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特定秘密保護法案に反対する学者の会記者会見全文

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以下は小森陽一さんの発言です
佐藤学?:   何としても廃案にするために全力を尽くすつもりですけれども,もし仮にこれが参議院で通ってしまった場合には,その日からその法律を廃棄するための闘いになると思います。そして,そこで私達が発言していくことが,政府がこの法律によって何を秘密にしていくのかということを暴きだしていくことになる。その意味では,10年の懲役を覚悟した命がけの闘いになりますが,それを今の憲法の下でやりぬくのが主権者だろうと私は思います。

久保亨:   歴史学の久保です。私ども歴史学者の第2次緊急声明の最後に書いておいたのですが,現在必要なことは「「公文書管理法の趣旨にのっとって行政文書の適切な管理のための方策を とること」であり、米国の「国立公文書館記録管理庁」が持っているような文書管理全般に関する指導・監督権限を国立公文書館に付与すること、その権限に見合った規模に国立公文書館を拡充すること,そしてそれを支える文書管理の専門的人材を計画的に養成・配置することである。」」この重要性を,日本国民の意識の中で広げていくことが基本的には非常に重要だと思っております。それに支えられた公文書館行政をきちんと作らないとだめです。率直にいって,図書館と博物館は(不明瞭00:54;46)。文書館を見落としてきた。近代,現代には文書館がないのです。それが結局,文書に関する国民全体の意識を低くしてきたと私は感じています。ワシントンでもロンドンでもいってみれば,普通の市民が文書館を使っているのです。日本の文書館は本当に寂しい状態です。普通の市民が自分たちの情報を確認するために文書館を利用するという,市民の意識やモラルが出来ていないのです。だから隠してきたのです。漸く公開しようという公文書管理法が出来たときに,慌ててそれを逆戻りさせようとしていると,私はそのように考えております。長期的には,公文書管理法に基づき,権限を持ち,事前事後なしに,(不明瞭00:55:43)に立ち入って,きちんと文書を保管する体制を作って,どんどん摘発できるという権限を持っているのがこの館長なのです。これが日本にないのです。これがあれば,あらゆるところで動けるはずなのです。これがないから問題なのです。このことを,もっとメディアの方達にも考えて頂きたいと思っています。

朝日新聞:  朝日新聞のコクボと申します。杉田先生にお伺いします。先生方の問題の意識をとても共有するのですが,一方でこの前の衆議院の採決を見ますと,仮に維新が賛成していたら,衆議院の8割の賛成ということになったと思います。この議員は去年の12月に主権者である国民が選んだばかりです。この状況をどのように考えれば宜しいのでしょうか。

杉田敦:   今回,いわゆる第三局の動き方がよく分かりません。これは,いわゆる政局的というか,政治方法的な感覚からいえば,与党に入りたがっているというか,多数派に入って何らかの規制作りをしたいというような。逆にいうと第三局が急激に成長することは阻まれたので,くっついていこうという政策に転換したのか分かりませんけれども,そういう政局的なことは兎に角として,世論が非常に警戒感を持っている,外国のメディアも含めて(不明瞭00;57;53)大変なことになると思います。一ついいこととしては,自民党の中からも疑問を持つ人が出てきているということです。報道されていますよね。先ほどの質問とも少し絡めて申し上げますと,先ほど申し上げた西山事件に関わって日米に密約が出た時も,民主党政権が公したときにも,国民の反発が非常に小さかったので,危惧したわけなのです。自分たちが自民党政権に騙されたわけですよね。しかし,それに対して怒るということが十分に出てこない。それからイラク戦争への参戦における,大量破壊兵器に関しても,あれはなかったということで,米国でもかなりかなり問題になりましたし,イギリスではブレア政権が倒れるまでに至った。日本では,小泉政権がそういった判断をしたことについて,批判が非常に小さい。これは国民が,自分たちに対して情報が開示されないということの民主的な問題点です。やはりメディアがそこの所をはっきりしていただいて,まさにそれが民主主義の本質なのだということをより謗法して頂きたいし,今回この余りにも粗雑な立法が出て,国民の危惧はかなり出てきたのではないかと思っていますけれどね。政治家の方々には見誤らないで頂きたいと思います。

佐藤学 :  そろそろ時間なのですが,よろしいでしょうか。なおですね,今後、こちらの情報については。そこに事務局のアドレス等がございますので,ご質問頂ければと思います。12月3日夕刻になろうと思いますが,第二次の賛同人の発表と記者会見を行います。また正確な時刻と場所についてはお伝え致します。では,今日はどうもありがとうございました。
(終わり)

内田樹
思想家、武道家、翻訳家。著書はいずれもベストセラーに。

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