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被爆アオギリと生きる 語り部・沼田鈴子の伝言
広岩 近広 著
定価903円
■目次

はじめに――追悼の集いにて
1章 沼田さんの証言――戦争と被爆体験
1 平和を考えるために
2 戦争のなかで育つ
3 婚約者の出征
4 その夜も希望をいだいて
5 きれいな閃光を見た
6 ノコギリで左足を切断
7 母の言葉で立ち上がる
8 証言は平和の種まき
2章 沈黙の日に見た原爆フィルム
1 被爆アオギリに勇気づけられ
2 家庭科教師として生きる
3 原爆フィルムの衝撃
4 使命を胸に欧米で体験報告
3章 アオギリの語り部が誕生
1 修学旅行生の前で号泣
2 ツッパリ高校生との出会い
3 被爆アオギリの前で
4章 戦争の傷跡を訪ねて
1 沖縄戦の悲痛
2 韓国の被爆者
3 重慶の疲労爆撃
4 マレー半島の住民虐殺
5章 空飛ぶ平和の民間大使
1 北イタリアのアオギリ平和公園
2 アジアとの友好を掲げて
3 ミネアポリスで乾杯
6章 戦争と核のない世界を
1 プルトニウムと核兵器と原発
2 被爆アオギリの願い
3 平和を語る部屋
おわりに
関連情報

■内容紹介
沼田鈴子さんは,22歳だった夏に,広島で被爆し,左足を失いました.
婚約者をも戦地で失い,将来への希望をなくし,心は自死へと傾いていきました.
そんな時,沼田さんは昔の職場の中庭で,被爆したアオギリの木に偶然再会します.そして,焼けこげた幹から,新しい枝を伸ばし,新芽を芽ぶかせている姿に励まされました.それをきっかけに自死への誘惑を振り切り,生き直し始めました.
その後,原爆記録映画『にんげんをかえせ』への登場をきっかけに,「ヒロシマの語り部」として,活動を始めます.反核,平和を訴え続け,さらに,原発の危険性や,日本が再び戦争のできる国をめざそうとしているかのような,この間の政治の動きにも警鐘を鳴らし続けました.
しかし,3・11,東京電力福島第1原発の事故は,沼田さんの心身に大きな衝撃を与えました.同年7月,沼田さんは帰らぬ人となってしまいました.
被爆アオギリが移植された広島の平和記念公園で,沢山の修学旅行生たちに体験を語り,「おばちゃん」と親しまれた沼田さんの生の軌跡を,20年以上も親しく付き合った新聞記者である著者が,1冊にまとめました.
戦争と平和,そして,これからの日本社会について考えるために,是非,手にとって頂きたい1冊です.


■著者紹介
広岩 近広(ひろいわ・ちかひろ)
新聞記者.1975年に毎日新聞社に入社し,主に事件と調査報道に携わった後,2005年に大阪本社編集局次長として戦後60年企画の原爆報道を担当する.2007年に専門編集委員に就任し,記録報道「ヒバクシャ」のアンカーを務める一方,大阪本社発行の紙面でルポ「平和をたずねて」,ロングインタビュー「今,平和を語る」を連載している.

  表示価格は全て定価(税5%込)です.



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