自民党の石破茂幹事長が自身のブログで特定秘密保護法案に反対する市民団体らのデモを「絶叫戦術はテロ行為と変わらない」と記載したことに対し、1日、県内を含む各地で開かれた法案反対集会などで、市民らが相次ぎ批判や反発の声を上げた。
「声を届けるにはデモなどしかないのに、テロと決め付けられたら意見を言う場を奪われる。言論の自由を踏みにじる行為だ」。原発再稼働と同法案への反対を訴える松本市での集会に参加した東筑摩郡山形村職員の百瀬尚代さん(50)は、石破氏の発言をこう批判した。同じ集会に出ていた諏訪市の会社員森聡さん(38)も「民主主義は少数者の意見をいかに聞くかが大事なのに」とした上で、「(石破氏は)表現の自由などを考えていないのではないか」と話した。
長野市で開かれた「教育子育て九条の会」の集会。呼び掛け人の1人で、安曇野ちひろ美術館(北安曇郡松川村)常任顧問の松本猛さん(62)は、開会あいさつで石破氏の発言を挙げ、「自分と違う意見を言うことをテロだと言ったら、自由に物が言えなくなってしまう」。集会でシンポジウム進行役を務めた東京大教授(日本近代文学)の小森陽一さん(60)=東京都多摩市=も「東日本大震災以降、多くの国民が直接民主主義的な行動に立ち上がり、国家に対し、異議を言うことができる国に転換し始めた。国民のそうした動きをつぶそうとしている」と非難した。
集会に出席した岡谷東高校3年で前生徒会長、山口アキオ君(18)=諏訪市=は「自分の発言がテロだと言われたら不快だ」と話した。
東京や大阪などで開かれた法案の反対集会やデモ行進の参加者も同様に石破氏の発言を批判した。
情報公開への影響を懸念して法案に反対している全国市民オンブズマン連絡会議の新海聡事務局長(弁護士)は、信濃毎日新聞の取材に「憲法で保障された表現の自由である市民団体のデモを『テロ』と位置付けるのは解釈の乱用だ」とし、「国会議員など権力者が都合の悪い情報を特定秘密だと解釈する恐れがあるという象徴的な発言だ」と指摘した。