秘密保護法案:「漏えい防止策は国会決定」衆院議長意向で
毎日新聞 2013年12月02日 21時15分(最終更新 12月02日 21時48分)
国家機密を保有する行政機関と国会との関係が問題になっている特定秘密保護法案の審議で2日、国会議員に提供された特定秘密の漏えい防止策である「保護措置」を巡る衆院段階での条文修正に関する議論があった。自民、公明両党が日本維新の会、みんなの党との修正合意後に伊吹文明衆院議長の意向を受けて再修正したもので、保護措置を政令ではなく国会が独自に定めるとの内容。「国権の最高機関」に一定の配慮を示した形だが、国政調査権が脅かされる懸念は残ったままだ。
「保護措置は国会で決め、それにのっとって国会が要求すれば(秘密を)提供すると義務化されている。国会のチェックが大事だ」
4党での修正協議を担当した公明党の大口善徳氏は2日の参院国家安全保障特別委員会でこう答弁し、最終案の意義を強調した。
修正前の政府案は、国会への特定秘密の提供を傍聴不可の「秘密会」に限り、その際の保護措置は政令で定めるとしていた。しかし「立法府より行政府が上位なのか」などの批判が相次いだため、与党は修正協議で、秘密を「提供することができる」を「提供するものとする」に書き換え、行政機関の長の裁量権を狭めた。
さらに付則で保護措置について「国会で検討を加え、必要な措置を講じる」としたが、政令で定めるのが前提のままで、伊吹氏が周辺に不満を漏らしていた。このため、与党は国会が保護措置を定めることを条文に明記。11月22日に維新、みんな両党も了承し、秘密保護法案は同26日に衆院を通過した。当時、与党側は修正協議への議長の介入と批判されないよう、「維新の提案を受け入れた」と説明していた。
それでも、国会議員が秘密を基に政党内で議論したり、国会外で演説したりすれば処罰されることには変わりがない。2日の特別委では、維新の清水貴之氏が「秘書や専門家に話したら処罰されるのか」と質問したのに対し、内閣官房の鈴木良之内閣審議官は「(秘密を)知り得る人の範囲は国会で決める。秘書が範囲外の場合は国会議員は漏えい罪になる」と認めた。しかも、政府が国会の定めた保護措置を不十分と判断すれば、秘密の提供を拒むことも想定される。【木下訓明】