【土舘聡一】絵本「ぞうれっしゃがやってきた」の舞台となった名古屋市千種区の東山動物園のアジアゾウ舎が、取り壊されることになった。戦争中に銃殺を免れたゾウを見て、大勢の子どもたちが目を輝かせた時代もあったが、新施設が完成し、76年の歴史に幕を閉じる。12月1日まで、ゾウ舎を見学できる。

 旧アジアゾウ舎は1937(昭和12)年に完成。その後増築され、敷地面積は410平方メートル、運動場の面積は350平方メートルある。

 第2次世界大戦下、空襲で猛獣が逃げ出すのを恐れた国は全国の動物園に猛獣の銃殺を命じたが、東山動物園は「ゾウはおとなしい動物だ」と主張。エサを確保してマカニーとエルドのメス2頭を守り抜いた。戦後、日本で生き残ったのはこの2頭だけだった。