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「道徳」教育―教科化にこだわるな

教科だ、評価だと形にこだわらず、中身の議論を深めたい。文部科学省の懇談会が、道徳教育充実の提言案をまとめた。社会参加の意識を高める「シチズンシップ[記事全文]

イラン核合意―和解の芽を育てよう

中東の地域大国であるイランの高官が米欧と握手した。イラン革命から35年。「大悪魔」「悪の枢軸」とののしりあった米国と笑みを交わした。世界が固唾(か[記事全文]

「道徳」教育―教科化にこだわるな

 教科だ、評価だと形にこだわらず、中身の議論を深めたい。

 文部科学省の懇談会が、道徳教育充実の提言案をまとめた。

 社会参加の意識を高める「シチズンシップ教育」や、多角的・批判的な思考力をつける討論型の授業を重視する。

 生命倫理や環境問題など、実社会で価値観がぶつかり合っているテーマの素材を活用する。

 ここに示された教育内容や教え方は、「道徳」という言葉が連想させる修身や徳育よりも、「市民科」や「よのなか科」のイメージに近い。

 礼儀や規範意識といったものは当然もりこまれている。が、既成の価値観を教え込むより、「自分の頭で考え、他者と協働する」自立した市民を育てることに力点がある。そうみえる。

 大切なのは、社会に出て役立つ科目にすることだ。この方針をしっかり形にすべきだ。

 一方で、なぜ教科にして成績をつけなくてはならないのか、そこの説明は腑(ふ)に落ちない。

 今の「道徳の時間」は正式な教科ではない。教科書も成績もない。教科書がないから検定もない。教材には文科省の作った「心のノート」や民間で出版した副読本が使われている。

 道徳の授業は軽くみられ、往々にして他教科に振り替えられる。そういうことのないよう教科にしたいというが、それは運用で改善できる話である。

 成績評価には「心に点をつけるのか」と世論の抵抗が強い。「数値評価は不適切」と明記したのはうなずける。一方で先生のコメントによる評価を提案しているが、これも難題だ。

 ひとと違う視点を示した。議論をうまく整理した。そんな観点の評価ができればいいが、先生の好き嫌いや固定観念で判断されてはたまらない。「森を守るより工場を造って雇用を増やそう」と言ったらペケがつく。まさかそんな価値観の押しつけは誰も望むまい。

 はたして、内面ではなく議論への貢献度を測る物差しを作れるか。慎重に詰めてほしい。

 教材には検定教科書の導入が示された。心のノートは国定教科書のようなものだ。「出版社ごとの創意工夫で教科書を作る方が、多様な価値観を反映できる」というのはその通りだ。

 ただ、検定には成績評価と同様の危うさがある。事実関係の校正にとどまるうちはいいが、検定基準に価値観を持ち込まれたら、「この随筆で愛国心が育つのか」と突き返されるようなことも起きかねない。

 検定によって価値観の多様さが損なわれては元も子もない。

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イラン核合意―和解の芽を育てよう

 中東の地域大国であるイランの高官が米欧と握手した。

 イラン革命から35年。「大悪魔」「悪の枢軸」とののしりあった米国と笑みを交わした。

 世界が固唾(かたず)をのんできた核問題が5年間の交渉の末、初めて合意にこぎついた。

 この国が核兵器をもてば、宿敵イスラエルは黙っていない。それでなくとも不安定な中東が一気に核の火薬庫と化す。

 そんな重大な危機をなんとか避けたい。国連安保理の常任理事国5カ国とドイツによる粘り強い説得が実を結んだ。

 この合意は「第1段階」にすぎない。今後1年をかけて包括合意の可能性をさぐる。

 楽観はできない。だが、この貴重な機運をのがしてはなるまい。中東の安定化と、「核なき世界」のために、和解の芽を大切に育てねばならない。

 イランには、天然ガスは世界1位、原油は4位の推定埋蔵量がある。本来であれば国の収入には困らない資源大国だ。

 だが革命以降、イスラム教シーア派が支配する特異な体制を敷き、この10年は核疑惑で孤立を深めた。安保理から再三制裁を科せられ、経済は細った。

 この合意で制裁は少し緩められる。代わりにイランは、核兵器にもつながる濃縮ウランを減らし、査察も一部受け入れる。

 だが、問題の核心は決着していない。ウランの低レベルの濃縮など原子力の民生利用の権利をイランに認めるかどうか。

 原子力は国際ルールの原則では、どの国にも利用の権利がある。北朝鮮問題などにも共通する世界の悩みがそこにある。簡単には解決しそうにない。

 イスラエルは力ずくでも一切の核を許さない構えだが、核技術は空爆では根絶できない。

 いまのイラン問題は、イスラエルとの対立の構図だけでとらえることもできない。

 隣国シリアのアサド政権の後ろ盾はイランである。ここでの内戦は、反体制派を支えるサウジアラビアなどイスラム教スンニ派諸国とイランとの代理戦争の様相も呈している。

 イラクやレバノンのシーア派勢力にも影響力をもつイランを抜きに中東和平は語れない。

 逆に核問題がこじれれば、サウジやトルコなども核武装に走りかねない。それは中東と世界にとっての悪夢となる。

 エネルギー事情に苦しむ日本にとっても深刻な問題だ。輸入原油の8割が、イランが面するホルムズ海峡を通ってくる。

 力で封じこめるのではなく、国際社会は一歩ずつ、イランとの不信の鎖を解くほかない。

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