【佐々木隆広】東京都板橋区で昨年11月、主婦荒井久美さん(当時34)が刺殺された事件で、強盗殺人などの罪に問われた無職松尾元気被告(23)の裁判員裁判で、東京地裁は29日、求刑通り無期懲役の判決を言い渡した。大善(だいぜん)文男裁判長は「被害者をナイフで20回前後も刺し、残虐だ」と述べた。

 判決によると、松尾被告は昨年11月21日午後3時ごろ、被害者宅に侵入し、帰宅した荒井さんを刺殺。キャッシュカードを奪って現金約25万円を引き出した。

 検察側などによると、荒井さんは2003年に結婚。子どもが授からず、昨年9月から産婦人科で薬の処方を受けていた。事件当日は、妊娠できる状態なのか、検査結果を聞き、「いつでも妊娠できる状態」と伝えられていた。夫は法廷での意見陳述で、「妻と、生まれてくるはずだった子の未来を奪われた。2人を失ったも同然」と語った。