特定秘密保護法案 野党から「石破発言」に抗議する共同声明
特定秘密保護法案に反対するデモを「テロと変わらない」などとブログに書き込んだ自民党の石破幹事長に、波紋はさらに広がっている。石破幹事長は、デモをテロに例えたことは撤回したが、デモを批判する姿勢は変えていない。
安倍首相は2日、政府・与党連絡会議で「『特定秘密保護法案』についても、与党の皆様のリーダーシップにより、この国会で成立を目指して尽力いただきますよう、よろしくお願いいたします」と述べた。
安倍首相は、2日に開かれた与党との連絡会議で、あらためて今国会での特定秘密保護法案の成立に意欲を見せた。
ところが、党のNo.2、石破幹事長が11月29日に書いたブログが、法案成立の大きなネックになりつつある。
石破幹事長は29日のブログで「単なる絶叫戦術は、テロ行為とその本質において、あまり変わらないように思います」とつづっていた。
国会前で、連日行われている特定秘密保護法案に反対するデモについて、「テロ行為とあまり変わらない」と書いた石破幹事長。
2日、参議院の特別委員会で行われた特定秘密保護法案の質疑では、野党側が、石破発言に抗議し、開始がおよそ20分遅れた。
民主党の藤田幸久議員が、「『デモに参加する方は犯罪者』というふうに、石破発言はとれるわけですが」とただすと、菅官房長官は「デモについては、法律の範囲内で行われる場合は、これは全く問題ないわけでございますし」と述べた。
政府側は、「デモは言論の自由だ」などと、火消しに躍起になっている。
2日、大阪では、大阪弁護士会が、特定秘密保護法案に反対するデモを開き、およそ1,000人が参加した。
デモ参加者は「石破発言を許さないぞ!」とシュプレヒコールを上げた。
大阪市のデモ参加者は、「(石破発言についてどう思う?)(デモが)テロだと言われたら、本当にとんでもない世界になる。本当に、秘密保護法案を廃案にさせないとだめだと思います」、「とんでもないです。これがテロですか? 何も、暴力に訴えるわけではないし」と話した。
一方、安倍首相は2日朝、「『デモはテロ』という石破幹事長の言うことをどうお考えですか?」との問いに、「おはよう」とだけ述べ、記者の質問に何も答えなかった。
ある自民党幹部は「幹事長は、何であんなことを言ったのか。『テロ』という表現はよくない。秘密保護の対象だから」と話している。
当の石破幹事長は2日、カメラや記者の多さに驚いた様子で記者会見場に入り、問題のブログの一部を修正したことを明らかにした。
石破幹事長は「ご覧いただければわかりますが、おわび訂正・撤回をいたしております。ただ、『デモ』を行う際に、静穏に仕事をするということが妨げられるということは、それは、いかなる主義であれ主張であれ、やっていいことだと私は思いません」と述べた。
修正したのは、「テロ行為とその本質において、あまり変わらない」とした部分で、それを、「本来あるべき民主主義の手法とは異なる」に書き換えた。
しかし、野党からは、石破発言に抗議する共同声明が出るなど、波紋はさらに広がっている。
民主党の大畠章宏幹事長は「石破幹事長の暴言に抗議するとともに、特定秘密保護法案の慎重審議を要求する」と述べた。