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世界はデフレと通貨戦争の危機、きっかけは日本

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2013/11/28 7:00
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■ディスインフレーションが支配

 ここまでデフレについて述べてきたが、実際に起きているのは「ディスインフレーション」(物価上昇率が極めて低い状態)だ。最近の経済統計をみると、世界経済にとってディスインフレは一番の脅威であり続ける。具体的には以下だ。

1)米国の10月のインフレ率は年率に換算して1%に低下した。これは、この約50年間で、2008年の金融危機の時を除いて最も低い数値だ。米国でインフレは2011年にピークを迎えその後はFRBの目標水準である2%を大きく下回っている。

2)米国の銀行の貸出残高は同様に減速している。(FRBによる)金融緩和策は貸し出しの増加にはつながっておらず、実体経済には浸透していない。企業も消費者も借り入れには慎重な姿勢を崩しておらず、ローンに対する最終需要はまだ十分ではない。

3)独の10月のPPIは前月比で0.2%下落した。予想以上の落ち込みだ。年率ベースでは0.7%の低下。インフレの減速傾向を示している。

4)インフレの減速は欧州全体に広がる傾向だ。欧州中央銀行が今月初め、利下げの原因としてインフレ率低下を挙げたのも当然だ。

5)数値でははっきり分からないが、商品価格の軟調もインフレ率低下を示している。原油価格の調整が特にはっきりしている。

 これらはデフレの火種がしっかりあるといういくつかの証拠だ。

■日本に非があるわけ

 日本は株式市場の復活と4カ月ぶりの円安で、再び投資家の関心を集めるようになっている。しかし、問題はそう簡単ではない。アベノミクスという大掛かりな実験がまったく完全なる失敗であるという証拠なのだ。

 直近の7~9月期の国内総生産(GDP)の伸び率は1.9%で、4~6月期の半分の水準だった。もっと重要なのは、生活費が上昇しているなか、円安のおかげで個人の収入はほとんど変わっていない。11月20日発表の貿易統計によると、10月の輸入は燃料の輸入が増加しているため、前年同月比26%の上昇となった(予想は19%)。この結果、アナリスト予想を上回り前年同月比19%の伸びとなった輸出を見劣りさせた。日本の貿易収支(輸出額と輸入額を差し引く)は記録が残っているなかで3番目の低いレベルとなった。

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