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政治
【主張】秘密保護法案 成立に向け大きな前進だ
特定秘密保護法案が与党とみんなの党の賛成多数により、衆院本会議で可決された。
日本維新の会は審議が不十分だとして、衆院特別委員会の採決を棄権し、本会議でも採決時に退席した。
党派を超えてより多くの勢力が賛同する形にならなかったのは残念だ。だが、与党と維新、みんなの4党はすでに、法案修正で合意しており、その内容を実現に向けて進めるべきだった。「与党の強引な採決」との批判はあたらない。
国として安全保障の機密を守る法整備は欠かせない。その認識は維新も含め今後とも共有できるはずだ。知る権利や報道の自由が損なわれないかとの懸念を払拭するため、政府には参院審議でも丁寧な説明を求めたい。
与党は、みんなや維新、民主との修正協議を重ね、維新との間でも秘密指定の状況をチェックする第三者機関の設置を検討することなどで合意に達した。これに基づいて、維新は与党やみんなと共同で修正案を提出した。にもかかわらず、採決に応じないというのは分かりにくい。
党内で修正への異論が強かったため、政府・与党になお抵抗する姿勢を見せる必要があるのか。衆院通過が遅れると、12月6日までの会期を延長する必要性も出てくる。そこにつけ込み、日程闘争をしているようにもみえる。
維新の橋下徹共同代表は「何でも反対の野党なら、国民に愛想をつかされる」と繰り返してきた。ならば、採決拒否ではなく参院審議で主張すべきだろう。
「全面的に民主党案を受け入れなければ修正に応じない」姿勢に終始した民主党は、本気で合意を目指したのかさえ疑わしい。
26日の衆院国家安全保障特別委での答弁で、安倍晋三首相は第三者機関について、米国で機密文書の公開を審査する省庁間上訴委員会などを参考にする考えも示しながら「私は設置すべきだと考えている」と語った。
これまでより踏み込んでおり、審議を通じて修正の方向がより明確になった一例といえる。60年の秘密指定期間について、必要がなくなれば、それを待たずに解除することもはっきりさせておく必要がある。
参院審議でも、政府や与野党は制度の適切な運用などについてよりよい姿を模索してほしい。
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