作品にアンリアルな要素をコレでもかとぶち込む行為は、それはそれでかまいませんが、アンリアルな要素を描く前に、それがもつ作り物っぽさに自覚を持つべきです。
 かつて江戸川乱歩は探偵小説はアンリアルな要素から抜けきれない小説として、現実の世界を写生する、リアリズムの小説とは違う位置に立脚する小説であると考えていたようです。
 たしかにキャラがハジけていて、物語は葛藤が深いほど、面白さは伝わります。
 ですが本来小説書く行為とは作り物のような世界の中にいかにリアルに"人間"を描くかと言うジレンマとの戦いなのです。このジレンマをジレンマとして感じられるかどうかというところに、その大衆小説をただの消費される大衆小説かそれとも頭一つ抜きん出た文芸作品かに分かれさせるポイントが有ります。
 ものすごく批判されることを覚悟して実名を挙げて例を出すとテニスの王子さまと手塚治や岩明均の漫画との違いと言った感じです。なんとなくわかるでしょ? テニスの王子様を否定するわけではないですよ。あれは一部の層を確実に喜ばせた良くできた漫画です。しかしその作中に描かれた人物はキャラクター造形とストーリー演出のマリオネットです。
 ディーン・R・クーンツはベストセラー小説の書き方の中で、ミステリーの登場人物たちも多くの場合、プロットのマリオネットであると説いています。
 誤解しないで欲しいのはキャラクター造形に凝りストーリーを練る行為は、作品を面白くするために不可欠な要素です。マリオネットだからそれが悪い言っているのではありません。こういった要素は凝るなら徹底的に凝る方が作品は魅力的になります。
 ただ言いたいのは"人"を描き(あるいは生と死を書き)、なおかつそのお話を震えが来るほど面白いお話にしようとした時、先ほど言ったジレンマは最高潮に達します。
 "人"を上手に書くことだけに集中し、面白さを捨てた半端な私小説(面白さを捨ててないから村上春樹は凄いんです)にもコテコテのアンリアルを許容して面白ければ何でも良いと開き直った多くのライトノベルや大衆小説にもこのジレンマはありません。
 まあ、私の作品も美人の女の子が都合よくエッチさせてくれて、しかも処女とか言う、思わず何ともな~声を上げたくなるような、しょうもない作品なんですが(笑)
 落とし所として小説を面白くするこれらのお約束(アンリアルな要素)は毒にも薬にもなるものだと、とりあえずは覚えておいてください。
 ここで言いたいことは、この講座を含めて所謂、小説の書き方系のお約束を鵜呑みにしないで欲しいのです。こういった技法にはそれぞれ長所も短所もあるんです。完全な小説の書き方が本当にあるのなら小説の書き方の本は一冊で足りるはずです。でも実際はそうではないですよね? つまりはそう言うことです。

 最後に書き出す前に覚えておくポイントの一つとしてあげておくこと。それは文章を書く姿勢です。
 文章を書くときは肩の力を抜いて、思ったことを素直に書きましょう。力んで良い文章を書こうとするより、文章をスムーズに書くことを第一にしてください。悪文を書こうが、意味が微妙に通じない文章を書こうが、最初に文章を産み落とす段階ではこれらは大きな問題になりません。あとで直せばいいのです。
 そして文章の文体は貴方の個性です。例えば簡易な文章しか書けないからといって小説が書けないわけではありません。
 たとえば赤川次郎やライトノベルのヒット作、ゼロの使い魔なんて、かなり簡易な文章ですが、面白く読めてしまいますよね?
 簡易な文章だから楽に書けるわけじゃありませんよ。簡易な文章を書くときはそれを何度も見直して、読みやすくわかりやすく書く必要があります。
 そうして読みやすくわかりやすく書くことで、簡易な文章の中に簡易な文章としての美しさが出てくるんです。
 思ったことを素直に書いて、それをじっくり時間をかけて直してみてください。そうすることで貴方の個性は知らずのうちに作品ににじみ出て、文章の美しさになります。
 まず思ったことを素直に、これが上手に文章を書くコツです。
 でも私も気が付けば、うんうん、うんうんと唸りながら悪戦苦闘しつつ悪文を書いていることもしばしばです。
 なれないうちはとりあえず、ガムをかんだり、良い香のお茶やコーヒーを飲みながらリラックスして書いてみてください。
 だけど文章に限らず芸術の良し悪しを決める要素として集中力は大事なポイントです。リラックスしていながら、それでいて集中している。これが理想の状態です。
同人サークルぶるずあい


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