ネットウォッチ:特定秘密保護法案で全国民が監視の対象 NPJ代表の梓澤和幸弁護士に聞く

2013年11月18日

梓澤和幸さん
梓澤和幸さん

 また、米軍の(垂直離着陸輸送機MV22)オスプレイは東京の横田基地に来るという見方がある。そうした情報も「防衛に関する情報」などが特定秘密に指定されれば、生活を守るための情報すらも処罰の対象になってしまう。国から地方自治体への情報提供もどうなるかわからない。怖いのは公務員は法律に従って動くので、上から言われなくても萎縮してしまうこと。住民のためではなく、誰の方を向いているのか、ということになる。

 まだ、あまり言われていないが、刑事訴訟法では長期3年以上の刑にあたる嫌疑の対象になるときは、裁判所の令状なくして、緊急逮捕ができる。捜索差し押えも令状なくしてできる。報道機関が対象になった時に、取材のデータやテレビ局のマスターテープなど、どこから情報を入手したのかというのが明らかになってしまう。情報提供元を押さえられたらますます情報がでなくなってしまう。報道に対する配慮をするというが、それは裁判での話であり、捜査機関が正当な報道でないと判断すれば、やられる恐れがある。

 法案の23条で「人を欺き、人に暴行を加え〜」が処罰対象になっているが、「その他の特定秘密を保有するものの管理を害する行為」ともある。「その他」の行為というのは幅広くとらえられ、特定秘密に触れるものはどういう方法であれ、摘発される危険がある。

−−報道機関以外は。

 梓澤 報道機関については正当な報道行為として保護されるが、一般の人が自分でブログでやるとなった場合は、「正当な報道行為で保護の対象」とは扱われないのでは。

−−ネット社会にも大きな影響があるのか。

 梓澤 法案の第1条に「高度情報通信ネットワーク社会の発展に伴いその漏えいの危険性が懸念される」とある。ウィキリークスやスノーデンCIA元職員が、米国ではネット会社や電話会社から情報を収集して国民の電話とメールを監視したり、外国の首脳を盗聴していることを明らかにした。電気通信の秘密、自由な会話というのは民主主義の基本なのに、米国は犯している。それをインターネットの技術とマスメディアが協力して暴露した。

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