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スー・チー氏エイズデーで講演
12月1日 16時25分

世界エイズデーに合わせて、ノーベル平和賞の受賞者でミャンマーのアウン・サン・スー・チー氏が講演を行い、エイズ患者への差別や偏見をなくすよう訴えました。

スー・チー氏は、ミャンマーでの政治活動のかたわら、国連機関の任命を受けて、エイズ患者に対する差別をなくすための啓発運動に取り組んでいます。
スー・チー氏は、12月1日の「世界エイズデー」に合わせて1日、訪問先のオーストラリアのメルボルンで講演しました。
この中でスー・チー氏は、エイズへの正しい理解を世界に広めることが重要だとしたうえで、「民族や宗教そして病気などを理由に誰かを排除することは、現代社会で許されることではありません」と述べ、エイズ患者に対する差別や偏見をなくすよう訴えました。
国連によりますと、去年、エイズウイルスに感染して死亡した人の数は、世界全体で160万人と、前の年より20万人減っていますが、感染者の数は3530万人とアフリカを中心に増え続け、抗ウイルス薬の進歩にもかかわらず、治療を受けられない人の数の多さが課題となっています。

死者は減少も感染者は増加

「世界エイズデー」に合わせて国連が発表した統計によりますと、去年、エイズウイルスに感染して死亡した患者の数は、世界全体で、前の年よりも20万人少ないおよそ160万人で、2005年のおよそ230万人をピークに、年々、減っています。
これは、価格の安い「ジェネリック医薬品」の普及によって、以前より少ない費用で治療が受けられるようになったうえ、エイズに関する正しい知識が浸透して、早期の診断や治療が可能になったためです。
また、エイズウイルスに新たに感染した人の数も、およそ230万人と、前の年より20万人減りましたが、感染者の数自体は、前の年より40万人多いおよそ3530万人と、毎年、増え続けています。
このうち、およそ70%はサハラ砂漠より南のアフリカに集中しています。
低所得国や中所得国では、治療が必要な患者のうち、実際に治療を受けられている人は3分の1にとどまり、特に子どもは治療を受けている割合が大人の半分という低さになっています。
抗ウイルス薬の進歩にもかかわらず、依然として、貧しさや社会的な立場の弱さから、多くの人がその恩恵を受けられない現状が浮き彫りになっています。

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