今季の虎ベンチ。右から3人目が鳥谷だが、井口は「真ん中に座り、若手に囲まれろ」と指令【拡大】
公私ともに敬愛する先輩から、最高の激励をもらった。座る場所から意識しろ-。晴れやかな祝いの席上で、鳥谷が井口から『リーダー論』を授かった。
「僕はロッテにきて、ベンチの真ん中に座るように心がけた。そうすることで、チーム一丸の空気を作りたかった。トリ(鳥谷)には、そういう役割がこれから求められるんじゃないかな」
井口は2009年にメジャーから日本球界復帰後、チームのまとまりを重視。攻撃中は常にベンチの中心に腰掛け、チームメートに声をかけてきた。そんなベテランの姿を見て、若手も徐々に両隣に座り、ともに声を出すようになったという。井口も、攻撃時の状況で考えるべきこと、投手の攻め方などを若手に惜しみなく伝えてきた。
師匠からの『指令』を聞いた鳥谷は、来季の実践を明言こそしなかったが…。「プロに入って、同じ内野手として、常に目標にしている」と尊敬の念を抱き続ける井口の言葉の意図は、十分わかっている。
「トリは名実ともに阪神の中心。彼がチームの成績を左右する。来年で33歳。チームを勝利に導けるか。それが、トリ自身の価値になる。日本シリーズで戦いたいね」という師匠のメッセージに弟子も「ロッテと阪神で、ことしの楽天と巨人のような熱い戦いをしたいですね」と返した。
師弟間で交わされた約束。猛虎復権には、キャプテン鳥谷の存在は絶対不可欠だ。ベンチのど真ん中から、そのリーダーシップが発揮される。
(紙面から)