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08年5月9日付「聖教新聞」より
池田名誉会長 本当に懐かしいです。じつは私は「桂冠詩人」であり、「世界桂冠詩人」の賞もいただいています。詩人にとって詩を贈ることは、最大の栄誉を贈ることなのです。拙い詩ではありますが、真心を込めて、一詩を謹んで贈らせていただきたい。 ――ここで「詩」が手渡され、中国語で詠み上げられた。 「国は富み、邦と和し/日々、新たなり/家々は充裕にして/感恩深し/仁政を主施して/王道を行う/席の暖まる暇なきは/人民の為なり /古来/文化は漢土に求め/月氏の叡智に/福を共にはかりたり/錦繡なる中華の/旧友を迎えて/濤声の友好は/万代に流る」 朗読する声に耳を傾け、時折、うなずきながら、手渡された漢詩にじっと目を落とす胡主席。最後の一節が読まれると、胡主席は、やや紅潮した顔を上げて、笑顔で感謝の拍手を。日中の同席者からも、大きな拍手が沸き起こった。漢詩の意味は、「中国は富裕と調和に向かって、日々前進し、人民の生活も豊かになり、深く恩を感ずる。指導者は、仁政を施し、王道を実践している。席の暖まる暇もないのは、人民の為に奔走するゆえである。いにしえより、日本は中国から文化を求め学び、月氏の英知(仏法)をもって、共に幸福をはかってきた。今、素晴らしき中国の旧友を迎え、友好は、波濤の轟音と共に、万代へ流れゆくであろう」となる。漢詩の行頭の文字を並べると、「国家主席胡錦濤」となっている。 名誉会長 貴国は、日本の文化の師匠の国です。漢詩も貴国から学んできた文化です。主席への最大の尊敬を込めて、贈らせていただきました。 胡主席 大変に、ありがとうございます。 ――会見の前、胡主席は、早稲田大学で記念講演を行った。名誉会長は、「きょうもまた、有意義な青年との交流を刻まれました。早稲田大学での講演も、日本にとって重要な歴史となりました」と主席の労をねぎらった。そして、講演の中で主席が「人間を一番、大事にし、調和を促進する」という根本の哲学を語ったことに言及。さらに、講演での「青年時代に蒔いた友好の種は永遠である」との真情は、若い世代の心に深く刻まれたと思うと述べ、「世界の舞台の主役は各国の人民である。中日両国の人民が、手を携え、肩を並べて、世界のより美しい未来を共に創り上げよう」との呼びかけに、深い賛同を寄せた。 名誉会長 思えば、両国の青年交流の扉を、真っ先に大きく、勢いよく開かれたのは胡主席でした。23年前、42歳の時に来日された、若き主席の英姿は、私たちの頭からも、胸からも、永遠に離れません。 主席 この度の日本訪問に際して、また池田大作先生と再会するチャンスを得られたことを、大変にうれしく思っております。1985年に私は初めて先生とお目にかかり、それ以来、もう23年がたってしまいました。前回の98年の再会からも、10年の歳月がたちました。先生は、もう80歳――傘寿の年であるとうかがっています。しかし、非常にご壮健で、私は大変うれしく思っております。 名誉会長 ありがとうございます。 主席 先生は長期にわたり、中日友好にご尽力なされました。私の覚えているところでは、早くも1968年に、先生は率先して、中日国交正常化を一日も早く実現しようと、提唱されました。そして数年前、中日関係が困難な状況にある中で、先生は歴史的な高みに立って、友好関係の政治的な難局を打開するために、素晴らしい、重要な役割を果たしてくださいました。私は、先生の政治的な遠見、そして博識と勇気に対して、心からの敬意を表します。 名誉会長 恐縮です。 主席 池田先生のご指導のもとにある創価学会は、長年にわたって、中日友好を促進する重要な存在であり、両国の青年・文化交流などを促進するために重要な貢献をされてきました。私たちは、これを高く評価いたします。 ――創価学会青年部は中国最大の青年団体である中華全国青年連合会(全青連)と、交流を活発に進めてきた。両者の交流は、1984年、名誉会長の第6次訪中での提案が契機。翌85年には、中国青年代表団の胡錦濤団長(当時、全青連主席)が来日し、聖教新聞本社で創価学会青年部と交流議定書が交わされた。その際、胡団長は名誉会長に「創価学会青年部とともに、『中日の美しい未来』のために努力していきたいのです」と述べている。以来、互いの招聘で創価学会青年部は11回の訪中団を派遣。15回にわたり中国青年の代表団を受け入れている。また創価大学で学んだ全青連派遣の留学生は20人。交流の第一線で活躍する青年を数多く輩出してきた。また、これまで池田名誉会長が創立した民主音楽協会(民音)や東京・静岡の富士美術館などが、両国の文化交流を力強く推進している。 名誉会長 胡主席は、青年たちに呼びかけておられます。「青春の力で、世代を超えた友好を!」と。本当に永遠不滅の言葉です。深い意義と哲学のある言葉です。私たちは一段と、貴国との友好を深めていかねばならない。そう決意をしております。 ――次いで胡主席は、今回の訪日の目的であり、7日に福田首相と交わした「日中共同声明」でも謳われた、日中の「戦略的互恵関係の包括的推進」について、改めて意欲を語った。「中日両国は、地理的に隣同士であり、経済的にも相互に補完する関係にあります。文化面においても相通じる国です。そして両国は、アジアと世界における重要な国です。中日の戦略的互恵関係を発展させることは、両国と両国国民の根本的利益に関わります。そして、アジアと世界の平和と安定、繁栄のためにもなります。昨日(7日)の福田総理との共同記者会見の際も記者の質問にお答えしましたが、歴史的な角度から見ても、現実的な角度から見ても、中日両国は平和共存、世代友好、互恵協力、共同発展を目指して、ともにアジアの人民のために有意義な貢献をすべきである。そして、必ずそうなることができる。私はこう確信しています」。名誉会長は、こうした胡主席の発言に全面的に賛同。さらに、中国が政治的にも経済的にも、世界をリードする「大国」となった状況に鑑みつつ、胡主席が提唱する「調和世界(和諧世界)」の理念に言及した。 名誉会長 主席は3年前、国連で、人類が共に繁栄しゆく「調和世界」の理念を高らかに提唱されました。歴史的な講演です。30数年前、私は、歴史学者のトインビー博士と、強く深く、語り合いました。中国に脈打つ「調和」の智慧を、世界に浸透させていくことが重要である――と。21世紀の地球に、「調和」というビジョンを主席が打ち出された意義は、あまりにも大きい。私の友人であるキッシンジャー博士も、胡主席のリーダーシップと見識を高く評価しておられました。この「調和世界」こそ、これからの人類が歩むべき王道であるというのが、多くの心ある識者の声なのです。 主席 確かに中国は「改革・開放」以来、世界の注目を集めるような、発展の業績を成し遂げました。しかし中国は依然として、世界で最も人口の多い、発展途上国です。多くの問題や困難に直面しております。中国が近代化を実現するには、まだまだ長い道のりがある。この点に関して、私ははっきりとした認識を持っております。中国は平和的発展の道を堅持し、互恵と“皆が勝者となる”関係を堅持していかなければなりません。私たちは、世界各国の皆さんとともに、恒久的平和と、共に繁栄する調和のとれた世界の構築を推進していきたい。池田先生と、先生のご指導のもとにある創価学会は、平和の理念を提唱し、その理念を貫いてこられました。私たちは、そうした日本の皆さんと支え合いながら、ともに平和と発展の道を歩んでまいりたいと思います。 名誉会長 お言葉に感動いたしました。貴国の姿勢によって、日本の未来も、世界の未来も変わる――既にそういう時代に入っています。貴国との友好以外に、日本が反映する道はありません。その意味で、今のご発言に、多くの日本人は心を熱くすることでしょう。 主席 池田先生が、とても情熱にあふれた、懐の深い漢詩をつくってくださり感謝しています。本当に恐縮しています。 名誉会長 喜んでいただき、こちらこそ光栄です。 ――ここで名誉会長は半世紀前に中国でのオリンピック開催を展望していた周恩来総理の理念に触れ、“友情は力を生む”“平和友好の正義の事業は断じて壊されない”との周総理の言葉に言及。「『平和の祭典』北京オリンピックの大成功を、周総理の心を心として、私たちは真剣に祈ります」と語った。胡主席は、開催まであと3カ月に迫った北京オリンピックの諸準備が着々と進んでいる模様を紹介。「先ほど池田先生から北京オリンピックを支持する日本国民の気持ちを伝えていただきました。ありがとうございます。日本の多くの皆さんが北京を訪問されることを歓迎するとともに、日本の選手の皆さんが大いに健闘なさることを祈ります」と述べた。また、胡主席は、「あらためて、池田先生がご都合のよいときに訪中されることを、心からお願い申し上げます」と、名誉会長の再びの訪中を希望した。 名誉会長 本日はお忙しいところ、ありがとうございました。世界一の通訳も、ありがとうございました(主席側の通訳を務めた張梅さんは、全青連からの派遣で創価大学に留学していた)。主席、いつまでもいつまでも、世界平和のために、ご活躍を祈っています。 主席 私は、池田先生とともに努力していきます。 名誉会長 主席は、大事な大事な、世界平和の柱です。どうか、お元気で! *胡主席は、公明党の太田昭宏代表とも会談した。 |
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