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03 Dec 2013 01:27

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元カーライルの吉崎氏、官民ファンド率いクールジャパン1000億円投資

Bloomberg 12月3日(火)0時0分配信

  12月3日(ブルームバーグ):日本文化の海外発信に向け、官民ファンドの「クールジャパン機構」がこのほど発足した。米投資ファンドのカーライルでアジア企業への投資を手掛けてきた吉崎浩一郎氏を運用担当に招き、ユネスコ無形文化遺産の登録準備が進む「和食」を始め、日本文化やライフスタイルを体現する企業の海外展開を支援する。

吉崎CIO(最高投資責任者)は、ブルームバーグ・ニュースのインタビューに応じ、「食、コンテンツ、ファッションは重点領域」と指摘。アジアで日本食店を集めた「ジャパンモール」やアニメ、ドラマ、音楽などのコンテンツを流すため米国など海外のテレビチャンネルや放送枠の購入なども検討していることを明らかにした。年度内に投資部門の人員を現状の10人から30人に拡大するという。

同ファンド(正式名称:海外需要開拓支援機構)は政府出資500億円に加えて、電通やみずほフィナンシャルグループなど15社からの民間出資(計75億円)も仰いだ。1−2年内に1000億円への拡大を目指す。

安倍政権は、成長戦略の一環である「日本再興戦略」で、クールジャパンの推進などにより、2030年に訪日観光客3000万人という目標を掲げており、官民ファンドを立ち上げた。日本文化の良さを浸透させて、海外観光客を誘致し国内消費を盛り上げたり、日本企業の海外進出を促し、新興国の旺盛な需要を取り込んだりするのが狙いだ。

じくじたる思い

同ファンドの運用責任者として、白羽の矢が立った吉崎氏は、LBOなどを手がけるカーライル出身だが、新しい職場では効率性を追究するファンドとは「全く逆のことをやる」つもりだと話す。

カーライルのような民間ファンドは投資家重視のあまり、短期間で事業の売却益を上げる結果、「資本家が移動して、せっかくまいた事業の種が育たないことがある」という。これに対し、同機構は国の出資が8割を超える国策ファンド。同氏は「長期の時間の許しはいただいており、支援したビジネスをうまく立ち上げる」ことに専念する構えだ。

カーライル在籍当時はファンドの投資先候補から収益性の低い日本企業が落とされ、同氏は「じくじたる思いをした」が、日本企業も成長力のある海外市場で展開できれば、高成長が期待できるとみる。問い合わせを待つのではなく、「案件を取りに行く」と意気込みを示した。

記事に関する記者への問い合わせ先:東京 占部絵美 ;東京 佐藤茂 ;東京 油井望奈美 ,eurabe@bloomberg.net,ssato10@bloomberg.net,myui1@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先:Katrina Nicholas ,knicholas2@bloomberg.net

最終更新:12月3日(火)0時0分

Bloomberg

 
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