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歌舞伎町のホームラン女王 通算1632本

バッティングセンターに通う初谷さん
バッティングセンターに通う初谷さん

 今年、ヤクルトのウラディミール・バレンティン外野手(29)がシーズン60本塁打の新記録を樹立した。高く、遠くへ。打球が舞い上がる本塁打の感触は打った本人にしか分からないのかもしれない。東京・歌舞伎町のバッティングセンターにもホームラン王と呼ばれる女性がいる。初谷(はつがい)純代さん(41)は昨年3月に月間52本塁打の同センター記録を達成。06年から通算1600本以上打った。目標は1カ月61本塁打。明けても暮れても打席に立ち続ける初谷さん。背中を押すものは何か。

 深夜0時過ぎ、初谷さんは歌舞伎町2丁目の「新宿バッティングセンター」で黙々と打ち込んでいた。長い髪を束ねて打撃用のグローブを両手に着用。身長153センチと小柄だが、小気味よく鋭い打球を打ち返した。バッティングセンターには、打ち返す方向のネットに合計7枚のホームランの的(約30センチ四方)が設置されている。球速90キロのボックスが指定席だ。

 バッティングセンターによると、初谷さんが今年放ったホームランは189本(11月末まで)。通算1632本(同)となった。昨年3月には月間52本塁打の大記録を樹立。16カ月連続で月間本塁打王に輝いたこともあるという。

 初めてバッティングセンターに行ったのは06年の夏だった。婚約者で飲食店を経営する荒牧努さん(45)に誘われたのがきっかけだ。それまで、野球やソフトボールの経験もなく、全くの素人からのスタートだった。通い始めて3日目で初ホームランを打った。以来2人でバッティングセンターに通うようになった。

 「それがうれしくて、もっとやったらもっと打てるかもしれない」。その年の8月は3本塁打を記録すると次々に目標ができた。「来月は3本以上打ちたい」と思うようになった。当時は週に5~6日、毎日300球以上を打ち込んだ。

 進学や就職などで何度も挫折して、精神的に厳しかった時期もあったという。しかし、バッティングセンターに通うことで、メンタルも充実してきた。体を動かし、記録を塗り替えていくうちに、挫折を振り切ることができた。「自分は負けず嫌いで、勝負にかける意気込みが結構強い面も分かりました」という。荒牧さんも月間50本塁打の記録を持っているが、いつの間にか初谷さんが、追い越していた。

 打力アップのために毎日ジムに通って懸垂もしている。昨年3月に月間52本の記録を更新したときは、バッターボックスでうれしさのあまり涙を流した。ホームランを打つ一方で、理想の打球を打つことを目標にしている。「良い音が響いて、弾道の低くて速い打球のライナーが打ちたいんですよ」。理想の1発は1日1本出れば御の字だという。人生は甘くないと言い聞かせる。

 今年に入って、パートナーの荒牧さんの仕事が多忙なこともあって、週に1、2回しか来られなくなってしまった。それでも、来れば300球近く打ち込んでいる。「ホームラン王と呼ばれるからには打ち続けたい」。キングの自覚を口にする。「目標は61本。来年は頑張ってバレンティンを抜きたいですね」と目を輝かせた。【上岡豊】

 ◆新宿バッティングセンター 1978年創業。1ゲーム28球で300円。打席は初級の球速80キロから上級の130キロまで11打席ある。午前10時から早朝4時まで深夜営業しているため、歌舞伎町の酔客も多く訪れる、人気スポットとなっている。

 [2013年12月2日9時4分 紙面から]

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