(cache) Chosun Online | 朝鮮日報

【社説】TPP参加、適期は逃したが話し合いに乗り遅れるな

 米国が中心となり日本、オーストラリア、シンガポール、ベトナム、メキシコなど12の太平洋周辺国によって交渉が進められている環太平洋連携協定(TPP)について、韓国政府は29日の対外経済閣僚会議で「参加することへの関心」を表明した。この関心表明は交渉への参加を事実上宣言するものといってもいいだろう。TPPはアジア・太平洋地域の主要国が自国の製造業やサービス市場を今よりも高いレベルで開放する、いわゆる自由貿易交渉に他ならない。参加各国は当初、年内妥結を目指していたが、実際は完全合意にまでは至らず、来月の通商閣僚会議で暫定合意を発表するものと予想されている。

 米国はこれまで機会があるたびに、韓国に対してTPPへの参加を求めてきたが、韓国政府は明確な回答を避けてきた。韓国としてはすでに米国や欧州連合(EU)と自由貿易協定(FTA)を締結しているため、TPPへの参加を通じて今よりもさらに市場を開放しても、追加で得られるものはさほど多くないと判断したのだ。しかもTPPには米国がアジア太平洋諸国の連携を強めることで「中国包囲網」を形成するという別の側面もある。しかし韓国にとって中国は最大の貿易相手国であり、昨年は対中貿易で535億ドル(約5兆5000億円)の黒字を記録した。

 韓国政府によるTPPへの参加決定は、時期的に見れば中国が東シナ海に防空識別圏を一方的に設定し、韓国はもちろん米国や日本などとの対立が鮮明になった直後ということになる。日本は尖閣諸島(中国名:釣魚島)の領有権争いが本格化した今年7月からTPP交渉に参加した。日本は農産物市場の開放という政治的なリスクや、金融と労働分野での経済的損失を甘受してでもTPP交渉への参加を決めたが、これは米日同盟を最優先に考慮した結果に他ならない。一方、韓国のTPP参加は、経済全体に占める輸出の割合が非常に高い韓国経済の特性を考慮したやむを得ない決断だ。ただし韓国は米日両国と中国との対立が激しくなった状況でTPPへの参加を決めただけに、政治的な負担が一層大きくなったといえるだろう。そのためTPP問題では中国から無用な誤解を招かないよう、外交面での努力が強く求められるところだ。

 韓国がTPPに参加すれば、まずは農畜産物市場を開放しなければならず、また保険や外国為替市場でも開放の幅を今以上に広げなければならない。そのため追加の開放による損失に備える対策が必要だ。

 天然資源や技術のない韓国は、開放政策を通じて輸出市場を確保し、これによって先進国の資金や技術を取り入れることで経済を成長させてきた。韓国経済が今の低成長から抜け出し、再び成長軌道に乗るためには、国の外で市場を確保し、海外の技術や資源を取り入れてさらに付加価値の高い商品とサービスを生み出していかねばならない。そのためにも韓国は世界の新たな通商秩序構築に向けたTPPの話し合いに、何としても加わらなければならないのだ。

<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>
関連ニュース