「ボクの仕事はKO。きっちりとその仕事をこなしたい」。米国キャンプから帰国した村田諒太のコメントである。五輪金メダリストのプロ転向は、プレッシャーとの戦いだ。東洋王者を派手なKOで倒してデビューはしたものの、次戦で負ければ…。そんな思いで緊張感を漂わせている。一戦一戦成果と進化を見せられなければ、たたかれる。
村田の練習には、勝ちに徹する貪欲さが見て取れた。プロ転向当時は脇が甘かったが、防御の形が整い、安心感が出ていた。
海外デビューで世界へ打って出るが、夢に描くスーパースターには“かっこ良さ”が伴う。それは、初めてボクシングを見る人をもうならせる華麗なバランスだ。レナードやハーンズ、パッキャオのように、である。村田が言う「まだ2、3割の自信」に、この男の奥深さを感じる。一緒に世界の夢を見てみたい。 (格闘技評論家)
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