“スマホに子守させないで”12月1日 20時21分
乳幼児にスマートフォンやタブレット端末を渡して、長時間、遊ばせる行為は、健全な発育を妨げるおそれがあるとして、全国の小児科の医師で作る団体がポスターで注意を呼びかけるなど取り組みを始めました。
取り組みを始めたのは、全国6000人の小児科の開業医などで作る日本小児科医会です。
乳幼児は、親とふれ合ったり、五感を使った遊びをすることで、健全な発育が促されるということですが、スマートフォンなどの普及に伴い、長時間、絵本や歌のアプリで遊ばせたり、アニメの動画を見せたりするケースが増えているということです。
このため日本小児科医会では、子どもの健全な発育を妨げるおそれがあるとして、1日の理事会でポスターを作って注意を呼びかけることを決めました。
「スマホに子守をさせないで!」と書かれたこのポスターでは、本の読み聞かせや屋外での遊びを勧める一方、子どもにスマートフォンなどを渡して長時間遊ばせる行為に注意を呼びかける絵が描かれています。
ポスターは、今後全国の小児科の診療所などに配られ、待合室などに掲示されるということです。
日本小児科医会の松平隆光会長は、「スマホを子守の代わりにするような使い方は、悪影響が心配される。親子の直接的なふれあいや対話を大切にしてほしい」と話していました。
アプリ会社側も対策始める
スマートフォンやタブレット端末を乳幼児に使わせるときに何に気をつければよいのか。
企業の側でも対策が始まっています。
東京・品川区にある乳幼児向けの教育用アプリを開発するこの会社では、先月、専門家の協力を得て独自のガイドラインを作成しました。
ガイドラインでは、スマートフォンやタブレット端末は親子で会話をしながら一緒に使う、絵本やおもちゃなどとバランスよく組み合わせる、生活のサイクルを守りながら利用する、などとしています。
また、アプリを使用する際には子どもと一緒に使用するよう呼びかける画面が出るようにしたり、あらかじめ設定した時間が来ると自動的に終了する機能を設けるなど、アプリの中に適切な使用を促す仕組みも取り入れています。
この会社ではこれまで絵本や歌など合わせて14種類のアプリを製作し、これまでに合計500万回以上ダウンロードされているということです。
この会社の池谷大吾社長は、「子どもが使う際にどう注意したらいいかという問い合わせが多く寄せられ、対応が必要だと思った。ガイドラインなどを参考に、親子が触れ合うよいきっかけなるように使ってもらえれば」と話しています。
家庭でルールを決めて
子どもの発育とメディアとの関係に詳しい東京大学の山内祐平准教授は、「2歳になるまでは画面の意味が理解できず教育的な効果も期待できないと考えられているので、基本的には使わせないほうがよいと思う」と指摘しています。
そのうえで、「2歳以上ではことばを覚えるのが早まるといった研究報告も出ている。家庭や子どもの状況に合わせて使い方や時間などのルールを家族で話し合い決めることが重要だ」と話しています。
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