サムスン電子を先頭に破竹の勢いで、グローバル市場で存在感を高めてきた韓国の企業に何か異変が起きている。サムスンの好調は変わりなく、薄形テレビ、携帯・スマートフォンでは世界シェアの4分の1以上を握り、圧勝の様相だ。だが、現代自動車、ポスコなど韓国を代表するほかの企業は不調に陥り、韓国経済そのものも成長率が低迷している。今世紀に入り、グローバル化、規模拡大を徹底的に追求し、日本企業を追い落とすような高成長を果たした韓国の企業、経済は今、転換点に立っている。
東南アジアを起点に広がったアジア通貨危機が波及し、株価暴落、通貨ウォンの急落、対外支払いの困難に直面した韓国政府が国際通貨基金(IMF)との間で「スタンドバイ協定」を結び、緊急融資を受けたのは1997年12月だった。韓国の長期債の格付けは投資不適格水準にまで引き下げられ、文字通り国家経済の存亡の危機に立たされた。98年には財閥を中心とする産業界は現代、大宇といった巨大財閥も含め解体、企業売却・清算など厳しい構造調整を迫られた。
■今世紀最初の10年は大きな飛躍
今世紀に入り、韓国政府はIMFからの支援を全額返済し、企業は事業を再構築し、体質を強化した。サムスン、LG電子、現代自動車、ポスコ、現代重工業、斗山重工業など韓国企業はグローバル市場で躍進し、日本企業からシェアを奪い、日本企業を上回る規模に成長した。国としては中国の高成長の陰で目立たなかったが、企業に目を向ければ今世紀の最初の10年間で最も大きな飛躍をしたのは韓国と台湾の企業だろう。
韓国企業の成長の原動力のひとつだったのは、日本企業への対抗心、「日本企業に追いつき、追い越せ」という執念だっただろう。韓国を代表する企業の事業はすべて日本企業が強かった分野であり、日本企業をベンチマークし、日本企業を追い抜く戦略をしっかりと持っていた。執念と戦略が結びついたことが短期間で大きな成果を生んだ。日本企業がグローバル市場制覇という明確な目標を持たず、漫然とした拡大路線と独りよがりの研究開発、組織の硬直化で成長力を落とすなかで、韓国企業は必死だった。
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