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羽毛布団の基礎知識
ライター:yamaneko3650327さん(最終更新日時:6日前)投稿日:2012/10/29 アドバイス受付中!
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よって「羽毛布団」と「羽根布団」は違うものなのですが、ここでは羽毛布団についてのみ取り上げます。
羽毛を採取する水鳥にはグース(ガチョウ)とダック(アヒル)の2種類があって、一般にグースダウン(ガチョウから採った羽毛)のほうが高級品とされます。
というのは、グースのほうがダックより大きい鳥なので、羽毛もより大きくて柔らかい、保温力の高いものが採れるからです。
ヒント
- ※最高級品になると、アイダーダックという野生のカモの羽毛が使われたりもします。
ただし、羽毛の保温力で最も重要なのはダウンボールの大きさです。
羽毛を成熟させるために長期間育成された、いわゆるマザーグースの羽毛は、上にあるようにダウンボールが大きくて高品質なのですが、成熟し切っていないグースの羽毛は弾力性が乏しく保温力も落ちてしまいます。
よって、ダウンボールの小さなグースよりも、ダウンボールの大きいダッグダウンのほうが暖かくて膨らみのある羽毛布団になるのです。
このダウンボールの大きさを数値であらわしたのが、ダウンパワーと呼ばれるもの。
簡単に言うと、羽毛の膨らみを1グラムあたりの体積で示したのがダウンパワーです。
(従来のかさ高表示は平成24年3月31日で終了し、4月1日から評価基準がダウンパワーに改められました)
具体的には、ダウンパワーが350以上なら合格。
高級品は400以上ありますけど(最高値460cm3/g)、寝室の室温や使う季節との兼ね合いも考えて、たとえば3シーズン使うならほどほどのものにしておいて「真冬は何かもう1枚かける」ようにしたほうがいいです。
また、ダウンパワーが低い製品は羽毛自体の保温力が低いため、充填量を増やす傾向があります。
ですから、グースだからいいものだとか、羽毛がたくさん使われているからいい製品だと思い込むことなく、ダウンパワーに着目して、350未満の製品やそもそも表記のない製品はやめておいたほうがよろしいでしょう。
ヒント
- ※布団に詰められる羽毛には適正量があって、保温力が高い羽毛なら、日本の極端に寒くならない地域で使う場合シングルサイズで1.2~1.3kgも入っていれば充分です。
そもそも、軽くて温かいことが羽毛布団の利点ですしね。
ダウンボールの大きさでいうと、中国産のダックダウンを使った製品もやめたほうがいいです。
というのは、これは食用北京ダックから副産物として採取されることが多く、食用北京ダックは肉質が柔らかい若いうちに絞められるためです。
そして、
成熟し切っていない=ダウンボールが小さい=膨らみが乏しく保温力も低い
というのは先に書いたとおり。
また、食用北京ダックはブロイラーと同じ飼育方法を採るため、排泄物が羽につきますし厩舎の匂いも染みついてしまいます。
さらに、絞めてから機械で羽毛を採取するので血や肉片がつき、それらを薬品で洗浄する際、安全性に問題のない薬品では落としきれないことが多々あります。
よって、不快な臭いがしたりアレルギー反応が出る羽毛布団は、中国産の羽毛を使ったのものと思って間違いありません。
北欧産の、自然の生態に近い放し飼いの水鳥から毛が抜け替わる時期に手で採取された羽毛は、臭ったりなどしないのです(鳥の羽には水をはじくための油脂がついていますが、洗浄で落とせます)。
冬毛が抜け替わる時期に採取するので、容易に摘むことができます。
犬や猫も毛が生え替わりますよね。それと同じです。
もし力任せに羽毛や羽根をむしり取ったら、鳥は血だらけになってしまいます。
ヒント
- ※羽毛布団の通販サイトに「どうしても多少の臭いは残ります」などと書かれていることがありますけど、開き直りもいいところ。粗悪品で臭いを落としきれないか、もしくはコストダウンのために洗浄工程を省いているだけです。
- “安い”というのもメリットのひとつではありますが、いい羽毛布団を手に入れたいなら「臭いはまったくありません」と自信を持って言う店で購入しましょう。
ところが、中国産の羽毛をいったん北欧に輸出してから日本に持ち込むと、ノルウエー産やポーランド産などと表記できるので話は複雑です。
実際、北欧のある羽毛生産国から、その国で採取される羽毛量の約5倍が日本に輸出されている(同時に中国からその国に羽毛が輸出されている)という笑えない話しがあります。
これは、最高級とされるアイダーダウンを使った布団は世界中で年間に4千枚くらいしか生産できないのに、日本だけでなぜか年間2万枚くらいが売られていることとよく似ています。
専門家が直に羽毛を見ない限りこうしたインチキを見破ることは困難なので、結局、羽毛布団は信頼できるメーカーの製品を買わなくてはいけないということになります。
お値段も、シングルサイズで10万円以下だったら「何か安い理由がある」と思って間違いありません(最初から中国産ダックダウンと言っているならその通りなんですが)。
さて、一口に羽毛布団といっても、フェザー(羽根)が混ぜられていることがほとんどです。
このフェザーは、かさ高を出して(=ふっくらさせて)保温力を高めるために混ぜられるものなので、割合が10%以下なら問題ありません。
ただし、スモールフェザーならいいんですけど、大きい羽根だと芯が硬いので「身体にあたる」とか「側生地に穴を開けてしまう」可能性があります。
特にグースの羽根は芯が硬くしっかりしていて、バドミントンのシャトルに使われるほどなので、安物の(=ダウンパワーが低い)ホワイトグースダウン90%:フェザー10%みたいな布団はいいことがひとつもありません。
自社製品に自信を持っているメーカーの羽毛布団であれば、
○○産ホワイトマザーグースダウン90%:スモールフェザー10%
といったふうに書かれているものです。
ヒント
- ※羽毛の割合は、業界基準でプラスマイナス5%までの誤差が認められています。
- つまり、羽毛90%と書かれている製品が実は86%でも不当表示にはならないということです。
- よって、安い製品で羽毛の割合が90%か93%かといったことを気にしても、あまり意味がありません。
続いて側生地ですが、安い製品は太い糸を使っているため、厚みがあってゴワゴワガサガサします。よく、通販サイトの安い羽毛布団のレビューに「音がしてうるさい」と書かれているのは、そのためなんですね。
ある程度から上になると細い糸を使うので、柔らかくしなやかでドレープ性(フィット感)が高くなり、さらに側生地の重さも減るため羽毛がふっくらして蒸れにくく温かい布団になります。
安物の側生地は40番手平織り、40/50番手ツイル織りなど。
中級品は60~80番手の朱子織(サテン)。
高級品になると100番手~350番手双糸(双糸とは単糸を撚り合わせたもので350番手双糸は175番手単糸と同等)の朱子織が使われます。
あまり知られていないことですが、たとえば原価10万円の羽毛布団があったとすると、そのうち羽毛の値段は5万円、側生地4万円、製造にかかる費用1万円というのが普通です。
10万円のうち8~9万円が羽毛の値段だと思っていませんでしたか?
長く使っても破れたり羽毛が飛び出してきたりせず、ダウンプルーフ加工を施しても肌触りがよくて音もしない側生地は、そのくらいの値段がするものなのです。
ヒント
- ※高密度織りでもダウンは出てきてしまうので、生地にローラーで圧力と熱をかけて織り目を潰すのがダウンプルーフ加工。
- なお、ダウンプルーフ加工された側生地に穴が開いたりしたら、必ず貼り布で修理しましょう。縫い針を使うと中からダウンが出てきてどうにもならなくなってしまいます。
また、羽毛布団の即生地は立体キルトになっていることがほとんどです。
布団を複数のマスに仕切って、そこへ羽毛を入れることにより片寄りを防ぐのですが、表生地と裏生地を直に縫い合わせる(=たたきキルト)とそこから熱が逃げてしまうので、マチを取って厚みをキープするのですね。
するとマスごとに大きく膨らんで見えるので、かさ高があって暖かそうだと思ってしまったりします。
ですがそれだと、キルティングされた部分が薄くなって布団全体の保温力が落ちてしまい、ドレープ性(体へのフィット感)も悪くなります。
なので、さも羽毛がたくさん入っているように見える、極端に凸凹感が強い布団は買うべきではありません。そんなのはただの見かけ倒しです。
いい羽毛布団はマチ幅が7cm以上あって、フワッと広げた状態であまり凸凹して見えないものです。
いろいろ書きましたけど、
・水鳥の種類
・水鳥の飼育地(羽毛の産地)
・羽毛の充填量とダウンパワー
・羽毛の割合
・フェザーの羽芯が気になるか
・側生地に使われている糸の種類と番手(太さ)
・立体キルトのマチ幅
あたりがチェックポイントです。
羽毛の産地証明書もあったほうがいいですね。
自信を持っていい羽毛布団を製造販売しているところなら、こうしたことを尋ねたらよろこんで教えてくれることでしょう。商品の「良さ」を説明できるのはうれしいことですから。
もしうるさそうな顔をされたら、細かく訊かれたくないということです。
しかし、かなりいい値段がする上に毎日使う寝具を、おざなりな説明だけで買うわけにはいきませんよね。
つまるところ、
信頼できるお店で、少なくとも10万円以上する製品を買う
ことが、いい羽毛布団を手に入れる最善の方法だということがおわかりいただけたでしょうか。
値段が高ければ必ずいい製品というわけではないものの、安物にいい製品がないことは確かです。
買う買わないはともかく、一度ちゃんとした寝具屋かデパートで高額な羽毛布団を直に見て触ってみると、いい羽毛布団がどういうものかわかることでしょう。
通販サイトには、たかだか3~5万円の製品を「高級羽毛布団」と紹介して憚らない店がたくさんありますけど、そんなのは私に言わせればどうかしています。
高級と言うからにはホワイトマザーグースダウンくらい使うべきですし、ホワイトマザーグースダウンを使って10万円以下の羽毛布団など見たことがありません。
食肉用の家禽と違い、羽毛を採取するためだけに飼われているので、そのぶん羽毛のお値段が高くなります。
また、高級品は羽毛を傷めないよう圧縮せずに送るので、輸送コストも跳ね上がります。
ヒント
- ※日本羽毛製品協同組合が、2011年9月1日から2012年3月15日まで6ヶ月半にわたり「羽毛布団の試買テスト」を実施しました。
羽毛布団52点を購入し、品質表示の組成混合率とかさ高について公的検査機関で検査をした結果、18点(単純計算で3枚に1枚)が違反をしていたと発表しています。
最後に、羽毛布団の手入れについて。
羽毛布団を干してもいいのか、という質問が知恵袋にもあります。
そこでまず、なぜ布団を干すのかですが、これは木綿わたの放湿性が低いことによります(木綿は汗を吸うけれど放湿が苦手)。
放湿性が低いと湿気がこもるので、木綿わたを使った布団は定期的に干して乾かさないと快適さを保てないのです。
一方、軽さと温かさ、そして放湿性の高さが羽毛布団の利点ですので、わざわざ干して湿気を飛ばす必要はありません。
羊毛(ウール)やキャメル綿も放湿性が高いのでそんなに干さなくても大丈夫なんですけど、布団干しは一種の生活文化として日本に根付いているようですね。
ですから「そうは言ってもたまには干したほうがいいのでは」という意見を否定するつもりはありません。ただ、羽毛布団は陽にあてず風通しのいい場所で陰干しするべきということは覚えておいてください。
また、羽毛は洗浄と消毒・殺菌をしてからダウンプルーフ加工された(=織り目を潰した)側生地に充填されるので、側生地に穴でも開かないかぎり中にダニなどが発生することはありません。
先に書いたように、嫌な臭いがしたりアレルギー反応が出るのは粗悪な中国産ダックダウンを使った布団だけ。
羽毛布団からはホコリも発生しませんし、いい製品であれば基本的にメンテナンスフリーと考えて大丈夫です。
せいぜい、
・押入れにしまうときは体温が取れてから
・シーズンオフにしまうときは数時間広げたまま放置し、キルトの縫い目にゴミがあったら取り除いて、通気性のある布団袋に入れる
といった程度でOKです。
【追記】
諸外国は、羽毛布団が日本よりも安いです。
たとえばこちら。
アメリカの会社なんですけど、いちばん高いキングサイズでも$399.99(約4万円)。
ここに掲載されているうち、右上の布団は側生地が 300 Thread Count 100% cotton なのでまあ普及品といったところ。
右下の製品の側生地は 500 Thread Count, 100% Egyptian cotton ということで肌触りがよさそうです。
続いて、ポーランド最大手の羽毛商社アニメックス社のサイト。
1枚688~1230ズロチ(ポーランドの通貨単位)ですから、日本円に換算すると2万1千円~3万8千円と激安。
こんなところからも、国民一人当たりの名目GDPや平均年収が庶民の暮らしの豊かさとイコールでないことがわかります。
話は飛びますけど、プラスチックやシリコン製のスマートフォンカバーが千円以上(モノによっては数千円)で売られている国なんか、世界中探しても日本だけですよ。
(米amazonでiPhoneのケースを検索してみた)
あと、紹介した2つのサイトに限らず海外サイトで羽毛布団を見ると、日本製のようにモコモコしたものは意外なほど少ないことに気がつきます。
そんなところから、布団文化が垣間見えて興味深いですね。
布団干しのところでも述べましたけど、われわれ日本人はまだ木綿わた布団の記憶を引きずっていて「厚くて重い=温かい」と考える傾向があるようです。
そのため、
・羽毛充填量:1.0kg(保温力が高い高級羽毛。お値段高め)
・羽毛充填量:1.3kg(保温力とランクが低い羽毛。お値段安め)
があったら後者のほうがいいと思ってしまったりします。
誤解なんですけど、しかたのないことでしょうか。
また、「軽すぎると掛けてる気がしない」という人は、羽毛布団はやめておいたほうがいいと思います。
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