慰安婦問題を悪化させ、日本と日本人の名誉を汚し続けている「河野談話」について、主婦のグループから公開質問状を突き付けられていた河野洋平元官房長官が、やっと回答した。だが、その中身は人ごとで、国会などで説明責任を果たす意思も示さず、ずさんな調査のまま談話を発表したことへの反省などは一切なかった。
河野氏の回答はA4判1枚の簡単なもの。「お手紙拝見させていただきました」という書き出しで始まり、批判が噴出している河野談話について、「当事者である私自身が発言することは、安倍総理も国会等で発言されているように『この問題を政治問題、外交問題化させるべきではない』との考えから、取材・講演等を基本的にお断りして参りました」と説明。
自身の気持ち・考えについては、読売新聞の「時代の証言者」(2012年10月8日)という記事を示し、「掲載された内容と変わりがないことを申し添えます」と結んでいた。
質問状を送っていたのは、普通の主婦たちによる、正しい歴史を次世代につなぐネットワーク「なでしこアクション」(山本優美子代表)。
産経新聞が10月16日にスクープした「元慰安婦報告書 ずさん調査」の記事で、慰安婦募集の強制性を認めた「河野談話」の根拠である元慰安婦への聞き取り調査が、極めていい加減だったことを知ったという。
このため、なでしこ-は先月4日、河野氏に対し、「国会などで国民に説明する意思があるか」「河野談話の撤廃に賛同するか」「国賊という批判をどう思うか」といった質問状を送ったのだ。
河野氏は前出の読売記事で、慰安婦への聞き取り調査について「総じて『強制性』を認めるべき内容と判断しました」とし、政府の資料がないまま強制性を認めたことを「紙の証拠がないからといって今も苦しむ女性の存在や戦争中の悲劇までなかったといわんばかりの主張には、悲しみさえ覚えます」と証言している。
なでしこ-の山本代表は「まともに質問に答えていただけず、残念です。きちんとした判断ができない政治家が、重要なポストについた悲劇なのでしょうか」といい、こう続けた。
「河野氏は結局、『証拠がなくてもかわいそうだから談話を出した』といい、説明責任については『安倍首相も…』と責任転嫁している。読売の記事からまったく状況は変わっているのに。私たちは、安倍政権がきちんとした判断を下せるよう、環境を整えていきたいと思います」
外交判断は、確実な事実や証拠をもとに、国家の過去・現在・未来を見据えて、冷徹に下していくべきものだが、河野氏はまったく違うようだ。