NHK連続ドラマ「あまちゃん」に登場した北三陸鉄道のモデルとなった第三セクター三陸鉄道(岩手県宮古市)が、ドラマそのままに海女の格好をした女性ガイドが案内し、ウニ丼を販売するお座敷列車を走らせたところ、期間を延長して運行するほどの人気だったという。
国土交通省によると、三陸鉄道のような地方鉄道は、第三セクター42社に中小私鉄を加え91社ある。少子化による通学利用の減少や車社会の進展でどこも経営環境は厳しく、2012年度は8割が経常赤字だった。
ドラマは鉄道利用を増やす苦労を描いていたが、各社も同様に努力をしている。熊本県内のくま川鉄道、南阿蘇鉄道など三セク鉄道3社も例外ではない。例えば、肥薩おれんじ鉄道は車内で食事を楽しむ観光列車「おれんじ食堂」の運行を始めるなど知恵を絞っている。
運輸評論家堀内重人氏は「チャレンジする地方鉄道」(交通新聞社新書)で、「鉄道を評価する場合、経営状況だけでなく、地元が得ている便益も考えなければならず、赤字額よりも地元の便益が多ければ、存続させるようにしなければならない」と述べる。
地方鉄道存続に大切なのは、住民のマイレール意識だ。鉄道がなくても困らず、利用したこともないという人は多いだろう。しかし、実際に鉄道がなくなれば、地域の魅力や発展の可能性は損なわれる。住民自身にも跳ね返る問題だ。1年に1回でもいい、利用する機会をつくってはどうか。県内の三セク鉄道3社それぞれの沿線に住んだことがあるが、ただ眺めるだけでも十分楽しめる車窓風景が広がっている。(津留三郎)
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