【北京=島田学】中国の李克強首相は2日、北京の人民大会堂で訪中しているキャメロン英首相と会談し、貿易や金融面での協力強化で合意した。同行した英企業幹部ら100人超とも会見し、原子力発電や高速鉄道などの分野で企業間の協力を進めることで一致した。協調姿勢を打ち出す一方で、中国の人権問題や東シナ海上空に設けた防空識別圏(ADIZ)など政治問題では深入りを避けたようだ。
李首相は会談後の共同記者会見で、ハイテク製品の貿易拡大のほか、航空宇宙分野や風力発電など新エネルギー分野での協力を進めることでも合意したと述べた。
中国の国営新華社によると、両首相は「ロンドンにおけるオフショア人民元ビジネスの進め方」についても話し合った。英中両国は今年10月、これまで事実上香港だけに認められてきた人民元を使った中国の株式や債券への直接投資を、英国の金融機関にも解禁することで合意した。
英国は中国との協調関係を強めることで、欧州の金融センターとして栄えてきたロンドンの金融街シティーの地位を維持し、今後は欧州における「オフショア人民元のハブ(中核)」の地位も固めたい考えだ。
キャメロン首相の訪中は2010年11月以来3年ぶり。2日には習近平国家主席とも会談した。英中関係はキャメロン首相が12年5月にチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世と面会し、悪化していた。
李首相によると、英国側はチベット問題を含む「中国の核心的利益などを尊重する」と明言したという。英国側は政治問題に多くは言及せず、協調関係の維持を優先したもようだ。
英中交流史上、最大規模の訪中団――。中国メディアは英企業幹部ら100人超を同行したことを大きく取り上げた。訪中団は4日までの中国滞在中に、北京のほか、上海や浙江省杭州、四川省成都を訪れ、中国企業などを視察する予定だ。今年10月には中国国有の原発大手、広核集団(CGN)が初めて英国の原発事業に参画することが決まった。中国メディアは「英中ビジネスはさらに活発になる」と伝えている。
中国への姿勢を巡っては、安全保障面で中国へのけん制を絶やさない米国と、経済分野を中心に協調関係の強化を模索する欧州諸国との間でギャップが広がっている。
キャメロン首相が今回の訪中で経済問題を優先し、人権問題などにあまり言及しなかったことでは今後、地元の欧州で批判を受ける可能性もありそうだ。
キャメロン、ダライ・ラマ14世、李克強、ADIZ、習近平、新エネルギー、中国、鉄道協力
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