若者の「フェイスブック離れ」が始まった

フェイスブックが迎える「中年の危機」

ティーンの欲望を満たせない

フェイスブックなどのソーシャルメディアで他人とシェアした内容は、長期的な影響を及ぼしかねないという問題意識も高まってきた。たわいない奇行を演じただけのつもりが、ネット上から現実社会へと深刻な波紋を広げてしまったりするからだ。特に若者は無防備だといえる。

そこで、すき間を突くように登場したのが、そのほかのメッセージングサービスだ。アメリカをはじめ世界中の若者の間で、サンダーの言う「ミニ・ソーシャルメディア」が普及している。たとえばワッツアップ(WhatsApp)、日本で人気のライン(LINE)、スナップチャット(Snapchat)、中国の微信(WeChat)、韓国のカカオトーク(KakaoTalk)は、絶え間なくコミュニケーションに浸っていたいというティーン独特の欲望を実現する。サンダーいわく、「それがティーンの常だろう。友達とのおしゃべりが大好きで、いつも電話を手放さない」。

ソーシャルメディアは電光石火のごとく進化している。フェイスブックは言うなれば中年の危機を迎えようとしているのだろう。そろそろ頂点を越えるということなのかもしれない。フェイスブック社は市場での足固めに熱心で、写真共有アプリとして定番のインスタグラム、さらにはモバイルデータを追跡して人気サービスの分析をするオナヴォを買収した。スナップチャットにも30億ドルで買収を提案したが拒まれたところだ。

たかがティーン、されどティーン

しかしここでフェイスブックが繁栄するためには、ティーンのユーザーがどうしても必要なのかと、問い直してみるのもいいかもしれない。というのも、ツイッターの株価は新規公開から数日間で急上昇し、時価総額250億ドルに近づいた。それでいてツイッターは決して10代の若者ばかり囲い込んでいるわけではない。

ティーンの利用頻度が減るなら、ティーン向けの広告収入が減る可能性はある。いずれティーンの後を追うようにして、そのほかの年齢層のユーザーも利用頻度が減るかもしれない。そうなると全体的な収益性の問題が生じるおそれはある。

サンダーは、10代のユーザーに支持されなくてもフェイスブックは大丈夫だろうと言いながら、こう指摘した。「とはいえ、ティーンが先陣を切るというのが世の常だ。フェイスブックにとって本当に危険なのは、ティーンが行く先の企業各社かもしれない」。

(執筆 : Jenna Wortham 記者、翻訳 : 石川眞弓)

(c) 2013 New York Times News Service

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