井上
「さて、学校の授業と言いますと、45分間いすに座って、先生の話を聞きながら…。
大越さんは、どんな思い出がありますか?」
大越
「やっぱり、窮屈っていうんでしょうかね…。
やっぱり忍耐っていうんでしょうか。
最後のほうは、時計ばかり気になっていましたけどね。」
井上
「そうですよね。
今の“授業”、本当に生きたものになっているのか。
教育現場では、新たな取り組みが進められています。
これまでの発想を大きく変える試みです。」
井上
「さて、学校の授業と言いますと、45分間いすに座って、先生の話を聞きながら…。
大越さんは、どんな思い出がありますか?」
大越
「やっぱり、窮屈っていうんでしょうかね…。
やっぱり忍耐っていうんでしょうか。
最後のほうは、時計ばかり気になっていましたけどね。」
井上
「そうですよね。
今の“授業”、本当に生きたものになっているのか。
教育現場では、新たな取り組みが進められています。
これまでの発想を大きく変える試みです。」
学校には、教育関係者など、およそ200人が集まりました。
佐賀県武雄市の小学校で今日(21日)行われた、実験的な授業。
子どもたちの手には、タブレット端末が…。
これまでの“授業”の概念を打ち破ろう、という取り組みが始まっています。
核心:進む“授業改革”
それが、学習の面で学校と家庭の役割を逆転させる、「反転授業」です。
先生
「台形の面積の求め方を、動画で見てきてもらいます。
まず、動画が入っているか確認をします。」
前の日に、子どもたちはタブレット端末に予習教材をダウンロードします。
先生
「間違っていたら、解説を見て、正しい答えを赤で書いてきて。」
「反転授業」とは、これまで学校は、基礎的な
学習の場。
家庭は復習や発展学習の場となっていた
役割を、逆転させようという考え方です。
まず子どもたちは、家庭でタブレット端末を使って、基礎的な内容を学びます。
そして翌日、学校で、わからなかったところを確認したり、お互いに教えあったりして、理解を深めていこうというのです。
5年生の古川怜美花(ふるかわ・れみか)さんです。
家に帰ると早速タブレット端末を取り出して、予習に取りかかりました。
タブレット端末 音声
「きょうは『台形の面積の求め方を考えよう』。」
教材は、学習内容を音声で解説してくれます。
「動画見て、わかった?」
古川怜美花さん
「わかりました。
iPadで(学習)する方が説明までしてくれるから、わかりやすい。」
そして迎えた、今日の授業。
先生
「動画で、台形の面積はこう求められる、と方法を紹介してくれましたよね。
どんな方法があったっけ?」
自宅で予習した内容を再確認しました。
生徒たち
「台形の面積の公式を作って、使ってみよう!」
そして、子どもたちはグループに分かれて、お互いに教え合ったり、発展的な内容に取り組んだりするのです。
子どもどうしで教えあう時間をとることで、授業についていけなくなる子どもをなくし、
一人一人の子どもの理解をより深めることがねらいです。
生徒
「台形の面積を求めるのが簡単になった。」
武雄市教育委員会では来年(2014年)の春以降、市内のすべての小・中学生、およそ4,000人にタブレット端末を貸し出す予定で、「反転授業」を一部の科目で導入する方針です。
『反転授業』導入を提案 武雄市教育委員会 代田昭久教育監
「学校授業の大多数の時間が、先生から生徒への一方的な講義型スタイル。
授業の中だけだと、どうしても学びきれない子がいる。
わかった子はどんどん先に進めるし、わからない子は、絶対つまずきを残さないスタイルの授業を展開したい。」
大分県豊後高田市です。
ここでは授業時間を削って、新たな学習時間を生み出す取り組みが始まっています。
「Good morning!」
市内にある公立の小・中一貫校では、すべての学年で毎日、英会話が行われています。
男の子(英語で)
「元気だけど、おなかがすいて眠いです。」
近所に住む女性が、アメリカで20年以上暮らしてきた経験を買われ、今年(2013年)4月から指導にあたっています。
英会話のために、どの授業を短くするのか。
教師は、前の日に話し合って決めています。
英会話は、一日1回。
45分間の授業の冒頭、あるいは、終わりの10分間を使って行います。
理科の先生
「7年生(中学1年生)、EC(英会話)ですか?
ちょっと今、実験入っているので…。」
教務主任はそれぞれの要望を聞いて、英会話の時間をどこにするか調整しているのです。
全国の小学校では現在、5年生から週に1時間程度、英語の授業が行われています。
しかし学校側はそれだけでは十分ではないとして、新たな取り組みを始めました。
戴星学園 松成富義学園長
「全国各地の取り組みでも、1週間たつと(学んだ英語を)忘れてしまう。
できれば毎日、何らかの形で、英語に触れるのが大事なのかなと思う。」
10分間の英会話の時間が始まってから、半年余り。
子どもたちは、日常的に英語を口にするようになったといいます。
「『いりません』って言ってください。」
女の子
「I don’t want to drink milk.」
男の子
「Tomato(トマト)!」
女の子
「Milk(ミルク)!」
女の子
「英語が、いっぱいしゃべれるようになりたい。」
しかし、授業時間を毎日、10分削るのは簡単ではありません。
予定していた時間内に、本来の授業が終わらないこともあります。
先生
「(英会話が始まるまで)あと2分なんですけど。
難しいなあ。」
この日、6年生の算数の授業では最後の問題が解き終わらず、授業をいったん中断して、英会話の時間が始まりました。
学校では、削られた授業時間は、放課後の時間帯や夏休みに補習を行うなどの工夫をしています。
戴星学園 松成富義学園長
「教職員の頑張り、時間のやりくりや補習、授業数の確保も含めて取り組んでいるので、さらに改善などを図りながら続けていくしかないと思う。」
発想の転換。
そして、学校側の工夫や努力。
これまでの枠にこだわらない授業を通して、子どもの学力を高める取り組みが広がろうとしています。
井上
「私たちのころから見ると、ずいぶん授業は変わっていますよね。」
大越
「先生と生徒の間の距離を近くしようという、そんな努力もうかがえますよね。」
井上
「このほかにも、学校や自治体の単位で、今、さまざまな取り組みが進んでいます。」