ネットウォッチ:特定秘密保護法案で全国民が監視の対象 NPJ代表の梓澤和幸弁護士に聞く
2013年11月18日
今国会で審議されている特定秘密保護法案。実際にどのような問題があるのか。弁護士でネットニュース「News for the People in Japan」(NPJ)代表の梓澤和幸さん(70)に話を聞いた。NPJでは特定秘密保護法案の資料ページ(http://www.news-pj.net/siryou/himitsuhozenhou/index.html)を作成し、反対を訴えている。【柴沼均】
−−特定秘密保護法案の問題点が、なかなか一般の方に伝わっていないようにみえる。法案が通ったらどのような影響があるのか。
梓澤 この法律では、だれかが国の秘密を漏らしてはいないか、漏らしそうな人間かどうかを調査する権限を警察などに与える(適性評価)。こうした調査の例が、イスラム教徒がテロの可能性があるとして、警視庁が調べた内部資料とみられる資料が流出した事件(今年10月に公訴時効成立)。モスクに通っている人たちの住所、氏名を調べただけでなく、銀行口座や交友関係まで全部調べて一覧表を作っていた。
調査対象は自分たちと関係ない、イスラム教徒ってそういう人たちかもしれないと思っていたかもしれない。しかし、これからはコンピューター関係の仕事をやって警察や自衛隊などに出入りすると、調べられる対象になる。特定秘密に関係しそうな民間人は家族まで調査対象になる。国民全体が監視の下に置かれるような法律なのに、あまり内容を知られていない。自分たちに関係ないと思うなら、考え直したほうがいい。
ただ、法案は専門家の弁護士がみても、すごく分かりにくくなっている。一番大事なのは罰則で、特定秘密を漏らしたものは10年以下の懲役、漏えいをそそのかしたものは懲役5年になる。特定秘密を取り扱っている人やメディアの人だけの問題ではない。一般の人に一番心配なのは原発関係。住民たちが情報を役所に調べろと強くいったりしようとすると、漏えいを強要したと警察が介入する恐れがある。原発情報が特定秘密に指定されれば、原発事故がどうしたんだとワーッと電力会社に駆けつけると、この法律に抵触する恐れがある。
−−特定秘密の対象には原発というのはないが。
梓澤 対象には「テロ防止」「特定有害活動(スパイなど)防止」があり、原発情報が特定秘密にされる可能性は十分ある。