残酷な婚学

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4087815196/goshistore-22%20/

2012年度後期『婚学』がスタートした。

少人数ゼミで認められる単位は2単位。
多くの学生が前期でその単位を取得するので
後期の少人数ゼミは
受講希望者が少ないのが一般的。

だけど、50名の教室が溢れかえる。

まぁ、それでもいつもどおり
20名限定の少ゼミにしようと思っていた。
ノウハウは十分にある。
そのクオリティーは維持できるし
ブラッシュアップすれば
さらに良いものになる。
だけど、
前期の社会人ゲストの「本気の反省会」で
何人かがこんなことをいった。

「社会人ゲストがこんなにいるんなら
もっと多くの学生を受け入れていいんじゃないですか?」

そ、そうだよね。
前期と同じコトしてちゃ
「挑戦」を推奨する
ゴーシ先生の名が廃るよね。

ということで、
慌てて学生係に行き
100人規模の教室を準備してもらった。

学生に問う。

この授業は少人数ゼミで定員は20人。
本当はジャンケンや自己PRで
選抜する予定だった。
だけど、もしみんなが納得するなら
全員の受講を受け入れよう。
だからといって、授業のクオリティーが下がるのはイヤだ。
だから、全員で受講したいなら
全員で協力して
最高の数ヶ月間にしよう。
それに同意する人は拍手。

教室は全員の拍手に包まれ
そうして2105教室に移動。

 
困ったのはその日のプログラムだ。

ジャンケンや
自己PRで
90分使おうと思っていたから
全員受講させることになって
やることがなくなった(笑)。

そこで天才的
ワークショップ・デザイナーの
ゴーシ先生は面白いことを思いついた。

「婚学では、男女ペアでのディスカッションを多くします。
今、みなさん、男子学生同士、
女子学生同士で座っているでしょう?
では、今から席替えをします。
男女ペアを作って席に座って下さい。
制限時間は3分。
よーい、スタート!」

教室は戸惑いに包まれる。
どうする?
どうしよう?

結局2分経っても
ほとんどペアは決まらない。
「あと1分」と声をかけると
少しずつ座り始めるが
それでも決まらない。
3分を越えても黙って見守る。

4分を越えたところで
男女ペアはすべて完結し
後ろに男子学生が10名くらい取り残された。

「ペアができなかった人
一人ずつ感想をどうぞ」

と言うと、一人の女子学生が
「うわぁ、残酷」
と呟く。
そう。
残酷だ。
社会は残酷なのだ。
ゴーシ先生はそれを味あわせてあげる。

学生が答える。
「恥ずかしい」
「みじめ」
「もっと積極的に行けばよかった」
「死にたい。。。」

そうなのだ。
恥ずかしいし、みじめで、死にたくなる思いだと思う。

だけどね、
席替えしているときも
同じように
「声かけるの恥ずかしいな」って思ってたでしょう?
その恥ずかしさと
今の恥ずかしさのどっちが上?

「ペアを作れ」って言って
みんなペアを作るのだから
その恥ずかしさに負けず
勇気を出したほうがいい。
こうしてペアができずに
たたずんでいる方が
よっぽど恥ずかしいでしょ?

女子学生だって
同じ気持ちだよ。
ペアができなかったらどうしようって
不安なんだよ。
それを思いやって、
「一緒にいいですか?」
って声を掛けるのは男の優しさだよ。

みたいなことを語りかける。

一人の学生が言う。
「男女の数が違うのがよくないと思う」

これはよくある思考方法だ。

人のせいにするのだ。
実は、みんな同じ条件で闘っているのに
負けると、自分以外のせいにしちゃう。

ゴーシ先生
「自分の勇気のなさを社会のせいにするな!」
と一括。
そのあとに、
「じゃぁ、もう一度、席替えしよう。
違う男女ペアを作ろうね。
よーい、スタート!」

と声を掛けると
今度はわずか30秒で
すべてのペアができ
やっぱり10人の男子学生が残された(笑)。

みんなこの数分で積極的になれたのだ。
恥ずかしさを越え
勇気を身につけた。

これが成長だよ。
それに喜びを感じよう。
これを繰り返せば
半年後にはみんなすごくhappyになる。
ゴーシ先生が約束する。
ということで
後期婚学は全く新しいケミストリーがうまれるよ!

Comments

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残酷な婚学” への22件のコメント

  1. 壁]д`)これがハラスメントだと訴えたところで、仮に「この部屋の中でペアになれなかった人は一生結婚できない」という状況だとしたなら、その10人は一生結婚できないわけで。
    重要なのは、その後の人生において「取り残された10人」にならないように意識を持つ事を学ぶ事でしょう。
    そして、実際には隣に座るだけのペアを作るようには人生のパートナーはできないわけで、多くの人は(彼氏彼女を作る段階でも)失敗や喪失の体験をしなければならない。そういう意味では、取り残された10人はとてもいい失敗の体験をできたのではないかと思います。

    残された10人に「実は、バランスを取るためにもう10人女の子を用意してました~」とか言ってみんな仲良くペアができて良かったね、オメデトウ!みたいにして意味があるでしょうか?

  2. 学生ではないですが・・・
    たまたま友人の紹介で佐藤さんのブログを読みました。

    コメント欄が本当にゆとりですね。
    みんな横並びで笑えます。
    こういう人達は、幼稚園で紅組白組に分かれて運動会をやった後に、全員で金メダルを貰ってるようなぬるい環境ですごしたいんでしょうね。

    • まるで小学校の道徳の授業で、クラスの優等生が繰り広げる「模範解答」のような討論です。一見正論のようで、問題の本質が置いてけぼり。

      • 問題の本質が置いてけぼり は、むしろこの婚学の方の方でしょう(笑)。出産や子育てに関する社会的問題を無視している。簡単に学問的でない人間の言説に納得する方がぬるいですね。

      • 自分の立場を使って学生をいじめているだけ。
        信念も何もあったもんじゃない。
        こんなのを支持するなんで頭の程度が知れる。

      • 具体的な指摘もせずに批判するのも批判の模範回答みたいですよね。あなたの返信もまるで社会をダメにする一部のマスメディアみたいな意見です。
        婚学については善し悪しあるので否定はしません。しかし、今回の「感想まで言わせる行為」はこれだけ批判がきていることから、おそらくやり過ぎだったのでしょう。教育の現場で悪いことをした子どもを体に覚えさせたほうが覚えやすいからといって殴るのは「やり過ぎ」「他のやり方でも教えることはできる」ってなりますよね。同じことで今回も正しい面はあるもののやり過ぎだったのでしょう。

  3. 確かに、大学の講義でやるレベルではないかもしれません。婚学セミナーみたいな形態を取れば良かったのかと。

    しかしながら、この議題において、セクシャルマイノリティを引き合い出すのはいかがなものか。そもそも、「結婚」においてセクシャルマイノリティが排除されているのが悲しいかな、今の日本社会であるし、そこにセクシャルマイノリティをどう盛り込もうというのだろうか笑 いち同性愛者である自分から言わせると、構うな勝手にしろ、というのが正直な感想だ。

    Facebookコメントで繰り広げられている、セクシャルマイノリティへの考慮に関する議論を見るに付け、そういった「障害」の当事者だけが取り残され、問題の本質に目が向けられていないいい例である。(身体障害者などを議論する際にも、正義感を振りかざす似非識者によったこういった展開は度々散見される笑)

  4. 先生、お久しぶりです。僕も、九州大学のものです。

    教育をする側とされる側の活発な議論がなされるということ、
    多様性というのは、良くも悪くも(?)素晴らしいものですね。

    今回、僕も先輩方の関わりからここを知りました。
    先生も、数多くのご自分のほんの少ない面から批判をされることを煩わしく思われることと思いますが、私も受講生の書く「婚学」の感想を目にしていた事、一度ですが受講した事も踏まえ、ここの内容に違和感を感じました。
    それにしても、先生のお考えや「婚学」の原理は、ここにあったのですね!
    今年度の初め、5月頃だったでしょうか…先生の研究室にドキドキしながら突撃訪問させていただきました頃の棘トゲしかった自分を思い出しつつ、拝見しました。
    佐藤先生にとっての「婚学」、先生の描く「学生像」、お考えになっていることについては、まだまだ青く棘棘しい今も、なお深く尊敬しております。

    さて、僕が感じた違和感は「果たして数人の生徒に残酷な思いをさせる必要はあった(ある)のか」にあります。僕がそこに違和感を感じた理由に特筆すべき点はなく、多様な価値観の国で育ち、それに富んだ友人を持つひとりである、からと思われます。これについても、上の先輩方や佐藤先生の方が、もっと広く大きな世界をご存知のことと思いますが。および、その多様性という言葉は、しばしば「正義を振りかざすための剣」「正当化」等の議論で目にしますが(笑)…ここでは広義の意味において、です。

    数名の先輩方も仰るよう、一方からはジェンダー学、他方からは文化人類学と切り口は数多ありますが、これは佐藤先生の授業内容やお考えを批判するものでは全くなく、あくまで「そのような行為(仕打ち/ハラスメント)をする必要性があった(ある)のか」が焦点だと考えます。違ってたらスミマセン。

    僕は「無知ほど罪なものはない」と考えているのですが、「不幸」とは往々に「無知」が引き起こすものがあります。すべてを知り尽くすことは不可能だとしろ、学問を志すものである以上、「無知」を最小限にすることは(誤解を恐れず言えば)義務であるとも考えています。
    (一個人であれば批判を受けるべき内容があってしかるべきだと思いますが)その界で最たる大学教授が、あろうことか「多様性を排する」ような内容の行為をしていた(いる)ということに違和感を感じました。

    以前僕が先生の研究室を訪問した際も、
    先生は僕が話した「幸せの閾値」という言葉を使ってお話しされましたが、
    例としてあげるならば、その「閾値」がそれぞれ違うからこそ、この問題は取り上げられるべきだと思います。

    男女という二項対立的視点がスタンダードではなくなる未来も決して来ないとは言えない現在において、宗教の違いのなか自分の無知のせいで相手を不快にさせないことがマナーになる未来を控え、思いもつかなかった症状が続々と発見されるかもしれない未来において、
    そのような世界に羽ばたく未来の学生たちを育てるお立場にある先生だからこそ、今一度お考えいただければと思います。

    (補足ですが、僕の親族は乳?アレルギーで牛乳やパンは勿論、多くの食品に含まれる乳化剤にも反応して発作を起こします。もちろん自由な外出はできません。それゆえ、「知らない」が彼女を殺す可能性もあります。守りようもないのですが…)

    学びを受けた学生が、いつの日か「多様性を排する」行為をしてしまった時、またそれが犯してはならない過ちになった時、彼は本来的には悪いとは言えないでしょう。果たして、誰に起因するのか。教育が難しい側面を持つとされる理由のひとつだと考えます。

    (何度もくどいようですが、先生が一学生/一般人であれば、どうでもないようなことでしょう。大学教授という立場にある方としての対応を私は求めております。)

    先生のお考えに基づく素晴らしい言葉やその現れとしての行為、当然僕には真似しようともできません。ここにある数多の意見を読まれた上で、お考えいただいた結果、これからの学生たちに授業をお続けになっていただきたいと、一学生が考えたことをここに記します。

    (上にある、男女の別や宗教の違い、アレルギーが全く同じ問題だとは考えておらず、似たような要素「無知は各個人が努力によって解消できる課題である」という共通側面においてのみ並べて書いています。)

    中村允紀

  5. 九州大学の学生の者です。たまたまブログを拝見し、気になる点があったので投稿させていただきました。
    私も少子化、晩婚化は今後の日本の未来を考えた際に深刻な問題であると考えています。その考えを持っている人は数多くいると思いますが、先生のように実際に革新的な行動を起こして、その問題を解決する希望を示そうとしていらっしゃる方は稀有だと思います。
    日本の最大の悪い文化の人一つとして、「出る杭は打たれる」というものがあり、新しい取り組みをなさっている佐藤先生はまさに出る杭として、さまざまな批判を浴びていらっしゃると思います。
    私個人の考えですが、周りの批判のほとんどは、自分が行動に移せない無力感を妬みとして、実際に行動に移している人に揚げ足を取ってぶつけているだけの内容の無いものだと思います。
    先生の画期的な取り組みとその進展をみて、勇気をもらっている学生もいます。
    どうかそのような周りの批判に打たれることなく、今後ますますのご活躍を期待しております。

  6. この先生のこと全く知らないけど、
    言ってる事は至極正しいし、まあ新しいことやる人は叩かれるわな、とも思う。
    用意された物だけ頼りにしちゃってる現代人にはこういう人の教えが必要だね。
    一番良かったと思ったのは、この先生のおかげで
    「こういう事に面倒くさいこと言ってくる輩とは結婚しないでおこう」と思えたところ。
    良かった。

  7. 2年前に大学を卒業して、いまは民間企業に勤めています。

    余っている男子学生を見て、既にペアになっている学生が「一部男女3人組みのペアになっても構いませんか?」と提案できれば、その子はなかなか良い根性があって尊敬できるな、と思いました。
    あるいは、余った男子学生の中の誰かが、「俺、今日だけ女になってもいいですか?」と切り返してきても、とてもユーモアがあって素敵だと感じます。(もしかしてそんな学生もいらっしゃいましたか?)

    人数が不揃いの状態で男女のペアを組ませるということが良いか悪いか、というのは正直私の頭ではよくわかりませんでした。どちらかというと、そういう状況下でどういう対応ができるか、頭を巡らすことの方が楽しいかなーと思います。先生のブログや、色んな方のコメントを読んで 、そんなことを考えました。

    突然のコメント、どうか御容赦ください。ブログの更新を楽しみにしております。

  8. 出会い系の主催者ってロクな人いないので若い女学生さんはご注意を。
    立場が下の20歳前後の若い女なんてもう間違いなく狙われますよ。

  9. やってることはおもしろいけど、フォローが最悪だな。

    もう少し、ペアが作れなかった人たちの心情を配慮すべきだ。
    この記事だけ読むと、ハラスメントと捉えられても仕方がない気がする。
    というより、これをハラスメントかもしれないという認識を持ってない人が指導者になるのは問題がある気がする。

    それに、男性が余るのであれば、勇気を出したけどペアが作れなかった人はどうなんだろう?

    「男女の数が違うのがよくないと思う」
    この意見を、「自分の勇気のなさを社会のせいにするな!」と返答する意味がわからないな。
    人数が違えば余るのは当然では?

    ペアを作れなかった原因は勇気だけではないと思いますが。。。
    それを明らかにしていくことが婚学の主題のひとつなのでは?
    婚学自体なんなのかよくわからないですがw

    おもしろそうな講座なんで、九大生がうらやましいですね。
    頑張ってください。

  10. なかなか面白い授業ですね。
    恋愛にしろ婚活にしろ、世の中は厳しい競争原理が働いているということは、社会人なら誰だって知ってます。
    婚活もまた然り。出世競争などと同じく厳しい競争の世界であり、この競争に敗れて売れ残れば
    授業で晒し者にされることなどとは比較にならないほどの長い苦痛が待っています
    ですから、学校という落ちこぼれても、道から外れてもなんとかなるぬるま湯にすっかり慣れきった学生の皆さんに、
    敗者の苦痛を教えることは非常に意義のあることかと思います
    まあこれが学問足り得るのかについての疑問は残りますがね

    何にせよ、とりあえずは応援します
    その調子でゆとり学生に社会の厳しさを教えてあげてください

  11. 男子学生でこのありさまなんだから、女子学生ならもっと叩かれてたな。
    講義の入りとしてはキャッチーだが、感想を聞いたりと晒しものにするのはやり過ぎだったかもな。
    そう思っているはずだ、と気持を代弁して次に進めるだけでも十分学生の心を掴めたのでは?

  12. 余った人に社会のせいにするなってよどういうことだよ。数が合わないんだからしょうが無いじゃん。

    やたらと希望受講生が多いとか言うけどそんなのテレビで見た人とか人気だからとか数学とかじゃないし頭使わなそうとか簡単に単位くれるって聞いたとか本音はそんなんだと思うよ。まじめな人もいるだろうけど
    でもそんなこと言ったら追い出されるに決まってるしムリだよね
    余った人の感想だって雰囲気で言ったんじゃないの

    • 本当にこれ。余った10人が価値ある体験したとか言うなら女子生徒にも体験させろよ授業なんだから。所詮その程度の価値。現実の再現みたいなこといってるけど、男も女も余らないと現実じゃないよね?現実が女は全員ペアできてます。って状況だったら、何が少子化、結婚率のための授業だよ。もう多夫一妻しかねーじゃん。女にも「この人はいやだけど、まあこの場だけだし、目立ちたくないし」って思いでペアになってる人は大勢いると考えられるし、こんな茶番で説得力できたってロジックはチャンチャラおかしい。婚学とかやってることが無駄とはいわないけど、言ってることは支離滅裂じゃね。

  13. これが大学教員のレベルですか。極めて社会的背景が重要な課題に、社会的背景を無視しろ!極めて経済的問題が重要な課題なのに、経済的な背景を説明しないw極めてジェンダー的観点が重要な課題に、ジェンダーを問題にあげないwwこの教員の授業を我慢して受けてる学生が、時間の無駄に付き合わされて、可愛そうだ。

  14. 大人として傍観して…ステキな大人がどうのと言っている割に、フェイスブックでシェアしてそこでみんなで叩いてたんでしょ?いい大人が学生相手に。全然ステキな大人じゃないな、こんな大人にならないように、若い人たちは反面教師にしたらよい。呆れるわ。

  15. 私は婚学の本を読んだのですが、
    佐藤先生は、旧来の男性像を理想とする方なので、
    男子学生だけ晒し者にするのはおかしいとか
    なぜ女子学生が余るシチュエーションは作らなかったのか
    と問い詰めても無駄だと思いますよ。

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