防空識別圏:日本、米対応に困惑 提出容認、確認急ぐ
毎日新聞 2013年12月01日 01時00分(最終更新 12月01日 01時19分)
米政府が11月29日、中国が東シナ海に設定した防空識別圏を通過する米民間機に飛行計画書の提出を求める考えを示したことについて、太田昭宏国土交通相は30日、日本政府の対応に関し「これまでと変わらない」と述べ、日本の航空会社に中国当局に飛行計画書を提出しないよう引き続き求める方針を示した。一方、米政府の発表は日本政府には「寝耳に水」で、米政府の対応に困惑の声も上がっている。
太田氏は、視察先の秋田県大館市で記者団に日本政府の対応について説明。「各国と協調態勢を取っていきたい」と強調した。
11月23日、中国が東シナ海に設定したと発表した防空識別圏には沖縄県・尖閣諸島が組み込まれており、日米両政府は連携して中国に撤回を迫る方針を確認。中国が求める民間機の飛行計画書の提出にも応じない方向で一致していた。
このため日本政府には、米政府の発表に「まったく聞いていなかった」(首相官邸関係者)と戸惑いが広がり、外交ルートでの確認に追われた。外務省幹部は「米連邦航空局が中国の要求に従うよう航空会社に指示した事実はなかった」と説明するが、政府関係者の一人は不満をあらわにした。「米政府の発表は、どう解釈しても飛行計画書の提出を航空会社に勧める内容だ。日本は、はしごを外されたようなものだ」
2日に来日するバイデン米副大統領と安倍晋三首相との会談ではこの問題も議題になる見通しで、結束して強いメッセージを出せるかどうかが問われることになる。【吉永康朗、青木純】