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特定秘密保護法案に反対する学者の会記者会見全文

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杉田敦:    政治学の杉田でございます。この秘密の問題というものは非常に難しい問題で、この私たちのアピールでもですね。外交・安全保障等をつくるに関して、短期的・限定的に一定の秘密が存在することを私たちは必ずしも否定しません、と綴られている訳です。ある意味この手の反対運動とかに対して、外交秘密を認めないのか、というふうな批判があって、そういう事ではないですね。それは全部、即時にあらゆる外交等をガラス張りにするっていうことは当然私たちも認識しているんですが、これは先進諸国の前例がすべて十分とは言えないものですので、基本的に一定の年月がたてば公開して、その時点で当時の正当時点が決定した当時の政府の判断がどうだったかを少なくとも事務的に民主的に判断する余地を残す。それによってあとで検証されるから、無責任な秘密指定とか隠蔽とかはできないようにするというのが普通のやり方ですよね。これは、この点について、この法案が最初に提出された時点では全くその、無限定に近い形で出されてきたわけです。それからもう一つは、時間的にあとに検証できる担保。もう一つは、先ほどの、今も2人の方がお話になったようなことでして、行政府の権利とは、これは歴史的に見ると肥大してきたわけです。行政権の優位というのは歴史的にどうしても続いてきた。つまり憲法が立法権を国政最高機関としつつも、現実には行政というのは、国を守っていますから、ここで権力が大きくなる傾向があるわけです。ですからその行政権の権力に対してはさまざまなチェックをするというのは、少なくとも統治のシステムとして当然のことである訳ですね。ところが今回この法案においては、先ほどからお話があるように、行政府が法律を設定するに際して、ノーチェックの形で出されてきた。そして現在でも行政府の長である首相がチェックするなどといった、そのチェックという概念を理解していないというような対応が働いているわけです。これについて、チェック機関としては普通考えれば、ひとつは立法府の中に、立法権力の中に何らかのチェック機関を設ける。それから司法の部分、裁判所の中に何らかのチェック機関を設ける。あるいは、例えばアメリカ国立公文書館とかですね。これはアメリカでやっているんですけれども、第三者機関のようなものにつなげるか、少なくともそういうふうなシステムを用意するのが世界的に見て当たり前だと思うんですよね。もちろんそういうものを設けたからといって、実際には骨抜きになるっていうのはもちろん、世の中の常とは思いますけれども、そうは言いながらもやはり、全然ないというのとは違うので。ところがそういう配慮が、配慮というか当然のシステムをつくらないままこれを出してきたということが、非常になんて言いますかね。現在の政府・与党の、あるいは官僚の側かもしれませんが、思い上が利なのか、単に能力がないのかはわかりませんけれども、こういう問題について、現在のような、私たちのような成熟した社会で、そういう、なんて言いますか、粗雑な形で出せば大きな反対しか寄せられないということが理解できない。そういう極めて荒っぽい、ですね、やり方であるということを非常に危惧を持つわけですね。一応、逆に言えば、もう少し、第三者機関とか、時間とともに開示されるとか、そういうふうな条項を入れた形で、上手に出されたら、逆に私どもも反対しづらい面があるんですけれども、そういう配慮もせずにこれを出してきた。今現在、一部修正してますけれども、そういう形でやることによって、いったい最初にどういう意図があったのかということを非常に疑わせる。つまり、いろいろなことを言いながらも、極力ですね、この際、さらに行政府に権力を集中させて、いわば、ほかの部分に、発言権を奪うような体制を一挙につくろうとしたのではないか。首相等が国会で説明しているような外国との関係上、外国からその秘密をもらう関係で公務員に規制するだけではなくて、ほかの意図は全くありませんという説明を。それに対して、そもそも根本的な疑問を持つように、現在の立法を(不明瞭00:25:31)ということで、これはやはり根本から考え直して、拙速な成立というのは必要ないと思うので、もう位置から、そもそも、なんのために必要であり、どういうことが最低限、こういう秘密、国家秘密を扱うについてはどういうが必要なのかということを根本から議論し直していくしかないのではないかと思います。以上です。

久保亨:    歴史学の方をやっている久保といいます。今、ちょっと文章を、今まで歴史学者がどういうことを声明してきたのかという事で、文章をまとめて参りましたので、こちらでお回ししますから、もし足りなければ、あとでメールアドレスなどをいただけばお送りしますので、ちょっと部数が足りなくなるかもしれません。歴史学の立場から3点を申し上げたいと思います。まず、経緯を申し上げますと、ここに、ご覧になっていただければすぐご理解いただけると思いますけれども。10月30日に歴史学関係者で緊急声明を出しました。これは非常に重要な問題だということで、学者・研究者の中で早いほうの反応だったと思います。11月22日に緊急声明、第二次のも出しました。これは、歴史学の学会の中で比較的、機動的に動ける学会が動いたんですけど、日本の主だった学会が全部参加している日本歴史学協会という団体が11月19日に緊急声明を出しております。これは2枚目の所の上にあるものです。それから、その4日前に日本アーカイブズ学会というこの、公文書の専門化、文書館などの管理をやっている専門家が集まっている、やはり数百人の大きな学会があります。日本を代表する学会です。ここも意見表明という形で、より慎重論を出しております。こういうふうな形で、歴史学、こうした文書を扱う関係者の間では非常に反対が広がってきているということが経緯であります。お話ししたい3点というのはですね、第一に、今までにも文書は決して公開されていないということなんです。今公開されているものを特定秘密で保護しようというんじゃないんです。今現に公開が全然できていないという状態なんです世ね。その問題をまず言わなければいけないと思っています。古く言えば満州事変の時に、例えば関東軍の謀略で起きたということを外務省は2,3日後には公電でつかんでいるんですね。当時いた吉田茂たち、外交官の報告によって。しかしそれがまさに特定秘密でそういう名前を使いませんけれども、国家機密だからということで明らかにされなかったために長い戦争をやってしまったわけですね、日本は。そして戦後に関しても、例えばアメリカと日本との1950年代、60年代、70年代の向上も、すべてアメリカの文書を手画家k利にして研究が進む、情報が暴露されるということはご承知の通りです。実は台湾と日本との関係もそうです。渡しは中国の親善大使なので、台湾との関係については注意していますけれども、自分自身でも外交史料館に行って、1950年代、60年代の文書を調べていますけれども、本当に歯がゆい状態なんですよね。非常に公開が遅れています。これがまず、日本の現状だということを考えていただきたい。これが第一の点です。第二の点でいえば、その公開が遅れているということが国民の生命、国の将来を危なくするんですね。国益という言葉を使いたければ国益と言ってもいい。まさに国民と国の利益を損なうのが、秘密を守ってしまう、秘密を隠してしまうことだと思っています。それが第一の問題です。それから第二の点派ですね、今申し上げた事ですが、国際的に非常に立ち遅れているということなんです、日本の公文書管理が。アメリカのナショナルアーカイブズという公文書館は1000人以上の職員を抱えています。イギリスのナショナルアーカイブズもやはり700人くらいの職員を抱えています。それから、中国など、ほかの所でも数百人の職員を抱えているのは、いくらでもある。日本の国立公文書館という、すぐそこにあるところですね。竹橋にある、あそこの公文書館の職員は50人いかないはずです。桁違いなんですね。こんなに公文書の管理が遅れている国を全くいったい何をやろうとしてるんだということでですね。歴史学者や公文書関係の人値のたいへんな危機感も背景になっています。これが第二の点です。それから、第三の点ですね。この状況を変える非常に重要な手がかりがこの21世紀になって進み出した。それが情報公開法と、それから公文書管理法。二つの法律です。二つとも非常にまだ不十分な点があるということを我々は指摘しています。不十分だけれども、ようやく、そうした国民の権利を大事にする方向に手がかりの法律ができてきた訳です。その状況に慌てふためいて、逆行する動きが出てきたというのが今度の問題だというように私たちは考えています。ですから、日本アーカイブズ学会が言っているように、それは私たちの第二の緊急声明でも書いたんですが、公文書管理法という2011年の法律ですね。これに基づいて、きちんとした形で防衛秘密・外交秘密についてもこういう形で扱うという形でルールを決めて公開の体制を作っていくことが王道というか、正式の方向であって、その手がかりができているのになぜ別の法律で、とんでもない体制をつくろうとしているんだ、と。これが一番の批判点になります、以上です。

小森陽一:  文学の小森陽一と申します。文学に関わっている多くの書き手が結集している日本ペンクラブは、繰り返し、この特定機密保護法の危険性を訴え、そして何度も声明を出しています。また文学者が多く呼びかけ人となった、私は九条の会の事務局長をさせていただいていますが、九条の会の呼びかけ人は10月7日に緊急の声明を出して、この特定機密保護法の危険性が解釈懐疑に明確に結びつくものだということを指摘しました。まずやっぱり憲法の問題から言ってそこの狙いをしっかりと改めて確認する必要があると思います。すでに国家安全保障会議法NSC法は、参議院を通過してしまいました。ここは首相と、内閣官房長官と、外務大臣と防衛大臣。そのわずかな閣僚だけでですね、外交や安全保障を巡る決定をしていくということになるわけですが、当然アメリカと情報を共有した場合に、それを全部秘密にしなければならないということで、この特定国家秘密保護法という。私はこれは保護というのは、全く欺瞞(ぎまん)的な言葉だと思います。これは国家秘密隠蔽法以外の何者でもないわけで、そのことをはっきりとメディアは報道していただきたいというふうに思います。これがつくられると、つまり行政権力で、先ほど行政権力だけが特化されて、強化されていくという話がありましたが、行政権力だけで、つまり憲法に違反するとされてきたさまざまな決定をしてもそれが秘密のまま、いくっていうことですね。ですから国家安全保障会議ができて、そして秘密保護法が通ってしまえば、デウスね。閣議決定だけで、今まで海外で許されていなかった自衛隊の武力行使も決めて、それが行われて、そのまま、秘密のまますべて事後的にしか国民には知らされない。となると、私たち主権者である国民は、まさに情報が開示されて、いったい政府が行政権力や、司法権力や、立法権力が何をしようとしているのか。それが憲法に違反していないかどうかということを判断して、まさに主権者としての力を行使していくわけですね。それが一切踏みにじられるというのが今回の国家秘密保護法だと思います。ですから、国家秘密隠蔽法は主権者である国民のあり方を、まさに殺傷してしまう。国民の主権と視点を根本から奪う、そういう法律だというふうに私は判断しています。だからこそ、まさにこの、大日本帝国憲法下と治安維持法体制下において、この国の言論界というのは自発的に治安維持法に隷従していく方向で、伏せ字その他をやっていたんですね。そういう国と社会にしていいのだろうか。私は最後まで反対していきたいと思います。以上です。

佐藤学:   少し長めに時間をとって説明させていただきました。さまざまな学問分野がありますから、それぞれの立場からどのような関わりで許せない法律であるのかという見解をしていただいたということです。私の専門は教育学ですが、戦前の教育がどのように破壊されていったかという経緯を知っているものですから。この特定機密保護法案が実際に施行される状況で、まず想定されるのは集団的自衛権の行使ですよね。そうなったときに、誰もがその戦争突入への決定を行い、どう決定されたのかが秘密に特定されるようなことが許されていいかどうか。これが一番懸念されることでして、今回の衆議院のあの強制の採決の状況、世論調査等々を見ても、圧倒的に反対者の数が多いにもかかわらず、審議もほとんどなしで強行採決するという経緯そのものが、この法律の本質を表している気がいたします。きちんと国民の知る権利が守られるならば、この法律の制定自体がそのプロセスを踏むべきであって、民主主義を蹂躙する形で法律が今まさに制定されようとしていることに対して憤りと危惧を覚えずにはいられません。ほとんどの人々が「この国はいったいどうなるんだろう」という不安を抱いている。それが率直な市民が抱いている恐怖です。その恐れを誘発している法案であるところにも、この法案の本質があると理解しています。それでは、あと残された時間、24分少々ですが、順次ご質問等々いただければと思います。

東京新聞:  東京新聞の***と申しますが、(不明瞭00:37:10-00:37:15)この秘密保護法案の(不明瞭00:37:17)が、経緯があって、呼びかけがあってという。もうちょっと詳しく、いつ頃、どういう集まりがあって、これができたという。

佐藤学:    だいたいいつだっけ。4日か5日くらい間です。1週間たってない。急遽この30人。たぶん1週間、ほぼ1週間。

東京新聞:  かなり分野も幅広く集まってという形ですが、これはどういう関係で。

佐藤学:    呼びかけ人。私もその一人だったんですけれども、最初4,5人で協議されまして。具体的な名前を申し上げていいと思うんですけれども、発起人として、総合研究大学院の池内先生。現在事務局をお願いしている千葉大学の小沢先生、それから聖学院大学の姜先生、法政大学の杉田先生、東京大学の高橋哲哉先生、それから廣渡先生、そして私の6人がそれぞれ呼びかけ人という形で、それぞれどういう方に呼びかけようと相談し合いながら、呼びかけていった次第です。呼びかけたほとんどの方に積極的に賛同していただいたというのがこのリストでして、ご覧いただけばわかりますように、ノーベル賞の受賞者の益川先生、白川先生をはじめ、自然科学系の方々にも参加していただいています。このようにさまざまな領域の方々に、賛同いただいたと言うことです。先ほど申し上げ増したように、この段階のこの発表で終えようと思っていたんですけれども、さらに皆さんの要望が強いので第二次発表まで存続をしていきたいと思います。

***:    先ほど、戦前の教育がどう破壊されていったかという視点の対策として、というお話でしたけれども、戦前の教育の破壊のされ方と今回の経緯で重なるところ、あるいは違うところを。

佐藤学:    戦前の教育の破壊とは、教育によって破壊されたと言うよりも軍国主義体制がつくられる事によって、多大な破壊を教育が被ったということです。戦争への突き進む過程で情報や言論が統制され、教師の側から見ると、知らない間にどんどん全体主義化が進んでいた。戦争に突入した時も、教師には訳が分からない状態で突入していったというのが実態だと思うんです。我々が戦後に教訓として得たことは、いち早く異常な動きに対してきちんと声を上げていく。あるいは戦争を二度と起こさないという社会や国家の仕組みを作っていく事だったし、それが戦後の民主主義教育の出発点だった。だから現在の憲法改正の動きに対して私,教育関係者は、ほとんどの人々が、いったいこの国はどうなるのかと危惧している。昨日も横浜で教師達200名との研究会がありましたけど、みんな講演後に私のところに押し寄せてきて、講演内容とは関係がないのですが、「この国はどうなるんでしょう」と、その不安を訴えていました。

***:    ここに示されている発想ですが、政府が何でもできるんだっていうことですよね。政府が何でもできるんだっていうか、政府がなんでもしなければいけないっていうか。安倍さんが私の政府っていうのか、私の政府。私の政府よりも国民の政府でしょうっていうんだけど。なんて言うかなぁ。こう、とにかく政府が国民のためにやるんですから、政府に全部お任せくださいっていう話になっているんです。ですから教科書も、教育基本法の前編を支持にして(表記00:43:33)、チェックしますよ。教育委員会も、教育委員会から政府にしますよというふうに、委譲しますよと、みんな同じ発想だと思うんです。その発想自体が根本的に日本国憲法の民主主義の理念と相反しているということをなぜ、国会議員がわからないのか。これはおかしいですよ。国会は見せてもらうんですよ、特定秘密は。裁判所も、見せてもらうって書いてあるんです。見せてあげるって書いてある。実際に訴訟になったときに、特定秘密漏洩罪で訴訟になったときに、どういう秘密が漏洩されたんですかっていうことを裁判所でちゃんと審議できる華道家っていう。昨日も元最高裁の人がその辺を危惧していましたけどね。そうなんじゃないかと。根本的にあそこの所は問題です。それはすべての、安倍政権がやろうとしているすべての課題に、関わる。みんな心配しています。

***:    それだけ先生方がそれを、しかも呼びかけからわずか一週間で集まって発足に至ったというのは、それだけ意識の表れということだと思うんですが、安保改定以来という話もありましたけれども、戦後史においての位置づけ、特定機密法案の危険性というか、認識に対する危険性というのは、先生方がそれだけ、インパクトでありここ数十年で見ても、かなり重要、というふうに考えてよろしいですか。

***:    問題の性格から見て、安保以来だと思いますし、それから戦後の憲法体制といいますかね。憲法の民主主義の現状からいっても、特に国民の知る権利ですね。基本的人権の問題。それから平和主義の問題から考えてもこれ以上ないくらいの重要な案件だと思います。

杉田敦:    先ほどもですね、こちらの先生から、現在でも秘密が全く公開されていない秘密というか、情報が公開されていないとのお話がありましたけれども、今回、国会での審議の過程でも、あるいはその場の議論の中でも、西山事件の問題が議論されていまして、西山事件の判決において、正当な行為、取材行為とか正当行為であれば、処罰されない、と。西山さんの場合には、正当でなかったから処罰されるというのが裁判所の判決理由だった訳ですが、その正当行為であれば処罰されないという部分を、森大臣等執行部で引用して、だから大丈夫なんですというそちらの方向で西山事件を引用されている訳なんですが、しかし西山事件に関してすでに民主党政権時に、一定の歴史家等による検証がされて、またアメリカ等のまさに公開資料から、日米に密約があったことはほぼ明らかなんですが、にもかかわらず現在の自民党政府、自民党等は依然として認めていないわけです。彼らのかつて政府がかつて密約をやったという事を依然として認めていない。ここまで外国の資料等からも判明している事実であっても認めないような人々がですね。さらを秘密を強化するような、法制度を作っていくことに対して人々が機具を持っているのは当たり前の事ですね。まずはこれまでの、従来のいわゆる密約であるとかに関して、きちんとした検証を自分たちがやってですね。国家機密に関わるような問題にも、一定の時間がたてば当然公開するんだという風なことを担保した上で、こういう問題に手をつけるということでなければ、当然信頼を得られないことがあると思います。

***:    やはり転換点にあるというのは、自民党が改憲をして、皆さんご覧になったと思いますけれども、我々法律家から見るとジョークではありませんけれどね。現日本国憲法と自民党の改憲案を英文に翻訳してアメリカの学生に見せ手ね、今日本で新しい憲法を作ろうとしているんだけれど、どっちの憲法が新しい憲法っていったら、日本国憲法。これはジョークじゃないんですよね。まさに反動的な憲法案になっていると思いますけれども、今回のやつは3点セットでしょう。NSAつまり、日本版の保障会議をつくった。これで完全に機密のデータは管理しますよ。そのための管理のシステムをここで作りますよ。その先は集団的自衛権を憲法改正、これを変更して。これが問題なんですよ。憲法改正を変更してって言うことは、これまで日本の政治家は曲がりなりにも日本国憲法の下で、そのコントロールが利いていたんですけれども、そのコントロールをは外すということです。さっきいったように自衛隊法で隊員が職務に違反した。つまり普通の軍隊でいえば、敵前逃走したときでも7年ですよ。それを今度は10年。これはね、軍隊を特別扱いにする。そういう国家にするといいという考えがにじみ出ている。それが私には転換だと思います。安倍さんは転換を目指して第一次安倍政権を組織したでしょう。戦後レジデンス、あるいは日本国憲法のシステムとして明らかにするだからみんな心配している。日本国憲法の下で戦後66年みんなやってきたわけでしょう。どういうふうに問題があるかっていわない。問題がある勝っていうんじゃなくて、こういう日本国憲法のあり方ではいけないと思うって。イデオロギーですよ。どこに日本社会が困った問題を抱えているんですか。こういう法律ができないことによって、それを説明できない。あとは何が残っているかというと、核武装と序令性だけだと思うんですよね。たぶんこの二つを国家秘密保護法で隠したいんでしょうね。その意思決定をやっていくんでしょうね。そのことがあとで検証できないように。つまり行政府がこういう文章を破棄してしまう。だからこれが何年たっても歴史的な検証になっていかない。だからむしろ文書の公開の方を法制化していくということがさき。そういう中で行政府が文書を破棄するということに対して罰則規定を設けることが先だと思うんですよね。

山口テレビ: この法案の狙いは国民の言論というか、自らいわなくする。それが目的だからむしろその言わなきゃいけないんだという意見があったのですが、学者の皆さんとしては、阻止するんですが、そういう長い目で見て国民の運動に対してどういうアドバイスというか、どういう力点というか、何かあったら教えていただきたいと思います。

内田樹
思想家、武道家、翻訳家。著書はいずれもベストセラーに。

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