若者の「フェイスブック離れ」が始まった

フェイスブックが迎える「中年の危機」

使命が進化してきた

フェイスブックの果たす役割が、初期とは異なってきたという見方もある。インターネットについて研究している社会学者ネーサン・ジューゲンソンは、普及型SNS(交流サイト)のことを、「ショッピングモールのような感じ」と説明した。ネット上で、もっといい何かが見当たらないとき、ぶらぶら歩きをしながら、お互いの生活をのぞき見する。まさにティーンエージャーたちはそういう利用法をしているという。

写真などを10秒以内だけ閲覧できる最近人気のアプリ、スナップチャットのリサーチ担当でもあるジューゲンソンによると、その「ショッピングモール」は「取り締まりが行き届いていて清潔」だが、若者たちが本当の自分になりきって遊べるような場ではない。身だしなみを整え、振る舞いに気を配り、見回せばほかの人たちも同じようにしているような場所なのだ。

普及型SNSは「おとりソーシャルメディア」とも呼べると、ジューゲンソンは指摘した。ウェブ上にその人が存在するということだけを示すような、常設の人名録に等しいと。だからこそスナップチャットのほか、ツイッター、タンブラー、ピンタレスト、ヴァインなどの新しい投稿アプリが、とりわけ10代のユーザーの間に定着することにもなるのだろう。

資料庫として価値あり

フェイスブックの登録者は今も増加中だというのに、面白くなくなったとか重要でなくなったと言われても、ピンと来ない話かもしれない。フェイスブック社では広報担当のタッカー・バウンズが、「ユーザー全員にとって魅力的なプロダクトを築くことに鋭意努力する」と主張している。

しかしペンシルベニア州立大学メディア影響研究所のS・シャム・サンダーに言わせると、「フェイスブックはまるで公共事業体のような機能を果たすようになってきた。人々はそこに人生における主な出来事を記録し、お互いの消息をたどるためにも利用する。つまりコミュニティの公開スクラップブックみたいなものだ」という。

「一切合切を詰め込んだ、世代間の資料の保管庫になる」とサンダーは語った。「すべての人がそこに目的と居場所を持つ。ただし頻繁に訪れたいと思うような場所ではない」。

言い換えるなら、フェイスブックはほとんど普遍的な存在になったが、その一方でいくらか切れ味が損なわれてきた。少なくとも一部のユーザーにとっては、新味が失われたと言えるだろう。とりわけ低年齢層にとっての魅力は薄れてきた可能性がある。

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