秘密保護法案:「照会受けた病院に通院歴など回答義務」
毎日新聞 2013年12月02日 20時53分(最終更新 12月02日 21時16分)
国家機密を漏えいした公務員らへの罰則を強化する特定秘密保護法案で、特定秘密を取り扱う公務員らに対する適性評価について、政府は2日、行政機関から照会を受けた病院には過去の通院歴などを回答する法的義務があるとの見解を示した。法案には明確な義務規定がないにもかかわらず、条文を解釈により「義務規定」とみなしたもので、法案の不透明さがさらに浮き彫りとなった。
内閣官房の鈴木良之内閣審議官が参院国家安全保障特別委員会での法案審議で「照会を受けた団体は回答義務がある」と述べた。共産党の仁比聡平氏が「病院に調査があったときに守秘義務を理由に回答を拒むことはできるか」とただしたことへの答弁。仁比氏は、「法律上義務があるならば患者は主治医を信頼して話せなくなる」と指摘した。
法案の12条4項は、特定秘密を扱う公務員らが適任者かどうか判断するため、「公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる」と規定しているが、病院など団体側については義務規定がない。鈴木氏の答弁は、政府がこの条文を事実上の「義務規定」とみなし、医師らに情報提供を強要する可能性があることを認めたものだ。【木下訓明】